珈琲もう一杯

3月6日、2010年Jリーグ開幕

新たな選手を取る意味

2009-01-06 23:16:14 | サッカー
一つ下の選手権観戦記において、田邉については別途エントリーを記すと書きました。
それをここで記します。

多くの東京系ブロガーの方が記されているように、僕が見た試合における田邉は確かに
運動量は少なく、守備に戻らないというスタイルであることは僕も感じました。そして
そのようなスタイルは、これまでの東京の流れに即さないのではないかとの指摘もなされています。
確かにその通りだと思いますね。

ただ僕は、だからこそ東京は彼を獲得したのではないかと思っているんですよ。より正確に言うと、
だからこそ東京は彼を獲得したのだと願いたいと言いましょうか。東京に来る選手の系譜というか、
僕らサポーターが受け入れやすい選手像というのは、これはもう非常に分かりやすいものがあった。
端的に言って、骨惜しみせずどんな時も献身的に動き回る選手というものですわね。それはもちろん
東京がガス時代から継承してきた素晴らしい財産ですし、それを否定するのは愚かなことです。
ただ僕は、それは今後もきちんと受け継いでいくべきだと思う一方で、そろそろ違った色を持つ
選手を確実に使いこなせるようになってほしいとも思うんですね。骨惜しみせず動き回るという
部分に関しては、育成組織上がりの梶山が実は最も異質な選手なのかもしれませんが(笑)、
違った個性を持つ選手が入ることで、お互いがお互いを引き立てあうといった効果があるのでは
ないかと思いまして。別の言い方をすれば、ピッチ上の化学反応といいましょうか。

僕らサポーターが東京らしい選手というイメージを描く時、今回の選手権での田邉のプレーは、
そのイメージとは正反対といっていいぐらいのものだったでしょう。しかし、だからこそ、
東京は彼を獲得したのだと僕は思いたい。それはつまり、東京が新しいステージに踏み出そうと
しており、そのためには今までと同じく、東京の系譜に沿った選手が多くなる部分にばかり
目を向けていてはいけないのだ、という判断をしたのではないかと。今までの雰囲気とは異なる
プレースタイルの選手を獲得し、その彼を生かすことができれば、チームはより高みにいけると
考えたと思いたい。東京は新たなステージ(要するに、リーグ制覇を現実的な目標におく戦いということ)に
踏み出そうとしているはずだ。それを実現するには、今までの延長戦上に加え、新たな一歩が
必要となると思う。今までの延長線上のみの構成で、新たなステージに踏み出そうとするのは、
ちょっと難しいのではないか、なんてことを僕は考えるんですよ。

もちろん現実的に見て、田邉が即戦力になるとは、僕は現時点では思っておりません。
ただ、田邉のような、東京サポーターが見て「東京っぽくないな」と感じるような選手を
あえて獲得したという姿勢に、僕は東京の新たな方向性への模索を感じ、嬉しい気持ちに
なっているのですよ。09年に向けた補強として、水戸から平松、福岡から中村北斗を獲得しましたが、
J2から有力選手を引き抜くといった動きも、これまでの東京にはあまりなかったものですわね。
それこそモニや今ちゃんまで遡るぐらいでしょうか。田邉獲得と同じく、平松や北斗の獲得も
これまでの東京とちょっと違った動きと感じ、僕は評価しているところです。外国人をどうするかなど、
まだまだ補強において頑張ってもらわねばならないものの。

新たなことにチャレンジという意味では、僕は今シーズンはアウェー開幕でどうだろうか、
とも考えています。東京がアウェーで開幕戦を迎えたのは、J1初年度の2000年シーズンのみで、
以後は全てホーム開幕ですが、それもそろそろ変えていいんじゃないの、と。そういうところも
変えてみませんか、新しい方向性を打ち出してみませんか、なんてことを思っています。
まあ開幕戦の場所を変えたことで劇的に何かが変わるかといえば、別にそんなこともないでしょう(笑)。
ただ、新しい動きを示すという意味での一つの象徴になるとは思ってね。また繰り返しに
なりますが、東京が築いてきたものを捨てろなんて言っているのではなく、もう一段上の
ステージに行くためのチャレンジという意味合いですよ。僕が言っているのは。

東京の系譜っぽくないプレーヤーといえば、東京がササを使いこなせなかったことが、
僕は今でも悔しくてなりません。確かにササは、前線から激しくチェックに行くなどという、
「東京のFW」っぽいプレースタイルの選手ではなかった。しかしながら、彼のゴールにボールを
流し込む能力は素晴らしいものだった。彼の能力が凝縮された試合はなんといってもこの試合だと
思いますが、このゴールを決めてくれたことだけで、ササは僕にとっての永遠のアイドルですから。
前線から激しくチェックに行ってくれる今のカボレ、昔のルーカスのようなプレーヤーに
強い共感を覚える一方で、ストライカーはゴールを決めればいいんだろ、というスタイルの
選手を使いこなせるようになってほしい。それができれば、東京はホントの強豪クラブに
なれるのではないか、なんてことも考えます。これは東京に限らず、今のJ全体でも
難しい事柄でしょうけどね。

田邉に話を戻せば、今回の選手権での彼のプレースタイルはあくまで久我山の中ではあのように
動いたということでしょうし、東京入団後もあのスタイルを取ると決まっているわけでも、
もちろんない。ただ久我山での彼のプレーを見て、東京は彼の獲得を決断したわけですわね。
その考えを、僕は肯定したい。また現時点では即戦力とは…などということも記しましたが、
この見立てが大ハズレになってくれれば、嬉しい。
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08-09選手権準々決勝 駒沢開催

2009-01-05 23:27:28 | サッカー
本日は駒沢にて、選手権準々決勝2試合を観戦してまいりました。

第1試合は関東の雄としての存在感を確実に高めている前橋育英と、田邉草民を擁する
国学院久我山の対戦。第2試合は全国的な強豪同士であり、また名指導者同士の対戦でもある
広島皆実-四日市中央工。両試合とも魅力的なカードであり、僕は楽しみにしておりました。

いきなりスコアを記しますが、前育1-0久我山、四中工0-2皆実。前育、皆実の勝利という
この結果は、2試合とも正当なものでした。強いて言えば、前育、皆実とももっとゴールを
あげておかしくなかったというところでしょうか。特に前育は。

田邉がいることもあり、僕はどちらかというと久我山視点で見ていましたが、もう明らかに
前育の方が強かった。寄せの速さ、展開の速さ、当たりの強さ、チームとしての連動性、
全てにおいて前育が一枚上でした。前半から何度前育は決定的な場面を作っていたことでしょうか。
久我山寄りの視点で当初はいましたが、さすがにあれだけ前育の決定機を見せられると、
考え方は変わりましたよ。「この試合は前育が勝つべきだ」と。サッカーのセオリーとして、
決定機を何度も逃していればそのうち流れが変わるものですが、この試合に関しては
それはないだろうなという気がしていましたね。前育のゴールの際も、これは全くもって
今日の前育に対する正当な報酬だと思いましたから。僕は前述のとおり久我山を応援する気で
いたのですが、この試合に関しては完全に前育が勝つべき内容でした。久我山が悪かったのではなく、
前育が良かったのですよ。前育のサッカーを称えるべき試合だと思います。

2試合目に関しては、1試合目以上に驚きを感じました。個人的な話ですが僕にとって四中工は、
数ある高校サッカーの名門校の中でも敬意を払う存在なんですね。僕が全国高校サッカー選手権という
大会の存在を知ってから30年ちょっとの月日がたちますが、四中工はその間ずっと強豪であり続けた。
また野洲が優勝した年に四中工は野洲と対戦したのですが、僕はこのような内容を記したものでした。
僕は皆実についても2回戦の徳島商との試合を観戦しており、皆実の能力も知っているつもりでしたが、
それでも四中工に期待する意識が強かったのです。なおちなみに僕は40代前半です(笑)。

ところが内容は、もう完全に皆実の試合。ほとんどハーフコートマッチに近いぐらいの
状況で試合が進んでいきます。四中工が意図してゴール前まで進出し、決定機を作り出すという
場面はほとんど無かったといっても過言ではないでしょう。四中工がここまで苦しい状況を
強いられるとは…。本当に驚きました。もう今日の皆実の素晴らしさを称えるほかないでしょう。
四中工相手に、ここまで見事な80分を演じきるのですから。僕は選手権の皆実となぜか縁があり、
過去に何試合も見ているのですが、今日の皆実は文句なくベストゲーム。このサッカーが
できるのなら、頂点まで上り詰めて何ら不思議ではない。この試合も第1試合と同じく、
勝者の素晴らしいサッカーを称えるべき試合でした。

今大会は市船、野洲、藤枝といったビッグネームが早い段階で姿を消す驚きはあったものの、
ベスト4は前育、鹿児島城西、皆実、鹿島学園ですから、納得の顔触れといえるのでしょう。
鹿島学園については情報科学との試合を観戦しましたが、あの試合も鹿島学園の正当な勝利と
いえる内容でしたし。現時点では、前育-城西の結果が大きなカギを握るかな、という気はしますが…。

なお田邉に関しては、別途エントリーを記す予定です。
コメント (2)
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10年という歳月

2009-01-02 00:17:31 | サッカー
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

元日は天皇杯決勝を観戦してまいりました。結果はご存知のとおり、ガンバの勝利。
今日の試合内容を考えれば、この結果は正当なものだと思います。

ただ僕はこの試合の観戦にあたり、非常に感傷的な気分になっていたことを認めねばなりません。
そして、あるものをカバンに忍ばせておきました。それは横浜フリューゲルスのハンカチーフ。
フリューゲルス最後の試合からもう10年が経過したのですね。あの試合は忘れもしない、
1999年1月1日のことでした。

以前にも当ブログで似たような内容を記したことがありますが、Jリーグはこれからも
いろんなことがあるでしょう。ツライ事態に遭遇しなければならない時もあるでしょう。
ただ、全体としてはJリーグはいい方向に進んでいくと思う。しかし、どれだけJリーグが
いい方向に進んだとしても、横浜フリューゲルスというクラブの歴史を断ち切ってしまったことは、
絶対に忘れてはならないはずだ。あれは本当に、サッカー人として恥ずべきことだと思いますから。
まあ、Jリーグ以外のサッカー界においては、このような事態がその後も起きているわけですが。
またサッカー以外のスポーツにおいても、強豪チームが突然に歴史の幕引きをさせられることに
なってしまうのではないかという状況も見られている。そのようなクラブも救うべきだといわれたら、
Jクラブだけを特別扱いすべきではないといわれたら、僕は何も言葉を持てないですが。

世界的な不況から、サッカー界のみが無縁でいられるはずはない。またサッカーに限らず、
スポーツと社会の関係が改めて問い直されている状況でもあるでしょう。そんな時代だからこそ、
10年前のあの悲劇、あの悔しさを忘れたくないという思いもあり、フリューゲルスのグッズを
カバンに忍ばせていったのですね。もちろん、僕ら1人1人のサッカー好きにできることは
限られている。でもそれだからこそ、できることはできる範囲でしていきたいと思いますね。
好きなサッカーの試合を生観戦できる状況にあるのなら、できる限り行こうじゃないかと。
結局のところ、それがサッカーを、スポーツをこの不況のなかで支えていくために、
僕らができる手段の一つであろうから。

もちろん試合中は、ピッチ上の選手のプレーに集中していました。ただ試合前および試合後には
感傷的な思いが胸をよぎったのも確かですね。10年前も今年のような快晴の元日だった、
なんてことを思ったり。まあ時間の経過につれ、記憶が薄れていくのは仕方ないことです。
ただ、これは語り継ぐべきことだと思いますね。フリューゲルスのこの記憶も含めて、
Jの歴史なのですから。あと繰り返して恐縮ですが、試合中も記憶を辿っていて気もそぞろ、
なんてことはありません。それは試合に取り組んでいるガンバおよび柏の選手・関係者、
サポーターに失礼ですから。
コメント (6)
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