劇団ぷにぷにパイレーツ座長日記

劇団ぷにぷにパイレーツ座長・石崎一気が、演劇、パントマイム、音楽等、舞台芸術の情報を、毎日発信!

復活

2016-03-19 07:00:06 | 演劇
マーラーの交響曲第2番「復活」は、5つの楽章からできています。
作曲者は、「第1楽章が終わったところで、5分以上の休みを置くこと」と指示しています。
しかし、実際に、それを守ることは滅多にないそうです。
確かに、交響曲の序盤でいきなり5分も無音が続いたら、観客の集中力が落ちてしまいます。
何のために、そんな指示を出したのでしょう?

作者の指示を守らないことにかけては、演劇界の方がはるかに上です。
そもそも、劇作家の指示を守って上演している公演なんてあるのでしょうか?
シェイクスピアの脚本をカットしない劇団なんて、ほとんどないでしょう。
5幕形式の脚本も多いのですが、大概は、前後半の2幕にして上演しています。
また、たとえ幕を下ろしたくても、幕がない劇場の方が多いですからね。

”ぷにぷにパイレーツ”でも、作者の指示は、まったく無視されています。
まず、多くの劇団員が、脚本通りセリフを言うことは、まずありません。
みんな間違って覚えてしまって、一度暗記してしまうと、台本通りに直そうという気が生じないようです。
演出担当の僕も、脚本の指示をすぐに無視し始めます。
実際に役者に演じて貰うと、当初のイメージ通りにならないことが多いのです。
ですから僕は、毎回、公演直前に脚本を修正しなくてはなりません。
理想を追うのではなく、実態に脚本を合わせていくのです。

音楽や演劇といった舞台芸術は、実演してみなければ分からないことが多々あります。
机上の空論を、金科玉条のごとく守る必要はないのです。