心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

虎と馬と診断と賠償と埋葬と亡霊と俺とお前と大五郎

2005-12-16 13:28:57 | 精神医学・精神病理学
 トラウマと聞くと,いつもなんかカマドウマを連想しちゃうpsy-pubなんです。昔我が家の靴箱付近(特に長靴の中)によくいたなあ,カマドウマ。もう10年以上も見てないや(すげえどうでもいい思い出話!)。
 さて,トラウマやPTSD,私個人のなんとなくの曖昧な記憶では,堺マチャアキの元奥さんの人(名前覚えてないし,調べる気もないです)が,離婚に際して「お歳暮と年賀状が多すぎてPTSDになった」みたいなことをのたまってたように記憶しているのですが,あれは一体なんだったんだろう? 悪い夢というか悪い現実というか,あんな主張がまかり通っちゃあ,おちおちかくし芸大会の仕込みもできやしないですよ。
 ちゅうわけで,トラウマ。筒井康隆風に言うと,トロゥマ。もともとはフロイト先生があみだした精神分析用語な訳ですが,今,トラウマというときには,フロイトのフの字も出てこないですねえ。DSMに残っている数少ない精神分析オリジンの言葉なのにねえ。



PTSD
PTSD
Edna B. Foa, Allen Frances, Jonathan R.T. Davidson, 大野 裕, 金 吉晴

 トラウマといえばおなじみの金先生。どこに載ってたのかは忘れましたが,トラウマに関する論文で,いつしか「なぜ神経症概念がなくなったのか。そんなの間違っている」みたいな話になり,なるほどさすがガンダーソンの翻訳もなさっている先生だけあるなと頷いた次第です。
 しかし,これなかなか面白そうです(注文中)。特に最後の,「精神療法エキスパート」と「薬物療法エキスパート」の質問紙調査が載っていて,興味深いです。

埋葬と亡霊―トラウマ概念の再吟味
埋葬と亡霊―トラウマ概念の再吟味
森 茂起

 甲南大学のシンポジウムを元に作られてますが,著者を列挙しますと,下河辺美知子,白川美也子,高橋哲哉,棚瀬一代,中井久夫,福本修、港道隆,森茂起,となかなか豪華。初っ端に下河辺先生「『モーゼと一神教』は21世紀の世界に何を伝えているか」からぶち上げられます。なお,精神分析におけるトラウマ概念については,福本先生がみっちり入念にやっちゃってくれてますので,ぜひ力(リキ)いれて頑張って読んでください!


 しかし,21世紀何が変わったって,こういうことが一番変わったような気がしますね。



PTSD診断と賠償―臨床医によるPTSD診断と賠償及び補償の留意点
PTSD診断と賠償―臨床医によるPTSD診断と賠償及び補償の留意点
黒木 宣夫

 これは金先生もどこかで指摘しておられましたが,すごく大きな問題だと思います。結局,社会的責任に帰結してしまうわけですから,そういう意味では,PTSDなんて,ここを抜かして論じることなど,できない・許されないでしょうな。きわめてプラクティカルな話であります。



高次脳機能障害と損害賠償―高次脳機能障害診断と損害賠償認定基準等の考察
高次脳機能障害と損害賠償―高次脳機能障害診断と損害賠償認定基準等の考察
吉本 智信

 上記と同じ「精神医学と賠償シリーズ」なんですが,こういうのもあります。なるほどなあ。


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