ヌルリ。
どうもpsy-pubです。今日はとっとといきますか。
ま,「読む」なんつうと大げさですが,
英国UKというと,認知行動療法も盛んなら,パーソンセンタードアプローチも盛んなんですが,精神分析も盛んなわけでありまして,これら,行動主義,人間性心理学,精神分析は,臨床心理学の基礎理論の3本柱,なんて言われたりもしますが,日本は風土的にUKと似ているからかもしれませんが,学派限らず結構UK経由(←これ回文になってた!)の情報がもたらされることが,多いような気がしますね。
というわけで,この本なんですが,サブタイに「英国学派を中心に」とあり,私なんかは単細胞なもんですから,なんだなんだ英国学派ってなんだ英国独立学派とは違うのかどうなんだそこらへんどうなんだと,がぶり寄りたくなるわけですけど,すんごくザックリ言いますと,
クライン派(クライン,シーガル等)
+
独立(中間)派(フェアバーン,ウィニコットなど)
+
自我心理学派(アンナ・フロイトなど)
=
英国学派
という,アラン・ドロン+アル・パチーノ<あなた(古い)的な図式が成り立つわけでして,すると,英国学派を概括するということはこれすなわち,ほぼ現代精神分析入門といっていいんじゃないでしょうか。
ちなみに,対象関係論派とクライン派は必ずしもイコールならず,だそうで,ムウ,なんかややこしいな。クライン派=広義の対象関係論なんだそうな。
また,クラインやウィニコットのインパクトが強いので,英国学派=(広義の)対象関係論派と思ってる方もいらっしゃるかもしれませんが(別に間違いじゃないでしょうけど),フロイトの娘,アンナ・フロイトさんら自我心理学派も頑張っており,米国ほどではないにせよ,坩堝ってるわけですな。
コフートの自己心理学や,サリヴァンの対人関係論,間主観的アプローチ,関係論派などは,あんまり含まれてないけど,あ,ラカン派もないけど,まずまず,精神分析の基本的なところをおさえる格好になっており,わかりやすいです。そしてどちらかというと,軸足は対象関係論だと思いますが。
内容的には,もちろん,学生・院生向けの入門書としても出色ですが,単なる理論の一般的な紹介でなく――そんなんだったらすげえツマンネエ!――,臨床的なところまで踏み込むので,力動的な考え方をもってやってる実務家にも有用であると思われます。精神分析のおかれている現代的状況(批判や研究)についても述べられてるので,ある種「現代の精神分析(的心理療法)家入門」って感じもあり,なかなか興味深いんじゃないかと思います。ただアイゼンクについての言及がなく,UKなのに,はっきり言ってそれはどんなもんだろうか,と思う。あと訳文が,教条的にですます調なので,親しみやすいといえばそうだけど,一部変です。もうちょっと,練れたんじゃないかと思わないでもなかったかな。
ちなみに私が考えるところの,上記三派の日本語で書かれた入門書としては,
オールインワンで言えば,
これになりますかね。歴史的には,フロイト,自我心理学,対象関係論(クライン派含む)までの理論を概括しております。ただガチガチの理論のみ入門なので,やや読みづらいかも。これを大幅に臨床的かつ実践的にしたのが上記『精神分析入門講座』という印象。もちろんこれはこれで素晴らしいですが。
自我心理学(というかフロイト派)なら
楳図かずおも吃驚の入魂の描画,のこれかな。分析だとかなんだとかさておいても,本としてすごい本ですよ。文化遺産,みたいな。一生に一度は読むべきです。
クライン派なら,
これがわかりやすいです。このわかりやすさは驚異的ですらあります。
独立学派をざらっとみるなら,
これかな。対象関係論をベースに精神分析の臨床的展開を考えます。
個人的には,占いみたいな当てはめ系のやつ(何が,とは言いませんが)は勘弁してほしいけど,臨床的なにらみが利いてるようなのを読むのは,まだまだ面白いんじゃないか,精神分析,と思いますですねえ(お前が言うなって話だけど)。
ま,もし入門するなら,事典もあったほうがヨロシということで,以前書いたエントリ,
モーツァルトは250歳フロイトは150歳フィーチャリングきんさんぎんさん(ニュアンスで)
なぞ,ご参照下されば幸いです。
どうもpsy-pubです。今日はとっとといきますか。
ま,「読む」なんつうと大げさですが,
![]() | 精神分析入門講座―英国学派を中心にJ.ミルトン C.ポルマー J.ファブリシアス 岩崎学術出版社 2006-11売り上げランキング : 161927Amazonで詳しく見る by G-Tools |
英国UKというと,認知行動療法も盛んなら,パーソンセンタードアプローチも盛んなんですが,精神分析も盛んなわけでありまして,これら,行動主義,人間性心理学,精神分析は,臨床心理学の基礎理論の3本柱,なんて言われたりもしますが,日本は風土的にUKと似ているからかもしれませんが,学派限らず結構UK経由(←これ回文になってた!)の情報がもたらされることが,多いような気がしますね。
というわけで,この本なんですが,サブタイに「英国学派を中心に」とあり,私なんかは単細胞なもんですから,なんだなんだ英国学派ってなんだ英国独立学派とは違うのかどうなんだそこらへんどうなんだと,がぶり寄りたくなるわけですけど,すんごくザックリ言いますと,
クライン派(クライン,シーガル等)
+
独立(中間)派(フェアバーン,ウィニコットなど)
+
自我心理学派(アンナ・フロイトなど)
=
英国学派
という,アラン・ドロン+アル・パチーノ<あなた(古い)的な図式が成り立つわけでして,すると,英国学派を概括するということはこれすなわち,ほぼ現代精神分析入門といっていいんじゃないでしょうか。
ちなみに,対象関係論派とクライン派は必ずしもイコールならず,だそうで,ムウ,なんかややこしいな。クライン派=広義の対象関係論なんだそうな。
また,クラインやウィニコットのインパクトが強いので,英国学派=(広義の)対象関係論派と思ってる方もいらっしゃるかもしれませんが(別に間違いじゃないでしょうけど),フロイトの娘,アンナ・フロイトさんら自我心理学派も頑張っており,米国ほどではないにせよ,坩堝ってるわけですな。
コフートの自己心理学や,サリヴァンの対人関係論,間主観的アプローチ,関係論派などは,あんまり含まれてないけど,あ,ラカン派もないけど,まずまず,精神分析の基本的なところをおさえる格好になっており,わかりやすいです。そしてどちらかというと,軸足は対象関係論だと思いますが。
内容的には,もちろん,学生・院生向けの入門書としても出色ですが,単なる理論の一般的な紹介でなく――そんなんだったらすげえツマンネエ!――,臨床的なところまで踏み込むので,力動的な考え方をもってやってる実務家にも有用であると思われます。精神分析のおかれている現代的状況(批判や研究)についても述べられてるので,ある種「現代の精神分析(的心理療法)家入門」って感じもあり,なかなか興味深いんじゃないかと思います。ただアイゼンクについての言及がなく,UKなのに,はっきり言ってそれはどんなもんだろうか,と思う。あと訳文が,教条的にですます調なので,親しみやすいといえばそうだけど,一部変です。もうちょっと,練れたんじゃないかと思わないでもなかったかな。
ちなみに私が考えるところの,上記三派の日本語で書かれた入門書としては,
オールインワンで言えば,
![]() | 現代の精神分析―フロイトからフロイト以後へ小此木 啓吾 講談社 2002-08売り上げランキング : 7698Amazonで詳しく見る by G-Tools |
これになりますかね。歴史的には,フロイト,自我心理学,対象関係論(クライン派含む)までの理論を概括しております。ただガチガチの理論のみ入門なので,やや読みづらいかも。これを大幅に臨床的かつ実践的にしたのが上記『精神分析入門講座』という印象。もちろんこれはこれで素晴らしいですが。
自我心理学(というかフロイト派)なら
![]() | 図説臨床精神分析学前田 重治 誠信書房 1985-05売り上げランキング : 285640Amazonで詳しく見る by G-Tools |
楳図かずおも吃驚の入魂の描画,のこれかな。分析だとかなんだとかさておいても,本としてすごい本ですよ。文化遺産,みたいな。一生に一度は読むべきです。
クライン派なら,
![]() | 対象関係論を学ぶ―クライン派精神分析入門松木 邦裕 岩崎学術出版社 1996-03売り上げランキング : 112204Amazonで詳しく見る by G-Tools |
これがわかりやすいです。このわかりやすさは驚異的ですらあります。
独立学派をざらっとみるなら,
![]() | 精神分析理論と臨床北山 修 誠信書房 2001-06売り上げランキング : 277600Amazonで詳しく見る by G-Tools |
これかな。対象関係論をベースに精神分析の臨床的展開を考えます。
個人的には,占いみたいな当てはめ系のやつ(何が,とは言いませんが)は勘弁してほしいけど,臨床的なにらみが利いてるようなのを読むのは,まだまだ面白いんじゃないか,精神分析,と思いますですねえ(お前が言うなって話だけど)。
ま,もし入門するなら,事典もあったほうがヨロシということで,以前書いたエントリ,
モーツァルトは250歳フロイトは150歳フィーチャリングきんさんぎんさん(ニュアンスで)
なぞ,ご参照下されば幸いです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます