唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

優柔

2006-10-08 13:06:03 | Weblog
「帝は四海の富の主として君臨されておられます」

「しかるに帝には、一弟、一妹と共に生きることができないのですか」

「ただ一小人が讒言しただけで、血を分けた弟妹を取り調べさせるのですか」

御史中丞蕭至忠は決死の構えで諫言していた。

優柔不断で人に動かされやすい中宗皇帝は、

至忠の強硬な態度にたじろいでいた。

「いや、冉祖雍が反意があるとかもうしてきての」

「朕も信じてはおらんが、調べるだけはと卿に命じたのだが」

至忠はさらに激しく

「相王は天下を帝に譲られました」

「そうであるのに、今さら天下を望もうとされるのでしょうか」

と諫言した。

「そう、そうであったの、反意などあるはずがないの」

もう中宗はこんな話から逃げ出したくなっていた。

「それでは取り調べなど不要でごさりますな」

「そうじゃ、不要じゃ、いらぬことじゃ・・・」

至忠は退出しながらため息をついていた。

「則天様の時のほうが・・・・」と

その姿を讒言の黒幕宗楚客は憎々しげにみつめていた。