碧き地平線の記憶

この小さき世界の中で

森山大道 「津軽」

2010-12-11 21:43:01 | Weblog
「目の記憶」
「津軽平野は、四季を通して風の強い土地だったという記憶が僕にはある。
かつて、なぜか<五所川原>という町の名がしきりに気になりはじめ、引かれるように写真を撮りに出掛けたことがあり、その後もしばらくは、なにかにつけ津軽に立ち寄ることとなった。
木造、黒石、金木、車力、十三と、イメージをかきたてる不思議な名の町々ばかりで、それら風景の中を、僕はカメラを片手に、やはり風のように擦過していた。
眼科医院の看板が、やたら目についた印象が今でも残っている」

2010年10月5日 森山大道

北への体質的な指向を口にする森山は、1970年ころから度々北海道・東北地方を訪れて撮影を行い、1976年に青森県五所川原市と周辺の津軽平野の町々で撮影した作品は、同年5月に東京のニコンサロンで個展という形式で発表。オリジナル・プリントを展示した、森山にとって初めての個展「遠野物語」(1974年)とともに、「五所川原」は、それまで雑誌媒体を通した作品発表にこだわり続けた自身のスタイルからの転換点といえる作品。

この写真集を手にした時、胸に反芻するものが浮かび上がって来た。
自分には、皮膚の記憶だ。