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強迫神経質症───神経質症②

2016-10-07 18:38:17 | 医療
誰でも考えることや感じることを異常だと思い込み、そんな煩わしいことは考えまい
感じまいとすればするほど、それが強くなって苦悩する─これが強迫神経質症です。

強迫神経質症には、次のようにたくさん種類があって、症状は千差万別です。
対人恐怖(赤面恐怖・蒼面恐怖・表情恐怖・視線恐怖・醜貌恐怖・吃音恐怖・
発汗恐怖・排尿恐怖・体臭恐怖など)、不完全恐怖(ガス栓・戸締り・郵便物の投函・
間違い・など)、疾病恐怖(精神病・癌・性病・らい病・結核・高血圧など)、不潔
恐怖、雑念恐怖、縁起恐怖、自殺恐怖、阪神恐怖、罪悪恐怖などなどです。

強迫神経質症には、不完全恐怖や不潔恐怖や縁起恐怖のように、強迫行為を
伴うものも少なくありません。具体的な例で見てみましょう。

Aさんはアパレル関係の会社の総務部人事課に勤務しています。新入社員の
採用に関する報告書をまとめて課長に提出したところ、漢字と採用人員数の
間違いを厳しく指摘され、落ち込みました。これをきっかけにして、書類や報告書
に間違いがあっては大変だと強い不安にかられ、作業中に何度も見直し、さらに
完成後に何度チェックしても不安で、自宅に持ち帰って見直すまでになってしまい
ました。仕事が停滞し、提出日に間に合わないこともあるため、いっそう混乱して
不安が増幅していきます。

Aさんは、自分の見直しは度を超えていて、不要なことだと頭でわかっており、
止めたいと思っています。でも、不安に引きずられてついつい繰り返してしまう
のです。

Bさんの場合は、ポストに手紙を投函するとちゃんと下まで落ちたかいつも不安
で、ポストの口に手を入れて何度も確認してしまいます。不安が昂じて、集配
の郵便局員が来るのを待って確かめたことさえありました。

二人は不完全恐怖の典型的な例ですが、反対にCさんは行動ができません。
なぜかというと、Cさんは縁起恐怖で、仏滅の日や四(死)や十三という数字
に出会うと怖くなり、何もできなくなってしまうのです。

Aさん同様、BさんもCさんも自分の行為の馬鹿さ加減や、そんなことをしていては
いけないとわかっているのですが、不安な感情に負けてしまいます。

神経質症の三タイプのなかでは、強迫神経質症がもっとも頑固だと言われています
が、強迫行為を伴う場合には、気休めの行為を少しずつでも止めていかなければ
なりません。

─『現代に生きる森田正馬のことば Ⅱ新しい自分で生きる』生活の発見会編 白洋社


テレビや新聞雑誌の事件報道で、「原因はノイローゼ」という言い方をしていることが
よくあります。そのため、神経質症と精神病を混同している人が多いようです。
神経質症は精神病ではありません。また、身体の病気でもありません。では、
神経質症とはどういうものでしょうか。

神経質症とは、「人間性に対する謝った認識に基づく精神的なからくりによって
生ずる」ものです。健康な人なら誰にでもある、またなくてはならない心理的
あるいは生理的現象を、異常や病気と思い込んでしまうこと─これが「人間性
に対する誤った認識」です。これはとんでもないことになった、何としても治さな
ければとあがけばあがくほど、神経質症状が強まり、深みにはまっていきます。
(つづきは、次回)

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