「おい、見てみろ、泣いているぜ」
居並ぶ官僚達は居すくんでざわめいていた。
則天皇帝が廃されて上陽宮に移される日
宰相姚元之は人目もかまわず独り泣いていた。
元之とともに廃位に働いた桓彦範や張柬之達は近づき
「あなたも廃位に協力したんじゃないか」
「こんな時に泣くと、あなたに禍が及びますよ」
「黙って見送るのが臣下の態度です」
元之は答えた。
「理屈はそうなんだがね」
「私は則天様に起用されて、いままで引き立てられてきた」
「臣下の道として、唐再興のために起義したのだ」
「しかし人としての道は違うのだ、禍が及ぶことになっても悲しいものは悲しいのだ」
彦範達は憮然として立ち去った。
数日後元之は宰相を解任され、州刺史として出されることになった。
居並ぶ官僚達は居すくんでざわめいていた。
則天皇帝が廃されて上陽宮に移される日
宰相姚元之は人目もかまわず独り泣いていた。
元之とともに廃位に働いた桓彦範や張柬之達は近づき
「あなたも廃位に協力したんじゃないか」
「こんな時に泣くと、あなたに禍が及びますよ」
「黙って見送るのが臣下の態度です」
元之は答えた。
「理屈はそうなんだがね」
「私は則天様に起用されて、いままで引き立てられてきた」
「臣下の道として、唐再興のために起義したのだ」
「しかし人としての道は違うのだ、禍が及ぶことになっても悲しいものは悲しいのだ」
彦範達は憮然として立ち去った。
数日後元之は宰相を解任され、州刺史として出されることになった。