『去にし日に<或いは、藤原紀香讃>』
〇 六十二吋のテレビ画面で出逢ひたる紀香愛しく身も世もあらず
〇 お笑ひのあんな野郎の何処が佳い早く別れよ藤原紀香
〇 ぐいと抱き「紀香」と呼べば「今は駄目、主人が寝たら」と紀香言ふ夢
〇 まぐはへる紀香の極みの声により夢の覚めたり紀香憎しも
〇 遅かりし紀香とばかりに抱きたれば「今日は止して」と紀香は云ひき
〇 鬱を病む夫を「つれ」と呼ぶ役の藤原紀香を吾は許さじ
〇 笑む時のえくぼが少し通ひゐて紀香かはゆし妻もかはゆし
〇 蝶を追ふ紀香の仕草を夢に見て覚めてみたればゴキブリ追ふ妻
〇 ゴキブリを叩く音にて目覚めつる紀香とまぐはふ夢の覚めたり
〇 往にし世にソ満国境越ゆるとき紀香は我にしがみ付きなむ
〇 往にし世のソ満国境越えて行き紀香と吾の夢に彷徨ふ
〇 縊られしアナスタシアに似たるかな紀香目覚めよウィーンは遠し
〇 二子玉川(にこたま)は隈無く電飾されてゐて背徳紀香を拒める如し
〇 街はみなジングルベルに包まれつ紀香も吾も背中窄めぬ
〇 アウトレットのミンクのコートは何のその肩寄せ合へば寒くはないさ
〇 お笑ひと外人好きの紀香なれ我は好いちょる紀香を好いちょる
〇 宵ごとも夢に顕ち来る紀香なれ我老いたれば毫も起たざる
〇 身の丈があまり高くて荒妙の藤原紀香は我に不似合ひ
〇 「先に逝く不幸許せ」と云ひたれば紀香はただに首振るばかり
〇 世は無常つね無きものと知りたれば紀香の不倫を我は恨まじ
〇 黒革の手帖に我が名記されり「鳥羽省三=狂言廻し」と
〇 六十二吋のテレビ画面で出逢ひたる紀香愛しく身も世もあらず
〇 お笑ひのあんな野郎の何処が佳い早く別れよ藤原紀香
〇 ぐいと抱き「紀香」と呼べば「今は駄目、主人が寝たら」と紀香言ふ夢
〇 まぐはへる紀香の極みの声により夢の覚めたり紀香憎しも
〇 遅かりし紀香とばかりに抱きたれば「今日は止して」と紀香は云ひき
〇 鬱を病む夫を「つれ」と呼ぶ役の藤原紀香を吾は許さじ
〇 笑む時のえくぼが少し通ひゐて紀香かはゆし妻もかはゆし
〇 蝶を追ふ紀香の仕草を夢に見て覚めてみたればゴキブリ追ふ妻
〇 ゴキブリを叩く音にて目覚めつる紀香とまぐはふ夢の覚めたり
〇 往にし世にソ満国境越ゆるとき紀香は我にしがみ付きなむ
〇 往にし世のソ満国境越えて行き紀香と吾の夢に彷徨ふ
〇 縊られしアナスタシアに似たるかな紀香目覚めよウィーンは遠し
〇 二子玉川(にこたま)は隈無く電飾されてゐて背徳紀香を拒める如し
〇 街はみなジングルベルに包まれつ紀香も吾も背中窄めぬ
〇 アウトレットのミンクのコートは何のその肩寄せ合へば寒くはないさ
〇 お笑ひと外人好きの紀香なれ我は好いちょる紀香を好いちょる
〇 宵ごとも夢に顕ち来る紀香なれ我老いたれば毫も起たざる
〇 身の丈があまり高くて荒妙の藤原紀香は我に不似合ひ
〇 「先に逝く不幸許せ」と云ひたれば紀香はただに首振るばかり
〇 世は無常つね無きものと知りたれば紀香の不倫を我は恨まじ
〇 黒革の手帖に我が名記されり「鳥羽省三=狂言廻し」と