紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「孔雀狂想曲」北森鴻

2005年02月25日 | か行の作家
森さんといえば、最初に読んだのは「狐罠」でした。
ハマったのは「メイン・ディッシュ」、抜けられなく
なったのは「花の下にて春死なむ」の香菜里屋です。
それ以来、毎回うならされてきたわけなのですが、
今回は久々の連作短編。しかも、扱うのが骨董!
短編なので、毎回登場する骨董品も違っていて、
それぞれに持ち主の思いとか、骨董品そのものの
いわくとか、そういう話も面白いのですが、
やっぱり、主人公のキャラクターが魅力的ですね。

骨董商「雅蘭堂」の店主・越名集治は推定30代。
生活に密着した“古物商”という面持ちのそのお店で、
さまざまなドラマが展開されます。
骨董にありがちな、騙し騙されということから、
果ては大きな事件まで、どれも主人公の突拍子もない
発想から推理が展開されていきます。
そして何よりこの越名さん、どことなく工藤さん
似てるんですよね(どちらも見たことはないですが(笑))。

同じ骨董を扱う「狐罠」は女性が主人公のハードボイルドでしたが、
こちらは、北森さんらしい優しさ溢れるミステリーです。
ちなみに、陶子さんは出てきませんが、畑中さんが出てきます(笑)。


「孔雀狂想曲」北森鴻(集英社文庫)