臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

今週の朝日歌壇から(3月3日掲載・其のⅠ)

2014年03月03日 | 今週の朝日歌壇から
[永田和宏選]

(鎌倉市・佐々木眞)
〇  なにゆえに旗日に旗を出さぬかとそのうち誰かが言ってくるだろう

(西条市・村上敏之)
〇  「国益」の連呼の時代はあぶないと戦前を知る祖父嘆きおり

(西条市・亀井克礼)
〇  老梅に雪はしまけり憲法の読みのゆらぎに心痛む日

(船橋市・大内はる代)
〇  訃報にて小高賢の文読みかえす「短歌は時代をどう表現したか」

(山形県・佐藤幹夫)
〇  半鐘の半面に雪張りつけて吹雪おさまる寒明け二日

(南陽市・渋間悦子)
〇  怒ってる理由忘れて最初から気づかぬ夫と鱈汁啜る

(廿日市市・上谷美智代)
〇  夜おそく帰る息子のドアの音今日一日をたたきつけたり

(大阪市・蒼井杏)
〇  はちみつをたらしたバンケーキのようにひかりまみれで眠る冬猫

(瀬戸内市・安良田梨湖)
〇  腿と腿そろえてきみのそばにいる嵐のような恋のしずけさ

(横浜市・山本雅子)
〇  ケイタイに歩数はゼロと記さるる大雪となりし一日暮れゆく


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