心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

サリヴァン違いで大違い

2005-09-27 18:09:43 | 精神分析
 精神医学・臨床心理学の領域で,最も多く引用されている言葉は何だろうと,誰かそんなトリヴィアリズムなことを調べてくれないかなと思ったりします。たとえば,ハリー・スタック・サリヴァンのいう,関与しながらの観察Participant Observation,が一年間に使われる頻度というのはどれくらいなんでしょうねえ。しかも原書を読んだ上で引用している人は,その内のどれくらいなんでしょうかね……。
 さて,私が入社したばかりの頃,サリヴァンという文字を初めて見たとき,心に浮んだのは,ハリー・スタックではなく,あの『奇跡の人』の方の「サリヴァン先生」でした。というか,ハリーのことはまったく知りませんでした。したがって「関与しながらの観察」も,かの「ウォ~~~ラ~~~」のくだりを想起なぞして,フムフムなるほどああいうことかあと,ひとりごちてた訳です。かなり恥ずかしいですね。ちなみに雑誌『imago』のコピー「マインド・サイエンスの総合誌」も勝手に「マッド・サイエンスの総合誌」と読み替えていました。ほんと失礼極まりないですね。
 というわけで,ハリーとその後の展開ということで,この3冊を。


精神医学は対人関係論である
精神医学は対人関係論である
ハリー・スタック サリヴァン, 中井 久夫, 高木 敬三, 宮崎 隆吉, 鑪 幹八郎

 その後の精神分析の流れ(間主観性理論)やロジャーズ派の隆盛などを考えると,やっぱ先取りですよね。


精神分析理論の展開―欲動から関係へ
精神分析理論の展開―欲動から関係へ
ジェイ・R. グリーンバーグ, スティーブン・A. ミッチェル, J.R. Greenberg, S.A. Mitchell, 横井 公一, 大阪精神分析研究会

 原題は,『Object Relations in Psychoanalytic Theory』。いわゆる「関係論」の精神分析。サリヴァンはじめ対人関係学派も「起源」として取り上げ,論じています。


 自分でできる対人関係療法
自分でできる対人関係療法
水島 広子

 サリヴァンの非精神分析的支流(と思います)。この本は,一般向けに書かれているため読みやすいにもかかわらず自己啓発的な胡散臭さがなく,非常に好感が持てます。一般の方に安心してお奨めできますね。しかし反面,胡散臭い書籍のもつ妙な迫力もまたないので(なくてよいのですが)悪貨は良貨を駆逐するとならないことを次の総選挙の結果とともに祈念するばかりですね。

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