5年前の9月14日に、アメリカの議会でブッシュ大統領はアフガニスタンへの報復攻撃を決めたがその採決の中、たった一人反対票を投じた女性議員がいた。
バーバラ・リーさんという黒人女性の議員。
後日、語っています。
「私の頭には大きな傷があります・・・。
私はアメリカに生まれた黒人の女性です。残念ながら現世では、いつの時代に、どんな肌の色で、どの場所に生まれてくるかで人生の質というか、意味が大きく影響します。
私は長い間このアメリカ社会において差別を受けて、いや、差別されて育ってきました。
同時に議会社会では女性というセクシュアリティを常に差別されてきました。
私の母は、臨月ギリギリまで働いて、私が産まれる直前に病院に飛び込んだけれども、その時、その白人医者から出た言葉は、信じがたいものでした。
それは、”うちは黒人は出産させません”と言われた事だそうです。
本来であれば、帝王切開の状況だったそうですが、なおも病院で懇願し、食い下がる母。
そうしてる間に途中で私の頭は出てきてしまったそうです。
しかし、その頭をカンシで掴んでようやく出産させてくれた病院があったそうです。
頭に付いたこの傷はその時に出来たものです。
私はそうして産まれてきました。
私の母は、そんな状況を生きてきました。
私達の祖先は、アフリカから強引に連れてこられたと聞きます。
その歴史は語るにはあまりにも惨い暗澹(あんたん)たる内容です。
そうしてこの世に生を受けた私には、非国民と言われた事や、自宅に動物の死骸が送りつけてこようが、爆弾を仕掛けたとかの脅迫電話くらい、どうという事ではないのです。
私は戦争には賛成する事は出来ません。
それはそうして私を産んでくれたある母の言葉が心の中に生きているからです。
”Do the right thing”
”あなたが正しいと思うことをしなさい。
他人がなんと言ってもかまわない”と。
行動が正しいのではなく、私にとっては行動そのものが勇気なのです。
考え方が正しいのではなく、私にとっては考え方そのものが勇気なのです。
立ち上がるべき時に椅子に座ったままという事が卑怯というならば、
立ち上がるべき時にこそしっかり立ち上がる。
それがきっと母が訓えてくれた『勇気』というモノなのでしょう」
反対票を投じて以来、沢山の脅迫や迫害、議会での政治的圧力。
「一人では駄目なのです。
異議を唱えて立ち上がった人をどれだけサポートできるか。
圧殺しようとする力に立ち向かう力。それは勇気なのです。」
翌年の2002年に、彼女はトップ当選を果たしています。
振り返ってみると、周りに流され間違っていたとわかる事がある。
起こったときに時にしっかり判断できる強い意志、考えを持ちたいものです。