ちょっと古いけど,『セラピストの物語/物語としてのセラピスト』(日本評論)なんていう本は,けっこういい本であった。
編者――これがなかなか個性派で,小森康永,野村直樹,野口裕二の各先生方である。一番高名なのは,野口先生か。愛煙家なので,灰皿のそばで待っていれば必ず会えるという噂。どちらにせよ,この本に書かれているのは,「ナラティヴ学派」の最高の執筆者たちであることは間違いなく,なかなか含蓄も深い。けど,あまり売れているという話を聞いたことはないが,内容がマニアックすぎたのか……。
でも,難しいのだ,ナラティヴは。ナラティヴの理論もそうだけれど,本にするのも難しい。
ナラティヴのなかにも,いろいろあるのね。心理の外の世界に出れば(社会学とか人類学とか),星の数ほどナラティヴの本があるという感じ。看護もけっこうあったりする。心理の,いわゆる,ナラティヴ・セラピーでも,いくつかの学派(というほどでもないが)に分かれていて。
マイケル・ホワイトのグループ,ハーレン・アンダーソンのグループ,NBMのグループとか。
日本人で言えば,吉川悟&高橋規子,斎藤清二&岸本寛史とかね。全部,金剛出版さんの本だな……。K・J・ガーゲンを忘れてた。これはナカニシヤさんだったか。
これに,ユング派の河合大先生なんかも「物語なんて昔から言うてまんがな」なんて感じなのか知らないけど,口を挟んでいたりする。あと,精神分析ね。というか,日本語臨床というか。北山修さんの本もありますな。あと,事例研究とか質的研究のグループもナラティヴ学派といえばナラティヴ学派であったりする。
流行りは終わりつつある,という話も聞きますが,それって定番になってきたっていうことなのだろうか。
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