唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

左遷

2006-10-03 18:53:32 | Weblog
「疉州?、そこの都督だと?」

李勣にはすぐには理解できなかった。

つい数日前に、太宗は自分が亡き後はお前がたよりだと言ってくれた。

頼りない皇太子を、長孫無忌とともに支えてくれと泣いたはずだ。

ところが突然左遷の命が下った。

疉州などは都督どころか、刺史すら不要の僻地である。

流されるのと変わらないしうちである。

しかも理由はまったくつげられなかった。

勣はすぐに思い当たった。

「俺は疑われている。少しでも逆らえば誅殺されるだろう」

そこで自宅にも帰らず勣は任地に向かった。

太宗は皇太子の治に言っていた。

「勣は悍馬だ、俺には恩義を感じているが、お前にはない」

「俺が死んだら、お前が復帰させて宰相にしろ」

「そうすれば、お前にも恩義を感じるだろう」

しかし勣は山間の道をたどりながら考えていた。

「もう皇帝などを信じることなどやめよう、俺は俺自身のために生きよう」
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