心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

モーツァルトは250歳フロイトは150歳フィーチャリングきんさんぎんさん(ニュアンスで)

2006-07-13 12:48:02 | 精神分析
今年は,モオツァルト(コバヒデ風)生誕250周年ってことで,ヴィエナがもーりあがっとるようですな。チキショー。すいません,なぜか取り乱してしまいました……。ところで,実はフロイトさんとこのジクムントさんも今年,生誕150周年ってことで,ジクムントさんもヴィエナの生まれなんですよね(チェコ領Freibergの間違い→コメント欄参照)。まあ別にそこになんらかの意味性を見出せるかっていうと見出せないわけなんですけど,別にいいだろッ,意味なんかなくったって! と,気を抜くと,俺アングリー,君あんぐり,ってことになっちまう。それはどうしてもなっちまう。

まあ先に言っとくと,きんさんぎんさんネタは織り込みようがないので,織り込まないけど,『きんさんぎんさんの101回目の誕生日』のMP3,誰か持ってないかな,もう一度だけでも聴きたいんだけど,と,まあこれは私的なこと。

つうわけで,まあホントなんなんだ,ナニがナニして,つうわけなんだっていうのは軽々と分裂排除して,まあ岩波書店から,新宮先生らの『フロイト全集』も今秋刊行開始がスタンバってマーテルわけですから,ここらでいっちょう,精神分析の事典特集やっちゃおうかと思ったわけえ,psy-pubなんかわぁ。今回は珍しく親切に,ワンセンテンスで強引にまとめた見出しを付けてみましたよ。まあ字数制限のせいもありますが,あくまで,ご参考までですよ,と逃げは作っておきますけど…ネ。



★日本どころか世界にも類を見ない総合的な精神分析事典★
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 まあ日本というと,なんにしろ,輸入・翻訳文化なわけですが,まさにその特質を活かしきり,精神分析100有余年の展開をまとめあげております。大げさじゃなく世界で唯一の総合的な事典(と思っていたら裕さんからのTBが。詳しくはそちらを参照ください)。
 実用性も高いんですが,なにより,すぐれたDictionaryだけが持つ「さまよう楽しみ」を教えてくれるところが素晴らしいと思うゆえんです。



★基本中の基本,フロイト原典に遡るとき至便★

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 より深く精神分析を知ろうと思う方は,もう当然これがベーシックですね。こいつを片手にフロイト著作集読むのが,正しい道だろうと思います。フロイト著作年表もたいへん便利です。
 フロイトって,その概念のみを教条的に鵜呑みにすると,現在ではまあ少し(というかかなり)辛いものがあると思うんですが,なぜそういうことをフロイトが考えるに至ったかを知るっつうのは,率直に言ってまだまだ一定の意義があるように思えます。私見では,「発達」という概念と「心理療法」という発想っていうところの功績はあまりにもでかいと思いますね。


★フロイトの著作ガイドかつユーティリティ・プレイヤー!★
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 これは事典じゃないんだけど,流れ的にはここがいいかと思いました。原典読めっつうのは現代っ子にはつらいけど,全著作をストレイチーさんが解説してくれてるので,フロイトがどの著作で何を言ってるかが(ストレイチー的に)わかるので,どれを読もうかという時にガイドとして最適です。かつ,ややこしい日本語翻訳の情報なんかもきれいに整理してくれてるので,文献情報を得るには,今最も「使える」書籍じゃないでしょうかね。
 ちなみに,このストレイチーさんっていうのは,フロイトの著作(原文ドイツ語)の英語訳,いわゆるStandard Editionというドでかい仕事をなさったわけですが,近年ではその翻訳にいろいろ問題があるともいわれますが,でもそれがなかったらここまでの発展はなかったわけで,一概にはいえないですが,まあ偉業には違いないですな。



★アメリカにおける精神分析/力動精神医学の達成★

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 おそらく世界で最も精神分析が花開いたのは,アメリカでしょう。今でも精神分析家が最も多いのもアメリカです。ある意味で,精神分析といわれて,一般にイメージするものに一番近いものを表わしているような気もします。そういう意味では,まあ,国際的なスタンダードです。
 アメリカにおける一番でかい流れは,自我心理学→力動精神医学かな。次に,サリヴァンとかの対人関係論ってところでしょうか。だからこの事典もそんな感じです。



★翻訳が待たれるクライン派精神分析事典★
A Dictionary of Kleinian ThoughtA Dictionary of Kleinian Thought
R. D. Hinshelwood

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 まだ日本では翻訳されていないクライン派の用語事典。ちなみに,実践編は『クリニカル・クライン―クライン派の源泉から現代的展開まで』だそうデス。



★簡潔な定義が嬉しいユニークな事典★

精神分析学辞典
チャールズ ライクロフト Charles Rycroft 山口 泰司

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 ライクロフトによる一風変わった事典ですが,分析概念の定義が簡潔明瞭で,読む価値あります。これだけだときついと思いますけど。やや思想系。ちなみにライクロフトの『想像と現実』は神田橋條治センセイが翻訳されてますね(品切のようですが)。



★ラカン派のラカン派によるラカン派のための事典★
精神分析事典精神分析事典
ロラン シェママ ベルナール ヴァンデルメルシュ 小出 浩之

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 スタイルが独特。各概念について,フロイトのそれ→ラカンのそれ,という流れで,大体において,フロイトのそれよりラカンのそれが長いという,ラカンに興味のある人以外にはおすすめできませんが,ラカンに興味のある人には,絶対的におすすめできる一品です。斎藤環や東浩紀好きな人も読んどくといいかもネ。
 あと,思想系だと他には『フェミニズムと精神分析事典』とか『フロイト&ラカン事典』つうのもあるようですが,読んでないのでどんな感じなのかは知りません。



 ここからは,関連する事典の中の項目になりますが



★精神分析用語は“小此木啓吾”監修★
精神医学事典精神医学事典
加藤 正明 笠原 嘉 小此木 啓吾

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 その次第が小此木先生著の『精神分析の成り立ちと発展』(弘文堂)にあります。分析だけでなく,精神医学という意味でも本書は日本のスタンダード。広く全体を見ながらその中に精神分析を位置づけているという意味では,どれか一冊というなら,ダークホースで実はこれかも。



★精神分析用語は“成田善弘”監修★
心理臨床大事典心理臨床大事典
氏原 寛 成田 善弘 山中 康裕

培風館 2004-04
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 「心理臨床」という営みにおける精神分析の良心ともいうべき成田善弘先生編集による解説は,事典というよりは,良き教科書といえるかもしれません。さすがにこれだけだときびしいけどね。この事典,臨床心理士は必携なんだろうなと思いつつ,編集者的には,会社にあるけど,意外に紐解くことが少ないんですけど,みなさんどうなんでしょう?

 他にも良いのあったら教えてください!(原文未訳でも可)


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2 コメント

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Unknown ()
2006-07-14 14:01:16
 いつものつまんないツッコミですが、フロイトの生まれはヴィエナじゃなくて Freiberg 今はチェコ領です。

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Unknown (psy-pub)
2006-07-14 20:34:30
> 裕さん



ツッコミ,ありがとうございまする。全然つまんなくないっす。不勉強でもうしわけないです。そのくせ,ウィーンではなく,ヴィエナなんて書いてしまって愧ず。



裕さんから久々にコメントをいただき,嬉ッと思ったんですが……orz 無知をお許しください。





と思ったら,モーツァルトもザルツブルクの生まれでした…

「あの辺が盛り上がっている」ってことで,よろしくです。……とほほ。



なんなんだ。

一人相撲

orz
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