僕は今、新潟に来ております。「第44回全国社会人サッカー選手権大会」観戦のために。
20日は準々決勝が行われ、僕は新発田市五十公野公園陸上競技場において開催された
V・ファーレン長崎-NECトーキン、JAPANサッカーカレッジ(以下JSC)-松本山雅の2試合を
観戦いたしました。ただ第1試合は途中からの観戦となったため、第2試合の感想を記します。
この大会は、翌年の国体のサッカー競技リハーサル大会という側面も持っています。
つまり、翌年に国体が開催される場所で、全社が行われるというわけですね。
その意味では、この試合において、JSCが地元開催という意味での大きなアドバンテージを
持っているはずとは考えておりました。実際、サポーターというか、JSCの仲間の
学生らしき人たちが声出しサポーターとして多く詰め掛けていましたし。ただ山雅も
月曜の昼間というサッカー観戦には最悪の環境ながら、声出しエリアに指定された
バックスタンドにはおおよそ30名前後のサポーターが、またメインで見ている
山雅サポーターも50名以上はいたのではないかと思うほどで、山雅をサポートする
松本の人たちの熱い意識を改めて感じました。
またこの全社は、日本一過酷な大会との呼び声も高い「地域リーグ決勝大会」への強い関連性も
特徴として忘れてはならないものです。全社の優勝チームに対し、地域決勝への出場権が
与えられるのですね。つまり、各地域のリーグ戦において、地域決勝への切符を獲得できなかった
チームにとっては、地域決勝への最後の切符、そしておそらく多くのチームが地域決勝の先に
目指しているであろうJFL入りにおいても、全社で優勝することが今シーズン最後の望み、
言い換えれば全社で敗戦を喫した時点で、今シーズン終了となるわけです。天皇杯は、
JFL昇格には何の関係もないために。
翻って両チームの位置を確認すれば、山雅もJSCも現時点で手にしていません。つまり
今日負けたチームは、その時点で今シーズン終了となるわけです。そのような試合に起用された
レフェリーは、吉田寿光氏。吉田氏クラスのレフェリーが、この大会を吹くということに、
僕は率直に言って大きな驚きを感じました。ただ、この試合はどちらとも負けが許されない状況で
あるだけに、彼クラスのレフェリーが吹いてくれるのは、大きな意味があったとは思います。
山雅を応援する方と親しくさせてもらっている影響から、僕はこの試合を山雅寄りの意識で
見ておりました。そのため山雅のサポーターの行動などにもそれなりの関心を持っていましたが、
さすがに負けたらその時点で今シーズンが終わりになるという切実極まりない状況だけに、
レフェリーの判定に対しピッチレベル以上に、むしろサポーターがナーバスになっているなという
感覚は持ちました。吉田氏が特別に変な笛を吹いていたとは、僕は思いませんでしたが、
相手が新潟のチームということで山雅ファウルの判定に対し、サポーターから地元ビイキ的な不満を
表す声も飛んだりして。冷静に見れば、その言動が褒められたものとは思えません。ただそれは、
冷静に見られる第三者の視点に過ぎないわけで、負けたら終わりの試合を戦う当事者からしたら
一つ一つの判定に対して、ついつい強い反応をしてしまうのは、仕方のないことでしょう。
吉田氏クラスのレフェリーなら、この試合の重要性から当事者サポーターが強い声を挙げることも、
さすがに想定していたとは思いますし。
また状況が状況だけに、JSCのサポーターも自分たちがファウルを取られた判定には
大きな声を上げる局面もありましたから。改めて思いましたよ、レフェリーとは厳しい稼業
だなぁと(笑)。今日に関しては、まあ仕方ないですな。
JSCのメンバーを見てとにかく驚いたのですが、JSCにはなんと柏などで活躍した
あの宇野沢祐次がいるのですね。これはホントに、驚きました。そしてさすがにこのレベルでは
彼は明らかに力が違った。完全に彼はJSCの中心でしたし(当たり前ですけど(笑))
先制点も彼がFKを直接山雅ゴールに叩きこんだものでした。このFKについては、入る予感が
ありましたね。おそらく多くの人が同様のイメージを持っていたと思う。28分(時間は僕の手元の時計、
以下も全て同じ)、JSC1-0山雅。なおちなみに、この大会の試合時間は80分。
山雅としてはやはり、湘南やセレッソで活躍した実績を持つFW10番・柿本倫明を生かすという
意識が強かったのではと思いますが、その分JSCも柿本には厳しくマークを施して対応、
前半40分間は柿本が決定的場面を演出する状況には至らず。JSC1-0リードで終了。
後半は山雅がより強い姿勢で臨んできたと感じさせるものはあり、ボール支配も高めていきます。
しかしながら、その出鼻を挫くアクシデントが訪れます。前半に1枚紙を貰っていた山雅5番斉藤智閣が、
2枚目を46分に貰ってしまう。後半開始6分というところで、リードされているチームが
1人少ない展開を余儀なくされる。言うまでもなくこれは苦しい。ただそれがむしろ、
山雅に勇気を振り絞らざるを得ない状況として作用したのかもしれません。
52分、山雅が左CKを得ると、これが前線に上がっていたDF28番矢畑智裕のアタマに
ピタリとあい、同点ゴール。1-1に。この場面は山雅のCKが続き、JSCもきちんと対処していたの
ですが、同点ゴールの際はファーにいた矢畑を完全にフリーにしてしまっていた。キャプテンの
価値あるゴールで追いつく山雅。
その後はどちらとも明確な優位を作りきれない感がありましたが、時間経過とともにJSCの
ボール支配が長くなっていく。まあこれは、仕方のないことです。山雅は1人少ないのだから。
攻め込まれてなんとかクリアしても、そのクリアボールを送った前線には山雅の選手が誰もおらず、
JSCが再度ボールを支配するという局面が目につき始めます。実際、JSCがアタマでの決定的な
シュートを放つといった場面もあったのですが、わずかに枠の外へ。勝つためにはこういうチャンスを
キチンとゴールに流し込むべきだよな、なんて思いが僕のアタマを掠めたりして。
そして迎えた試合終盤、山雅がセットプレーのチャンスを得ます。左からのボールは一旦
はじき返されたものの、それを再度左から入れたところ、またしても矢畑がフリーとなり、
角度があまりない状況ながら対角線上にボールを流し込む。78分、JSC1-2山雅。このゴールが
決まった際の、山雅サポーターの喜びの爆発ぶりがなんとも印象に残りましたね。
ゴール直後の79分には、この試合ではベンチスタートだったベテランDFの13番・三本菅崇を急遽
(と僕には見えました)投入するなど、絶対に勝つんだという意識をむき出しにした山雅が、
ロスタイムも凌ぎきり勝利。熱い戦いの幕は降りました。
よく勝ちました、山雅。本当に厳しい試合だったと思いますが、見事な逆転でした。
火曜、水曜と試合が続く中、大会途中に劇的な試合をしてしまうのはかえって怖い気もしますが、
楽に勝てる試合は存在しない大会ですし、負けたら即終わりであることを思えば、とにかく
勝ててよかった。天皇杯湘南戦を見て山雅に惹かれ、そのいいイメージから期待を持って
この試合を観戦に来たと語る東京サポーターと帰りの電車で会話を交わしましたが、
そのような多くの期待を力としてほしい。またJSCもその名称どおり、真摯にサッカーに
取り組んでいる姿勢は感じましたし、大会運営といった裏方の部分においても彼らの力が
多くの支えとなっていることも評価されるべきものでしょう。
長文になりましたが。山雅、JSC双方の選手、監督、スタッフ、さらにはサポーターに
拍手を送ります。
20日は準々決勝が行われ、僕は新発田市五十公野公園陸上競技場において開催された
V・ファーレン長崎-NECトーキン、JAPANサッカーカレッジ(以下JSC)-松本山雅の2試合を
観戦いたしました。ただ第1試合は途中からの観戦となったため、第2試合の感想を記します。
この大会は、翌年の国体のサッカー競技リハーサル大会という側面も持っています。
つまり、翌年に国体が開催される場所で、全社が行われるというわけですね。
その意味では、この試合において、JSCが地元開催という意味での大きなアドバンテージを
持っているはずとは考えておりました。実際、サポーターというか、JSCの仲間の
学生らしき人たちが声出しサポーターとして多く詰め掛けていましたし。ただ山雅も
月曜の昼間というサッカー観戦には最悪の環境ながら、声出しエリアに指定された
バックスタンドにはおおよそ30名前後のサポーターが、またメインで見ている
山雅サポーターも50名以上はいたのではないかと思うほどで、山雅をサポートする
松本の人たちの熱い意識を改めて感じました。
またこの全社は、日本一過酷な大会との呼び声も高い「地域リーグ決勝大会」への強い関連性も
特徴として忘れてはならないものです。全社の優勝チームに対し、地域決勝への出場権が
与えられるのですね。つまり、各地域のリーグ戦において、地域決勝への切符を獲得できなかった
チームにとっては、地域決勝への最後の切符、そしておそらく多くのチームが地域決勝の先に
目指しているであろうJFL入りにおいても、全社で優勝することが今シーズン最後の望み、
言い換えれば全社で敗戦を喫した時点で、今シーズン終了となるわけです。天皇杯は、
JFL昇格には何の関係もないために。
翻って両チームの位置を確認すれば、山雅もJSCも現時点で手にしていません。つまり
今日負けたチームは、その時点で今シーズン終了となるわけです。そのような試合に起用された
レフェリーは、吉田寿光氏。吉田氏クラスのレフェリーが、この大会を吹くということに、
僕は率直に言って大きな驚きを感じました。ただ、この試合はどちらとも負けが許されない状況で
あるだけに、彼クラスのレフェリーが吹いてくれるのは、大きな意味があったとは思います。
山雅を応援する方と親しくさせてもらっている影響から、僕はこの試合を山雅寄りの意識で
見ておりました。そのため山雅のサポーターの行動などにもそれなりの関心を持っていましたが、
さすがに負けたらその時点で今シーズンが終わりになるという切実極まりない状況だけに、
レフェリーの判定に対しピッチレベル以上に、むしろサポーターがナーバスになっているなという
感覚は持ちました。吉田氏が特別に変な笛を吹いていたとは、僕は思いませんでしたが、
相手が新潟のチームということで山雅ファウルの判定に対し、サポーターから地元ビイキ的な不満を
表す声も飛んだりして。冷静に見れば、その言動が褒められたものとは思えません。ただそれは、
冷静に見られる第三者の視点に過ぎないわけで、負けたら終わりの試合を戦う当事者からしたら
一つ一つの判定に対して、ついつい強い反応をしてしまうのは、仕方のないことでしょう。
吉田氏クラスのレフェリーなら、この試合の重要性から当事者サポーターが強い声を挙げることも、
さすがに想定していたとは思いますし。
また状況が状況だけに、JSCのサポーターも自分たちがファウルを取られた判定には
大きな声を上げる局面もありましたから。改めて思いましたよ、レフェリーとは厳しい稼業
だなぁと(笑)。今日に関しては、まあ仕方ないですな。
JSCのメンバーを見てとにかく驚いたのですが、JSCにはなんと柏などで活躍した
あの宇野沢祐次がいるのですね。これはホントに、驚きました。そしてさすがにこのレベルでは
彼は明らかに力が違った。完全に彼はJSCの中心でしたし(当たり前ですけど(笑))
先制点も彼がFKを直接山雅ゴールに叩きこんだものでした。このFKについては、入る予感が
ありましたね。おそらく多くの人が同様のイメージを持っていたと思う。28分(時間は僕の手元の時計、
以下も全て同じ)、JSC1-0山雅。なおちなみに、この大会の試合時間は80分。
山雅としてはやはり、湘南やセレッソで活躍した実績を持つFW10番・柿本倫明を生かすという
意識が強かったのではと思いますが、その分JSCも柿本には厳しくマークを施して対応、
前半40分間は柿本が決定的場面を演出する状況には至らず。JSC1-0リードで終了。
後半は山雅がより強い姿勢で臨んできたと感じさせるものはあり、ボール支配も高めていきます。
しかしながら、その出鼻を挫くアクシデントが訪れます。前半に1枚紙を貰っていた山雅5番斉藤智閣が、
2枚目を46分に貰ってしまう。後半開始6分というところで、リードされているチームが
1人少ない展開を余儀なくされる。言うまでもなくこれは苦しい。ただそれがむしろ、
山雅に勇気を振り絞らざるを得ない状況として作用したのかもしれません。
52分、山雅が左CKを得ると、これが前線に上がっていたDF28番矢畑智裕のアタマに
ピタリとあい、同点ゴール。1-1に。この場面は山雅のCKが続き、JSCもきちんと対処していたの
ですが、同点ゴールの際はファーにいた矢畑を完全にフリーにしてしまっていた。キャプテンの
価値あるゴールで追いつく山雅。
その後はどちらとも明確な優位を作りきれない感がありましたが、時間経過とともにJSCの
ボール支配が長くなっていく。まあこれは、仕方のないことです。山雅は1人少ないのだから。
攻め込まれてなんとかクリアしても、そのクリアボールを送った前線には山雅の選手が誰もおらず、
JSCが再度ボールを支配するという局面が目につき始めます。実際、JSCがアタマでの決定的な
シュートを放つといった場面もあったのですが、わずかに枠の外へ。勝つためにはこういうチャンスを
キチンとゴールに流し込むべきだよな、なんて思いが僕のアタマを掠めたりして。
そして迎えた試合終盤、山雅がセットプレーのチャンスを得ます。左からのボールは一旦
はじき返されたものの、それを再度左から入れたところ、またしても矢畑がフリーとなり、
角度があまりない状況ながら対角線上にボールを流し込む。78分、JSC1-2山雅。このゴールが
決まった際の、山雅サポーターの喜びの爆発ぶりがなんとも印象に残りましたね。
ゴール直後の79分には、この試合ではベンチスタートだったベテランDFの13番・三本菅崇を急遽
(と僕には見えました)投入するなど、絶対に勝つんだという意識をむき出しにした山雅が、
ロスタイムも凌ぎきり勝利。熱い戦いの幕は降りました。
よく勝ちました、山雅。本当に厳しい試合だったと思いますが、見事な逆転でした。
火曜、水曜と試合が続く中、大会途中に劇的な試合をしてしまうのはかえって怖い気もしますが、
楽に勝てる試合は存在しない大会ですし、負けたら即終わりであることを思えば、とにかく
勝ててよかった。天皇杯湘南戦を見て山雅に惹かれ、そのいいイメージから期待を持って
この試合を観戦に来たと語る東京サポーターと帰りの電車で会話を交わしましたが、
そのような多くの期待を力としてほしい。またJSCもその名称どおり、真摯にサッカーに
取り組んでいる姿勢は感じましたし、大会運営といった裏方の部分においても彼らの力が
多くの支えとなっていることも評価されるべきものでしょう。
長文になりましたが。山雅、JSC双方の選手、監督、スタッフ、さらにはサポーターに
拍手を送ります。
山雅は本当に、この大会に賭けているという意識を感じますね。選手のみならず、サポーターにも。
天皇杯が、彼らにとって地域決勝に向けての最大の力試しとなれば、いいのですが。