この一試合が今シーズンの全てを左右する。この試合を落とせば、今シーズンの目標が
全て無に帰する。これほどの過酷な試合はそうそうありません。さらに付言すれば、
この試合を勝ったとしても、次のステージに進む権利を得ただけで、まだ何も手にしていないのですが…。
超激戦区の北信越リーグを勝ち抜いた松本山雅と全社優勝で出場権を手にしたMi-oとの戦い。
多くの予想通り、この試合がこのグループを左右する1戦となりました。山雅のホームである
アルウィン(僕らも昨年行きましたな)で行われたこの試合。両チームとも2戦2勝であり、
この試合に勝った方が決勝リーグに進出という分かりやすい状況です。実は僕はMi-oが優勝した
全国社会人を観戦しており、Mi-oのチームとしての総合力は印象に残るものでした。
山雅のホームという地の利があるものの、若干Mi-o有利かなという意識で試合前はおりました。
この試合、運営上はMi-oがホーム扱いでメインから見て左側、山雅が右側に陣取っていましたが、
試合前のコイントスの後、サイドが入れ替わります。当初のサイドなら太陽を正面に受けることになる
Mi-oがサイドを取って入れ替わったのだと思いますが、この時点からMi-oはしたたかなゲーム運びを
見せていたというべきなのかもしれません。
キックオフ直後の最初の流れでMi-oはいきなりハイボールを山雅ゴール前に放り込みます。
そのプレーを見たときは、まさにこのためにサイドを取ったのだと思いましたし、その後もMi-oが
主導権を握る形で推移するかとも思いましたが、前半はむしろ山雅が押し気味といっていい内容。
同行させていただいたこの方と「山雅が思ったよりいい」という会話を交わしていたぐらいです。
ただこれも、Mi-oにとっては狙いどおりの作戦だったのかもしれません。後半開始時にはMi-oのGKの
エリアは影に覆われており、太陽の影響を受ける状況はほぼ脱していた。前半にサイドを取ったのも、
ハイボールを上げて攻めあがるということよりも、太陽の影響を避け、失点のリスクを
少しでも減らすことの方に重きが置かれていたのかもしれません。ホームの大声援を受け、
試合開始から山雅が激しくくるであろうことが予測できただけに、失点につながりかねない要因を
少しでも減らしたいという姿勢だったのか。また後半開始時には日照の関係でGKのエリアから
太陽の影響が少なくなるというのも、2日間を通して観察していたのではないですかね。
山雅にとっては十分いけるぞという意識を持っていたであろう後半開始直後、Mi-oが出鼻を挫きます。
中盤でボールをカットした8番内林が左サイドを一気に駆け上がり、マークも振り切った上でシュート、
GKが体に当てるも止めきれず、48分Mi-o先制。ディフェンスの意識を高く持って試合を進めながら、
チャンスと見るや一気に取りきってしまうというしたたかさを見せてくれました。またゴールを奪った
内林の個人能力は、率直に言って山雅の選手と比べて一枚上かなという気にはさせられました。
しかしながら時間は40分以上あったわけで、山雅にとって十分にチャンス(可能性)は残されていました。
ただ山雅はなかなかチャンス(攻めのかたち)を作り出せない。Mi-oがますます守備意識を高く持ち
山雅の攻撃に対し冷静に対処するなか、山雅は有効な攻め手を繰り出せなかったというのが
正直なところでしょう。内林のほか、26番安部や30番大江、10番金など能力の高い選手を
複数揃えるMi-oに対し、山雅は7番土橋にかかる比重が大きかったか。山雅がゴールを奪う
イメージを描きづらかったことは否めませんでした。
73分のMi-oの2点目は右サイドを深く抉り、マイナスのパスに内林が合わせたもので、山雅にとっては
崩されたといわざるを得ないかたち。これもやはり、チャンスと見るや集中して最後まで
取りきったといえるもので、Mi-oのしたたかさを感じさせる得点でした。山雅サポーターの
力強いサポートが選手の力となり、俗に言う壊れた試合となることは最後までありませんでしたが、
Mi-oの2点目が試合の大勢をほぼ決定づけたのは確かでしょう。
試合はそのまま2-0で終了、Mi-oの決勝ラウンド進出となり、JFL入りを目指した山雅の今シーズンは
残念ながら終わりを告げました。サポーターへの挨拶に向かう選手の多くは涙を流しており、
山雅の無念さは痛いほど伝わってきました。ただこの試合に関して、Mi-oが一枚上だったのは
確かでした。僭越な言い方ではありますが、山雅としてはこの経験を来シーズンに生かしてくれと
願うばかりです。Mi-o自身、昨シーズンの地域決勝で悔しい思いをしているのですから。
ドーハと同様で、行けなかったことで初めて目指す場所の大きさや意味を知ったということに
なったのではないですか。数年後、山雅のJFLあるいはJの歴史が2007年11月25日から始まったと
いえる状況になってほしいと思っております。
この試合の観客数は3,631人。チームカラーのグリーンのボードを配布し、試合中も途切れることなく
サポートの声を送り続けた山雅サポーターにとっても、この敗戦のショックは極めて大きいでしょう。
ただ第三者の全く勝手な言い分を許して貰うなら、この敗戦によって山雅のJFL入りが
本当の意味での悲願となったのではないですか。前述したように、負けて初めて価値を知るという。
試合中も幼稚園ぐらいの年代かなというチビッ子が熱心に山雅を応援する声をあげるなど、
松本地域にとっての山雅の存在価値を十分に感じさせてくれる状況でもありました。
このような地域は他にも多くあるはずで、サッカーが多くの地域に根を下ろしつつあるんだなと
嬉しい気持ちになりました。
山雅の監督はガンバや京都などでDFとして活躍した辛島啓珠氏。残念な結果に終わった試合後の
彼の行動が印象に残りました。彼は試合終了を告げるホイッスルが鳴ってすぐにMi-oのベンチに
歩み寄り、おそらく戸塚監督でしょうがMi-oのスタッフと握手を交わしていました。
ホームで多くの期待を背負った試合での敗戦直後という悔しくてたまらないはずの状況ながら、
勝者を称えることを忘れなかったその姿勢に、辛島が人格者であることを改めて認識した次第です。
この敗戦を受け辞意を表明したという報道もあるようですが、辛島の指導者としての人生は
まだ始まったばかりですし、山雅での経験をこれからの指導者生活でも活かしてほしい、
そして日本サッカー界の進歩に貢献してほしいという思いを持っております。まだ辞任が決定
したわけでもないのに、この書き方は良くないんですが。
Mi-oに関しては、神戸といい関係を持っているようですね。前述の大江やDF15番石澤は神戸からの
レンタル選手ですが、この大会のためにレンタル期間を延長したようですし。また全社の時点で
すでに戸塚哲也氏がベンチ入りしていたのですが、選手の直前補強がダメになった今回、
監督を補強するのは理にかなった動きでしょう(笑)。全社でもホンダロック、北九州、長崎
といったKyuリーグの強豪勢をことごとく打ち破るなど、その能力は注目に値するチーム。
決勝ラウンドでも十分可能性はあると思いますね。まあ、今年の4チームは全てに等しく可能性が
あると見ていいでしょうし、予測は全くつきませんが。
PS-金曜、日曜の2日間に渡り車に同乗させていただいたfct-fanさんにこの場を借りて
改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。またアルウィンではGO!_AWAYさんにもお世話に
なりました。感謝いたします。
PS2-私信ですが、なみさん、ありがとうございました。
全て無に帰する。これほどの過酷な試合はそうそうありません。さらに付言すれば、
この試合を勝ったとしても、次のステージに進む権利を得ただけで、まだ何も手にしていないのですが…。
超激戦区の北信越リーグを勝ち抜いた松本山雅と全社優勝で出場権を手にしたMi-oとの戦い。
多くの予想通り、この試合がこのグループを左右する1戦となりました。山雅のホームである
アルウィン(僕らも昨年行きましたな)で行われたこの試合。両チームとも2戦2勝であり、
この試合に勝った方が決勝リーグに進出という分かりやすい状況です。実は僕はMi-oが優勝した
全国社会人を観戦しており、Mi-oのチームとしての総合力は印象に残るものでした。
山雅のホームという地の利があるものの、若干Mi-o有利かなという意識で試合前はおりました。
この試合、運営上はMi-oがホーム扱いでメインから見て左側、山雅が右側に陣取っていましたが、
試合前のコイントスの後、サイドが入れ替わります。当初のサイドなら太陽を正面に受けることになる
Mi-oがサイドを取って入れ替わったのだと思いますが、この時点からMi-oはしたたかなゲーム運びを
見せていたというべきなのかもしれません。
キックオフ直後の最初の流れでMi-oはいきなりハイボールを山雅ゴール前に放り込みます。
そのプレーを見たときは、まさにこのためにサイドを取ったのだと思いましたし、その後もMi-oが
主導権を握る形で推移するかとも思いましたが、前半はむしろ山雅が押し気味といっていい内容。
同行させていただいたこの方と「山雅が思ったよりいい」という会話を交わしていたぐらいです。
ただこれも、Mi-oにとっては狙いどおりの作戦だったのかもしれません。後半開始時にはMi-oのGKの
エリアは影に覆われており、太陽の影響を受ける状況はほぼ脱していた。前半にサイドを取ったのも、
ハイボールを上げて攻めあがるということよりも、太陽の影響を避け、失点のリスクを
少しでも減らすことの方に重きが置かれていたのかもしれません。ホームの大声援を受け、
試合開始から山雅が激しくくるであろうことが予測できただけに、失点につながりかねない要因を
少しでも減らしたいという姿勢だったのか。また後半開始時には日照の関係でGKのエリアから
太陽の影響が少なくなるというのも、2日間を通して観察していたのではないですかね。
山雅にとっては十分いけるぞという意識を持っていたであろう後半開始直後、Mi-oが出鼻を挫きます。
中盤でボールをカットした8番内林が左サイドを一気に駆け上がり、マークも振り切った上でシュート、
GKが体に当てるも止めきれず、48分Mi-o先制。ディフェンスの意識を高く持って試合を進めながら、
チャンスと見るや一気に取りきってしまうというしたたかさを見せてくれました。またゴールを奪った
内林の個人能力は、率直に言って山雅の選手と比べて一枚上かなという気にはさせられました。
しかしながら時間は40分以上あったわけで、山雅にとって十分にチャンス(可能性)は残されていました。
ただ山雅はなかなかチャンス(攻めのかたち)を作り出せない。Mi-oがますます守備意識を高く持ち
山雅の攻撃に対し冷静に対処するなか、山雅は有効な攻め手を繰り出せなかったというのが
正直なところでしょう。内林のほか、26番安部や30番大江、10番金など能力の高い選手を
複数揃えるMi-oに対し、山雅は7番土橋にかかる比重が大きかったか。山雅がゴールを奪う
イメージを描きづらかったことは否めませんでした。
73分のMi-oの2点目は右サイドを深く抉り、マイナスのパスに内林が合わせたもので、山雅にとっては
崩されたといわざるを得ないかたち。これもやはり、チャンスと見るや集中して最後まで
取りきったといえるもので、Mi-oのしたたかさを感じさせる得点でした。山雅サポーターの
力強いサポートが選手の力となり、俗に言う壊れた試合となることは最後までありませんでしたが、
Mi-oの2点目が試合の大勢をほぼ決定づけたのは確かでしょう。
試合はそのまま2-0で終了、Mi-oの決勝ラウンド進出となり、JFL入りを目指した山雅の今シーズンは
残念ながら終わりを告げました。サポーターへの挨拶に向かう選手の多くは涙を流しており、
山雅の無念さは痛いほど伝わってきました。ただこの試合に関して、Mi-oが一枚上だったのは
確かでした。僭越な言い方ではありますが、山雅としてはこの経験を来シーズンに生かしてくれと
願うばかりです。Mi-o自身、昨シーズンの地域決勝で悔しい思いをしているのですから。
ドーハと同様で、行けなかったことで初めて目指す場所の大きさや意味を知ったということに
なったのではないですか。数年後、山雅のJFLあるいはJの歴史が2007年11月25日から始まったと
いえる状況になってほしいと思っております。
この試合の観客数は3,631人。チームカラーのグリーンのボードを配布し、試合中も途切れることなく
サポートの声を送り続けた山雅サポーターにとっても、この敗戦のショックは極めて大きいでしょう。
ただ第三者の全く勝手な言い分を許して貰うなら、この敗戦によって山雅のJFL入りが
本当の意味での悲願となったのではないですか。前述したように、負けて初めて価値を知るという。
試合中も幼稚園ぐらいの年代かなというチビッ子が熱心に山雅を応援する声をあげるなど、
松本地域にとっての山雅の存在価値を十分に感じさせてくれる状況でもありました。
このような地域は他にも多くあるはずで、サッカーが多くの地域に根を下ろしつつあるんだなと
嬉しい気持ちになりました。
山雅の監督はガンバや京都などでDFとして活躍した辛島啓珠氏。残念な結果に終わった試合後の
彼の行動が印象に残りました。彼は試合終了を告げるホイッスルが鳴ってすぐにMi-oのベンチに
歩み寄り、おそらく戸塚監督でしょうがMi-oのスタッフと握手を交わしていました。
ホームで多くの期待を背負った試合での敗戦直後という悔しくてたまらないはずの状況ながら、
勝者を称えることを忘れなかったその姿勢に、辛島が人格者であることを改めて認識した次第です。
この敗戦を受け辞意を表明したという報道もあるようですが、辛島の指導者としての人生は
まだ始まったばかりですし、山雅での経験をこれからの指導者生活でも活かしてほしい、
そして日本サッカー界の進歩に貢献してほしいという思いを持っております。まだ辞任が決定
したわけでもないのに、この書き方は良くないんですが。
Mi-oに関しては、神戸といい関係を持っているようですね。前述の大江やDF15番石澤は神戸からの
レンタル選手ですが、この大会のためにレンタル期間を延長したようですし。また全社の時点で
すでに戸塚哲也氏がベンチ入りしていたのですが、選手の直前補強がダメになった今回、
監督を補強するのは理にかなった動きでしょう(笑)。全社でもホンダロック、北九州、長崎
といったKyuリーグの強豪勢をことごとく打ち破るなど、その能力は注目に値するチーム。
決勝ラウンドでも十分可能性はあると思いますね。まあ、今年の4チームは全てに等しく可能性が
あると見ていいでしょうし、予測は全くつきませんが。
PS-金曜、日曜の2日間に渡り車に同乗させていただいたfct-fanさんにこの場を借りて
改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。またアルウィンではGO!_AWAYさんにもお世話に
なりました。感謝いたします。
PS2-私信ですが、なみさん、ありがとうございました。