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ベタ打ち版 KY 290622村田渉判決書 控訴審 葛岡裕訴訟 要録偽造 #村田渉中央大学教授

2023-01-08 10:33:19 | 指導要録
ベタ打ち版 KY 290622村田渉判決書 控訴審 葛岡裕訴訟 要録偽造 #村田渉中央大学教授 被控訴人 小池百合子都知事
村田渉の判断 乙11号証関連の判示<4p><8p>

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http://blog.livedoor.jp/marius52/archives/5401881.html
https://marius.hatenablog.com/entry/2023/01/08/102358
https://ameblo.jp/bml4557/entry-12783229831.html

***************
<1P>
平成29年6月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成29年(ネ)第306号 国家賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成26年(ワ)第24336号)
口頭弁論終結日 平成29年4月13日

判決

埼玉県越谷市大間野町○丁目○番○号
控訴人 上原マリウス
東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
被控訴人 東京都
同代表者知事 小池百合子
同指定代理人 石澤泰彦
同 荒井幹人
同 原暁

主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人に対し,200万円を支払え。

第2 事案の概要
1 本件は,被控訴人が設置管理する東京都立葛飾特別支援学校(以下「本件学校」という。)に教諭として勤務していた控訴人が,担任をしていた本件学校の生徒(以下「N君」という。)の指導に関連して,本件学校の管理職員が,①N君の一人通学指導について控訴人の負担を考慮した体制整備を怠ったこと,②N君の母親(以下「N母」という。)から控訴人の指導に関し

<2P>
て多数の要求がされたのに対して控訴人の職場環境への配慮を怠ったことにより,抑うつ状態となり通常の業務に戻ることができないまま定年退職に至ったと主張して,国家賠償法1条1項又は債務不履行(安全配慮義務違反)に基づき,控訴人に生じた精神的苦痛に対する慰謝料200万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成26年10月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
原判決は控訴人の請求を棄却し,控訴人がこれを不服として控訴した。
2 本件の争いのない事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,後記3のとおり当審における控訴人の主張の要旨を付加するほか,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1及び2に記載のとおりであるので,これを引用する。なお,略称は原判決の例により,特に年の記載のない月日は平成24年の月日である。
3 当審における控訴人の主張の要旨
(1) 一人通学指導について
ア N母は,一人通学指導の希望につき,千葉教諭等から左右の安全確認ができるようになったら検討する旨を聞き,納得していたにもかかわらず,一人通学指導マニュアル(甲1)の記載を曲解して校長室に怒鳴り込み,控訴人の指導力不足を口実として控訴人の行為について訴え,一人通学指導計画(乙7)の一人通学指導を要求した。
葛岡校長は,一人通学指導マニュアルを読まないまま,本件中学部における一人通学指導についてのN母の話を真に受けて,6月14日頃にはN母に空手形を発行し,一人通学指導の開始を確約した。
一人通学指導マニュアルにおいては「べた付き指導」は想定外である。
また,N君には急に走り出すなど,状況判断ができない問題があり,校外で,教員が離れて指導が行える生徒ではなかった。
イ 本件学校では教員の指導時間が上限に達しており,N母の要求する計

<3P>
画(乙7)は,教員の体制の観点から,労働基準法や法定された教職員の定員に違反する。登校時の指導は職員朝会への出席義務と矛盾し,下校時の指導は休息時間と矛盾する。
ウ 本件の事実経過の確定には葛岡校長の手帳及び6月6日付のN母の手紙の証拠提出が必要不可欠であるのに,被控訴人はその提出を拒否し,原判決は上記手紙の内容につき違法に事実認定している。
エ 控訴人は,6月15日に,葛岡校長から,一人通学指導計画の作成につき職務命令を受けた。一方,控訴人は甲16を作成しており,職務命令違反はない。甲16が未完成であるのは,本件中学部からの資料を要望し,その到着を待っていたからである。
乙7は,同月14日に,控訴人のパソコンの個人フォルダに無断で入れられたものである。控訴人が,事故の責任に関する念書を求めたのは同月末頃である。

オ 本件中学部における一人通学指導計画の存在及び実績は根拠がない。
被控訴人提出の書証( 乙4,11の1,2,12の1ないし3 )は,N君に関するものであるかを確認できない上,乙11,12は,その書式等に照らして偽造されたものである。また,本件学校におけるN君の一人通学指導の結果についても,証拠が提出されていない。
(2) 職場環境の保護について
甲28は,モンスターペアレントであるN母の不当な要求内容にほかならず,控訴人の指導力不足については何らの根拠もない。指導と称して繰り返された授業観察や研修報告書の強制は,実質的には一人通学指導についての控訴人の洗脳又は退職への誘導を目的とするパワハラである。

第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,控訴人の請求は理由がないものと判断する。その理由は,後記2のとおり補正し,後記3のとおり当審における控訴人の主張に対する判

<4P>
断を付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるので,これを引用する。
2 原判決の補正
(1) 原判決16頁5行目冒頭に「(1)」を加える。
(2) 原判決17頁6行目末尾に改行の上,以下を加える。
「 なお,控訴人は,被控訴人提出の書証( 乙4,11の1,2,12の1ないし3 )につき,N君に関する書証か否かにつき確認できない旨を主張するが,被控訴人において,別の生徒に関する書証をあえて提出するとは到底考え難い上,上記各書証の記載事項(通学経路,担任教師名等)は,N君に関する事実と符合するものであり,控訴人の主張は失当である。

(2) 控訴人は,被控訴人がN母の6月6日付手紙を書証として提出していない点を論難するが,原審において陳述された控訴人準備書面(6)(平成27年10月6日付)18頁には,控訴人が保有する上記手紙の写しに基づいて,前記1(9)の認定事実と同旨の記載があり,控訴人において,上記手紙の存在と内容を自認しているところであり,控訴人の主張は失当である。
(3) 控訴人は,事実経過の確定のため必須の資料である葛岡校長の手帳が提出されていない旨を主張するが,当該手帳ないしスケジュール帳自体が現存するとも,控訴人主張のような網羅的な内容を含むものとも認め難く(原審における証人葛岡裕9頁,10頁),控訴人の主張は失当である。」
(3) 原判決17頁11行目末尾に改行の上,以下を加える。
「 しかしながら,そもそも,前記1(3)及び(4)のとおり,障害児教育においては,自主通学はよりよい社会参加を目指すためにクリアすべき必須の課題であり,本件学校においても一人通学指導が指導の重点事項とされてい

<5P>
たものである。そして,前記1(10)及び(11)の各事実によれば,葛岡校長は,一人通学指導の必要性や本件中学部における指導状況に関するN母の指摘に加え,千葉教諭及び控訴人の意見聴取の結果を踏まえ,千葉教諭の理解を得た上で,N君についての一人通学指導が必要である旨判断し,計画の立案を命じたものと認められる。
そして,前記のような一人通学指導の重要性に照らせば,上記計画の立案に当たっては,N君の障害の特性や程度に応じた指導内容を最優先に検討すべきことは明らかであり,計画の実施に伴う個々の教職員の事務の負担は,上記の検討後に,事務全体の合理化や調整と併せて検討課題となり得るに過ぎない。したがって,本件管理職らにおいて,一人通学指導計画の立案ないし保護者(N母)に対する告知に先立ち,個々の教職員(控訴人)の事務分担を定める義務を負うものとは解し難い。控訴人の主張は,本件学校に対し,自らの事務負担の軽減を所与の前提とした一人通学指導計画の立案を求めるに等しく,失当なものというほかない。」
(4) 原判決17頁12行目「しかしながら,」を「また」と改める。
(5) 原判決20頁22行目「そして,」から21頁2行目「いうことができる。」までを以下のとおり改める。
「そして,控訴人は,N母に対し,6月6日に,一人通学指導に消極的な理由について「指導の体制ができていない」,「個人的に行うとしても2,3週間」と述べたものである。このような対応は,本来的な職務である一人通学指導について,教職員の負担を理由として消極的な姿勢を示し,これを個人的なボランティアであるかのごとく表現したものである。このような控訴人の対応は,前記(1)で述べたところに照らし,本件学校の教育方針にも沿わない不合理なものというほかなく,N母においてこれを理不尽な対応と感じ,控訴人の指導力や専門性(一人通学指導の重要性に対する理解等)に不信感を抱くことにも十分に合理的な理由

<6P>
があるものというべきである。以上述べたところに照らせば,葛岡校長において,N母の不信感に対応するための措置を執る必要があったものと認められる。」
(6) 原判決22頁22行目「前記(1)」を「前記(1)及び(2)」と改める。
3 当審における控訴人の主張についての判断
(1) 一人通学指導について
ア(ア) 控訴人は,N母が,千葉教諭等から左右の安全確認ができるようになったら検討する旨を聞き,納得していたにもかかわらず葛岡校長に直訴した旨や,また,葛岡校長が,一人通学指導マニュアルを読まないまま,本件中学部における一人通学指導についてのN母の話を真に受けて,6月14日頃にはN母に空手形を発行し,一人通学指導の開始を確約した旨を主張する。
しかしながら,N母が6月7日に葛岡校長と面談したのは,同月6日に控訴人が前記2(5)のとおり,教職員の負担を理由として一人通学指導に消極的な態度を示した直後である。このような控訴人の対応は,N君の安全確認の問題を指摘する従前の千葉教諭の説明と齟齬し,N母にとっては,安全確認の問題が改善しても,教職員の負担を理由として一人通学指導への消極的な対応が継続する可能性を認識させるものであって,N母において葛岡校長との直接の面談を求めたことには合理的な理由がある。
また,認定事実(原判決6頁21行目から7頁13行目,10頁6行目から11頁1行目)に照らせば,本件中学部における一人通学指導の状況についてのN母の申告は,真摯かつ切実なものであり,かつ,客観的に見ても,本件中学部における一人通学指導の状況とも合致するものであって,葛岡校長において,一人通学指導の開始の可否の判断に当たり,N母の申告を信用したことにつき不合理な点はない。

<7P>
控訴人の主張は理由がない。
(イ) 控訴人は,一人通学指導マニュアルにおいては 「べた付き指導」は想定外であり,N君の問題(状況判断)に照らして,校外で,教員が離れて指導が行える生徒ではなかった旨を主張する。
しかしながら,控訴人の主張する「べた付き指導」の意味自体が不明確である上,一人通学指導マニュアル(甲1)に記載された指導事例(5頁以降)に照らせば,本件学校において,担任教員が一定の範囲で生徒に付き添い移動することは想定されていたものと認められる。また,N君の状況判断に問題があったとしても,この点は程度問題であり,本件中学部における指導の状況や,千葉教諭が一人通学指導の開始に同意したことに照らして,指導開始の支障となるものとは認め難い。
以上によれば,一人通学指導の開始に係る葛岡校長の判断は合理的なものであり,控訴人の前記主張は理由がない。
イ 控訴人は,本件学校では教員の指導時間が上限に達していたことを前提として,教員の体制の観点から,労働基準法や法定された教職員の定員に違反する旨や,職員朝会の出席義務や休息時間との矛盾につき主張するが,前記2(3)のとおり失当である。
ウ 葛岡校長の手帳及び6月6日付のN母の手紙の証拠提出に関する控訴人の主張は,前記2(2)のとおり理由がない。
エ 控訴人は,6月15日に,葛岡校長から,一人通学指導計画の作成につき職務命令を受けた後,甲16を作成しており職務命令違反はない旨を主張するが,原判決(11頁2行目から3行目)の判示するとおり,一人通学指導計画の作成は中村主幹教諭に対し指示され,同月14日頃には計画が作成されたものであるから,そもそも同月15日に控訴人主張の職務命令がされたものとは認め難い。控訴人の主張は前提を欠き失

<8P>
当である。
オ 控訴人は,本件中学部における一人通学指導計画の存在及び実績は根拠がなく,被控訴人提出の書証(乙4,11の1,2,12の1ないし3)につき,N君に関するものであるかを確認できず,その書式等に照らして偽造されたものである旨を主張するが,原判決(16頁5行目から17頁6行目)の判示及び前記2(2)で述べたところに照らして採用できない。

なお,控訴人の主張するとおり,東京都の学習指導要録の電子化が平成24年度から実施されたものであり,にもかかわらず乙11の2(平成23年度分)の様式が,平成24年度から使用すべき様式で作成されているとしても,その作成時期が平成24年3月であること,従前の様式とは表現ぶりやレイアウトが異なるに過ぎないことに照らすと,乙11の1及び2が偽造されたものと認めることはできない。

また,控訴人は,本件学校におけるN君の一人通学指導の結果について証拠が提出されていない旨を主張するが,この点に関する葛岡校長及び中村主幹教諭の原審における供述(原審における証人葛岡裕13頁,14頁,証人中村良一14頁)の信用性を否定すべき事情は窺われない。また,前記アで述べたところに照らせば,一人通学指導の開始に係る葛岡校長の判断は,実際に行われた指導の結果にかかわらず合理的なものと認められる。控訴人の主張は採用できない。
(2) 職場環境の保護について
控訴人は,①甲28は,モンスターペアレントであるN母の不当な要求内容にほかならず,控訴人の指導力不足については何らの根拠もない旨,②指導と称して繰り返された授業観察や研修報告書の強制は,実質的には一人通学指導についての控訴人の洗脳又は退職への誘導を目的とするパワハラである旨を主張する。

<9P>
しかしながら,原判決(12頁7行目から23頁15行目)の判示及び前記2(5)で述べたところに照らせば,控訴人に対する授業観察や教材研究命令等には合理的な理由があったものと認められ,控訴人の主張は前提を欠く。

第4 結論
以上によれば,控訴人の請求は理由がなく,これを棄却した原判決は相当であるから,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第24民事部
裁判長裁判官 村田渉
裁判官 一木文智
裁判官 前澤達朗

<10P>
これは正本である。
平成29年6月22日
東京高等裁判所第24民事部
裁判所書記官 渋谷辰二

************
以上


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ベタ打ち版 KY 290622却下決定 閲覧制限申立て(3枚) 村田渉裁判官 葛岡裕訴訟 要録偽造

2023-01-08 10:09:33 | 指導要録
ベタ打ち版 KY 290622却下決定 閲覧制限申立て(3枚) 村田渉裁判官 葛岡裕訴訟 要録偽造 被控訴人 小池百合子都知事 #村田渉中央大学教授

* 入力代行文書 画像版優先

Ⓢ KY 290412 訴訟記録閲覧等制限申立書 村田渉裁判官
https://ameblo.jp/bml4557/entry-12783223365.html

**************
http://blog.livedoor.jp/marius52/archives/5401871.html
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https://ameblo.jp/bml4557/entry-12783225082.html

*************
<1P>
平成29年(ウ)第585号 訴訟記録閲覧等制限申立事件
(基本事件・平成29年(ネ)第306号 国家賠償請求控訴事件)

決 定

東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
申 立 人 東 京 都
同代表者知事 小 池 百 合 子
同指定代理人 石 澤 泰 彦
同 荒 井 幹 人
同 原 暁

主 文
本件申立てをいずれも却下する。

理 由
1 申立ての趣旨及び理由
別紙「訴訟記録閲覧等制限申立書」に記載のとおりであるので,これを引用する。なお,略称は上記申立書の例による。

2 当裁判所の判断
(1) 申立人は,本件対象文書には当該生徒及び当該保護者の私生活上の重大な秘密が記載され,これが第三者に閲覧等された場合,当該生徒及び当該保護者が社会生活を営むのに重大な支障を生ずるおそれがある旨を主張する。
しかしながら,民事訴訟法92条1項1号の「当事者」は,その文言上,訴訟当事者以外の第三者を含むものとは解し難く,申立人の主張する同号の類推適用についても,同号について,家事事件手続法の制定以後も同法47条と同旨の改正がされていないことに照らして根拠に乏しいものというほかない。
(2) 申立人は,本件対象文書が第三者に閲覧等されることとなれば,当該生徒及び当該保護者のみならず,他の生徒,保護者と学校との信頼関係が破壊され,

<2P>
特別支援学校における教育指導に著しい支障を生ずるおそれがある旨を主張する。
しかしながら,民事訴訟法92条1項2号の「営業秘密」は,不正競争防止法2条6号の営業秘密をいうものであって,申立人の主張する公務遂行上の秘密が含まれるものとは解し難く,この点に照らせば,申立人主張の同号の類推適用も根拠に乏しいものというほかない。
(3) なお,仮に申立人の主張する民事訴訟法92条1項1号又は2号の類推適用の余地があるとしても,当該生徒の障害の程度及び特性や,当該保護者の対応の在り方等(申立人の主張する本件情報)が,私生活についての重大な秘密に該当するかに関しては疑問がある。また,申立人の主張する当該生徒及び当該保護者の社会生活上の支障や,申立人の公務遂行上の支障は,むしろ当該生徒及び当該保護者の特定を可能とする情報(氏名,住所,過去の在籍校を含む在籍した学校等,入学年度,ないしこれらを推知させる情報)を閲覧等制限の対象とすることにより解消されるものと考えられる。
ところが,本件申立ては,これらの情報の一部について閲覧等制限の対象としないまま,当該生徒及び当該保護者に係るその他の情報について閲覧等の制限を求めるものであって,この点からも理由がないというほかない。

3 結論
よって,本件申立てはいずれも理由がないからこれを却下することとして,主文のとおり決定する。
平成29年6月22日
東京高等裁判所第24民事部
裁判長裁判官 村 田 渉

<3P>
裁判官 一 木 文 智
裁判官 前 澤 達 朗




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ベタ打ち版 KY 290412 訴訟記録閲覧等制限申立書 村田渉裁判官 葛岡裕訴訟 要録偽造

2023-01-08 10:05:59 | 指導要録
ベタ打ち版 KY 290412 訴訟記録閲覧等制限申立書 村田渉裁判官 葛岡裕訴訟 要録偽造 被控訴人 小池百合子都知事  #村田渉中央大学教授

* 入力代行文書 画像版優先

Ⓢ KY 290622却下決定 閲覧制限申立て(3枚) 村田渉裁判官 
https://ameblo.jp/bml4557/entry-12783225082.html

***********
http://blog.livedoor.jp/marius52/archives/5401869.html
https://marius.hatenablog.com/entry/2023/01/08/093629
https://ameblo.jp/bml4557/entry-12783223365.html

*************
<1P>
送付票
平成29年4月12日
(送付先)
控訴人 上原マリウス 様
(送付者)東京都総務局総務部法務課
原 暁
電話 03(5388)2519 FAX O3(5388)1262

(事件の表示)
当事者 控訴人 上原マリウス
被控訴人 東京都
事件番号 東京高等裁判所第24民事部ハ係
平成29年(ネ)第306号
事件名 国家賠償請求控訴事件

(送付文書)
・訴訟記録閲覧等制限申立書 1通
* 上記文書を受領後は、落丁や送付ミス等の有無を確認し、下記の受領書部分に記載及び押印の上、上記送付者及び上記裁判所担当部あてに、それぞれ本書面をそのままファックスしていただくようお願いいたします。
* 取り急ぎ、FAXで送付いたします。
受領書
東京高等裁判所第24民事部ハ係 御中(FAXO3(3561)8832)
東京都総務局総務部法務課 原 暁 行 (FAX03(5388)1262)
* 上記事件につき、上記送付文書を平成29年4月12日に受領しました。
(受信者)
控訴人 上原マリウス 印

<2P>
平成29年(ネ)第306号 国家賠償請求控訴事件
控訴人 上原マリウス
被控訴人 東京都
訴訟記録閲覧等制限申立書
平成29年4月13日
東京高等裁判所第24民事部 御中
被控訴人指定代理人 石 澤 泰 彦
同 荒 井 幹 人
同 原 暁
頭書事件について、被控訴人は、以下のとおり、訴訟記録閲覧等制限の申立てをする。

申立ての趣旨
本件訴訟記録中の別紙2訴訟記録閲覧等制限文書目録2記載の文書について、閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製の請求をすることをできる者を本件訴訟の当事者に限る
との決定を求める。

<3P>
申立ての理由
本件訴訟記録中、別紙2訴訟記録閲覧等制限文書目録2記載の文書(以下「本件対象文書」という。)には、控訴人が勤務校で担任した知的障害のある生徒(以下「当該生徒」という。)の障害程度、障害特性及びその保護者(以下「当該保護者」という。)の態様(これらを以下、「本件情報」という。)並びにこれらに関連する事柄等の私生活についての重大な秘密が記載されており、これらが当該生徒及び当該保護者以外の第三者に閲覧等されることとなれば、当該生徒及び当該保護者のみならず、他の生徒、保護者と学校との信頼関係が破壊され、特別支援学校における教育指導の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある。
よって、被控訴人は、民事訴訟法92条1項2号の類推に基づき、申立ての趣旨記載のとおり閲覧等の制限をされたく、本申立てをする。

(補足説明)
1 本件訴訟の争点と本件情報の扱いについて
本件訴訟において、控訴人は、勤務校(以下「本件学校」という。)で担任した知的障害のある当該生徒の指導及び当該保護者への対応について管理職から違法な指導等を受けたとして賠償を求めているところ、当該生徒の障害程度・特性及び保護者の態様が争点とされ、この点についての主張立証が不可避である。
控訴人は、当該保護者の控訴人に対する態度は常軌を逸した異常なものであったと主張し、その証拠として、担任と保護者間の日々の連絡等に用いられるいわゆる「連絡帳」そのもの、またはそれを抜き書きしたもの等を提出した。しかしながら、連絡帳は、本来、担任と保護者以外の者がその内容を見ることはないものであり、保護者はそのことを前提に、担任を信頼して、生徒や家庭内の事柄を隠し隔てなく日々記載するものであって、通常、保護者はその内容が、たとえ移記されたメモの形であれ、公開されることは予測しないところである。また、その他の証拠並びに主張部分においても、当該生徒の障害程度・特性や当該保護者

<4P>
の態様等(本件情報)について触れられている。
一方、被控訴人は、本件情報は保有する個人情報に当たることから、それらをいたずらに公にすることは望まないものであるが、本件訴訟で本件学校の管理職が行った控訴人に対する指導等の違法を主張されている以上、訴訟上の防御のためやむを得ず、管理職の指導の前提となる本件情報に係る必要最小限の資料を所定の手続を経て、また、一部については裁判所の求釈明に応じて、提出しているものである。

2 本件情報に係る記載のある文書が一般の閲覧に供された場合の弊害について
ところで、当該生徒や当該保護者はその意思に基づいて本件情報を本件訴訟に提供しているものではない。たとえ本件情報が裁判で必要なものであっても、本件情報に係る記載のある文書が当該生徒や当該保護者の承諾なしに第三者に閲覧等されることとなれば、児童生徒及び保護者との信頼関係が破壊され、今後保護者から児童生徒の指導等に必要な情報までもが提供がされなくなる等、特別支援学校の教育指導の遂行に著しい障害が生じるおそれが高い。

3 原審における記録閲覧等制限について
被控訴人の上記趣旨に基づく閲覧等制限申立に対し、原審裁判所は、平成27年11月17日付及び同年12月21日付の各決定(以下「原審決定」という。)によって、別紙1訴訟記録閲覧等制限文書目録1のとおり、訴訟記録の閲覧等を制限する決定をした。
4 当審における記録閲覧等制限について
原審決定以降においても、原審及び当審において提出された書面、書証中別紙2に記載されたもの(本件対象文書)は、上記2記載の弊害が生じるおそれが高い。
よって、被控訴人は、本件対象文書について、民事訴訟法92条1項2号の類推により、申立ての趣旨記載の裁判を求めるものである。

<5P>
(別紙1)
訴訟記録閲覧等制限文書目録1

第1 原審平成27年11月17日付決定の対象文書
甲第14号証

第2 原審平成27年12月21日付決定の対象文書
1 控訴人提出文書のうち
(1) 訴状
(2) 平成27年1月20日付け準備書面(1)
(3) 平成27年5月19日付け準備書面(2)
(4) 平成27年7月13日付け準備書面(3)
(5) 平成27年7月15日付け準備書面(4)
(6) 平成27年9月1日付け準備書面(5)
(7) 平成27年10月6日付け準備書面(6)
(8) 平成26年9月17日付け証拠説明書
(9) 平成27年7月13日付け証拠説明書
(10) 平成27年10月6日付け証拠説明書
(11) 甲第2号証の1から4
(12) 甲第3号証の1及び2
(13) 甲第4号証の1から11
(14) 甲第10号証の1から26
(15) 甲第15号証
(16) 甲第3号証の1乃至2 整理表
(17) 甲第4号証及び甲第5号証の整理表

<6P>
2 被控訴人提出文書のうち
(1) 答弁書
(2) 平成27年3月24日付け第1準備書面
(3) 平成27年7月13日付け第2準備書面
(4) 平成27年9月1日付け第3準備書面
(5) 平成27年12月15日付け第4準備書面
(6) 平成27年3月24日付け証拠説明書
(7) 平成27年7月13日付け証拠説明書
(8) 乙第4号証
(9) 乙第5号証
(10) 乙第7号証
(11) 乙第8号証
(12) 乙第11号証の1及び2
(13) 乙第12号証の1から3
(14) 乙第15号証
(15) 乙第16号証
(16) 乙第17号証の1及び2
(17) 平成27年8月25日付け上申書並びに申入書及びその添付文書
(18) 平成27年9月1日付け上申書並びに申入書及びその添付文書
(19) 平成27年10月6日付け上申書並びに申入書及びその添付文書

<7P>
(別紙2)
訴訟記録閲覧等制限文書目録2

第1 控訴人提出文書
1 原審での提出文書のうち
(1) 平成27年12月15日付け準備書面(7)
(2) 平成28年2月9日付け準備書面(7)訂正・補充書
(3) 平成28年4月19日付け準備書面(8)
(4) 平成28年6月7日付け準備書面(9)
(5) 平成28年9月27日付け準備書面(10)
(6) 平成28年4月19日付け証拠説明書
(7) 平成28年9月23日付け証拠説明書
(8) 甲第16号証
(9) 甲第21号証の1
(10) 甲第21号証の3
(11) 甲第23号証
(12) 平成28年7月19日付け証拠申出書

2 控訴審での提出文書のうち
(1) 平成29年2月7日付け控訴理由書
(2) 平成29年2月8日付け控訴理由書
(3) 平成29年2月13日付け控訴理由書(補充)
(4) 平成29年2月13日付け控訴理由書(補充02)
(5) 平成29年2月7日付け証拠説明書
(6) 甲第29号証
(7) 甲第30号証
(8) 甲第31号証

<8P>
(9) 甲第32号証
(10) 甲第33号証
(11) 甲第34号証
(12) 甲第35号証
(13) 甲第36号証
(14) 甲第37号証
(15) 甲第38号証
(16) 甲第39号証
(17) 甲第40号証
(18) 甲第41号証
(19) 甲第42号証
(20) 甲第45号証
(21) 甲第46号証
(22) 甲第47号証
(23) 甲第48号証
(24) 甲第50号証

第2 被控訴人提出文書
1 原審での提出文書のうち
(1) 平成28年2月9日付け第5準備書面
(2) 平成28年4月19日付け第6準備書面
(3) 平成28年4月19日付け文書提出命令申立てに対する意見書
(4) 乙第25号証
(5) 乙第26号証
(6) 乙第27号証
2 控訴審での提出文書のうち
(1) 平成29年3月30日付け控訴答弁書


以上


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ベタ打ち版 KY 24丁 H270324被告第1準備書面(副本) 葛岡裕訴訟 鈴木雅久裁判官

2023-01-08 07:54:27 | 指導要録
ベタ打ち版 KY 24丁 H270324被告第1準備書面(副本) 葛岡裕訴訟 鈴木雅久裁判官 

入力代行 画像版と齟齬がある場合は、画像版優先

****************
http://blog.livedoor.jp/marius52/archives/5401854.html
https://marius.hatenablog.com/entry/2023/01/08/080253
https://ameblo.jp/bml4557/entry-12783212508.html
http://paul0630.blog.fc2.com/blog-entry-4737.html
https://plaza.rakuten.co.jp/marius/diary/202301080000/

**************
平成26年(ワ)第24336号 国家賠償請求事件
原告 上原マリウス
被告 東京都

第1準備書面

平成27年3月24日

東京地方裁判所民事第25部乙2A係 御中

被告指定代理人 石澤泰彦
同       成相博子

(目次)
1 東京都立葛飾特別支援学校の概要・・・・・・・・・・・・・・・2頁
2 本件学校における一人通学指導について・・・・・・・・・・・・5頁
3 N君のプロフィール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6頁
4 N君の本件学校入学以降の経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・8頁
5 原告のN君に対する指導等の問題点・・・・・・・・・・・・・13頁
6 原告に対する指導・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15頁
7 原告の主張に対する反論・・・・・・・・・・・・・・・・・・17頁
8 結語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19頁
9 原告準備書面(1)について・・・・・・・・・・・・・・・・19頁

1 東京都立葛飾特別支援学校の概要 (乙1 学校要覧)
(1)知的障害高等部単独校
 東京都立葛飾特別支援学校(葛飾区金町2-14-1。以下「本件学校」という。)は、知的障害のある高校生のための特別支援学校(知的障害高等部単独校)であり、葛飾区の全域と足立区の一部を通学地域とする。
(2)生徒及び教職員
ア 生徒の実態(障害の種別・程度)
 平成24年5月1日現在における第1学年の在籍生徒数は55名、普通学級は7学級、重度・重複学級が2学級である(4頁)。
 同学年における出身校種別の生徒数は、知的障害特別支援学校(水元、南花畑、墨田)中学部からの生徒が17名、中学校の特別支援学級からの生徒が31名、中学校の通常の学級からの生徒が5名、知的障害特別支援学校以外の特別支援学校(視覚障害、聴覚障害、肢体不自由の各特別支援学校など)中学部からの生徒が2名である(4頁)。N君は、都立墨田特別支援学校中学部から本件学校に進学した。
 同学年における愛の手帳(※)の所有状況は、2度(重度)の生徒が12名、3度(中度)の生徒が9名、4度(軽度)の生徒が30名、未取得の生徒が4名である(4頁)。
 ※ 「愛の手帳」とは、知的障害者(児)が各種の援護を受けるために必要な手帳として、東京都愛の手帳交付要綱に基づき、都が独自に交付しているものである(国の制度としては、療育手帳がある。)。
 手帳の程度は1度から4度までに分類されている。1度(最重度)とは知能指数(IQ)がおおむね19以下で、生活全般にわたり常時個別的な援助が必要となる程度であり、例えば、言葉でのやり取りやごく身近なことについての理解も難しく、意思表示はごく簡単なものに限られる。
 2度(重度)とは、知能指数(IQ)がおおむね20から34で、社会生活をするには、個別的な援助が必要となる程度であり、例えば、読み書きや計算は不得手であるが、単純な会話はでき、生活習慣になっていることであれば、言葉での指示を理解し、ごく身近なことについては、身振りや2語文程度の短い言葉で自ら表現することができる。日常生活では個別的援助を必要とすることが多くなる。
 3度(中度)とは、知能指数(IQ)がおおむね35から49で、何らかの援助のもとに社会生活が可能な程度であり、例えば、ごく簡単な読み書きができるが、それを生活場面で実際に使うことは困難である、具体的な事柄についての理解や簡単な日常会話はできるが、日常生活では言葉かけなどの配慮が必要である。
 4度(軽度)とは、知能指数(IQ)がおおむね50から75で、簡単な社会生活の決まりに従って行動することが可能な程度であり、例えば、日常生活に差し支えない程度に身辺の事柄を理解できるが、新しい事態や時や場所に応じた対応は不十分である、日常会話はできるが、抽象的な思考が不得手で、込み入った話は難しいとされている(なお、以上の説明は18歳以上の場合であり、児童については年齢に応じて基準が異なっている。東京都心身障害者福祉センターHP参照)。
イ 第1学年教職員の構成
 平成24年5月1日現在における本件学校の第1学年の教職員構成は、学年主任1名、学級担任各クラス2名、副担任2名及び養護教諭1名である(33頁)。
ウ 平成24年度1年A組について
 N君が在籍した1年A組(普通学級)には7名(男5名、女2名)の生徒が在籍した。愛の手帳2度の生徒はN君1名、3度の生徒は1名、4度の生徒は5名である。
 主担任は千葉佳子教諭で、原告は副担任であった。更衣や排泄の指導は、男子生徒については男性の教員が、女子生徒については女性の教員が原則として担当している。
(3)日々の指導及び勤務の状況
ア 登校は8時35分で、その後9時30分まで各クラスで「日常生活の指導」(出欠確認、連絡帳・貴重品・定期券提出、更衣、清掃、学習準備)、「職業」(※)又は「生活単元学習」(※)が行われる。9時35分からの2限目からは、他のクラスと一緒に能力別の学習班又は作業班に分かれて、班ごとの教科や作業の学習となる。班別学習ではN君は1班に所属した。原告は3班を担当した。
 給食を挟み、午後は2時限(水曜日は1時限)の授業の後、「日常生活の指導」(更衣、連絡帳・貴重品・定期券の配布等)が持たれ、15時25分(水曜日は14時25分)に下校となる(21頁)。
 ※「職業」とは、社会参加としての勤労の意義について理解するとともに、将来の職業生活に必要な能力を高め、実習を積み重ねることによって、実践的な態度を育てることを目的とした指導。内容については、働くことの意義の理解に関すること、職業生活で使用する道具や機械の操作及び安全と衛生に関すること、役割と外のものとの協力に関すること、進路選択のための職業の理解に関すること、産業現場等における実習に関すること、職業生活に必要な健康管理や余暇利用に関すること、職場で使われる機械や情報機器などに関することを扱い、その他作業や実習などを積み重ねることで、将来の社会参加につながる力を伸ばすことを目指している。
 「生活単元学習」とは、学校内外における集団生活に参加し、人間相互の関係の理解や集団生活に必要な規律を習得し、自立的な生活に必要な事柄を、体験的、総合的に学習する指導の形態。生活単元の展開において指導される内容は、広範囲に各教科等の内容が扱われるものであり、例えば、国語科の「話すこと、聞くこと」、算数科の「量と測定、数と計算」、社会科の「社会的事象への興味・関心、消費生活」、理科の「身近な自然」、図画工作科の「絵画、デザイン、工作」、音楽科の「歌唱、器楽」などが挙げられる。生活単元学習は、単に各教科や領域の内容を合わせて指導するということではなく、飽くまでも、生活を中心とした具体的経験の組織化による生活力の育成が狙いである。
イ 教員の勤務時間は乙3(勤務時間割振表)のとおりである。
(4)進路状況
 本件学校の卒業生の進路は、約4割の生徒が就職し、約3割の生徒が福祉関係就労施設に通所し、約3割の生徒が福祉施設に通所となっている(24頁)。

2 本件学校における一人通学指導について
(1)本件学校における一人通学指導の意義
 本件学校の生徒の通学については、障害が重度である等やむを得ない理由により一人通学が困難な場合や、一人通学の個別指導計画に基づきあらかじめ一定の乗車期間を定めた場合、及び公共交通機関がないか著しく不便、あるいは歩行する道路事情が著しく危険な環境にある場合は全ての経路を「スクールバス」乗車による登下校を行っているが、それ以外の生徒については、自立して生きていくための必要な力をつける方針の下、基本的に徒歩や公共交通機関を利用した「一人通学」を行っている(甲1、乙1-14頁)。
 すなわち、1人で徒歩や公共交通機関を使って通学することは、様々な力をつけ経験の幅を広げる大きな学習場面となるほか、生徒が保護者から心理的に独立し目的を持って行動する大きな機会となる。さらに、一人通学ができることは卒業後の進路を考える上で選択範囲が広がることにつながる。
 このように、一人通学は「自立と社会参加」を目指す上での大きな力となり、その力が本人の「生きる力」へとつながっていくのであって、その指導の意味は決して小さくはないと捉えている。
(2)本件学校が行っている一人通学指導
 「一人通学」指導は、個々の生徒の特性を踏まえた「一人通学計画書」を作成し、付き添い通学から始めて、段階的に完全な一人通学ができるように指導するものである(乙1)。
 すなわち、一人通学には様々な能力が要求される。道路の歩き方、道路の横断の仕方、信号の理解、車・危険物の回避といった基本的な事柄から、道順の理解、交通機関の利用の仕方やマナー、さらには運転手や駅員等に対する意思伝達方法やトラブルの対処方法まで、広範囲に及ぶものである。
 一方で、生徒一人ひとりの能力は様々であり、また、通学途中の交通事情や交通機関の乗り換えの有無等も様々であって、最初は保護者又は担任が全部付き添う段階から始めて、徐々に、一部付き添いの段階、後追い観察の段階を経るなど、最終的に完全な一人通学を行えるようにするのが目標であるものの、どの段階を目標とするかも含めて、個々の生徒に応じた指導を行うことが必要である(「一人通学指導マニュアル」(甲1))。その指導の場面は、必ずしも登下校の場に限定されず、生徒の段階にあわせた柔軟な指導が求められる。
(3)本件学校における事故発生時の対策(迷子・行方不明)
 一人通学の実施には当然ながら危険が伴い、迷子等の事故が起こることを想定しなければならない。そのため、本件学校においては、そのような事態が生じた場合に適切に対応するために、その対応の手順を定めている(甲1-8頁、乙1-39頁)。

3 N君のプロフィール(平成24年4月当時)
(1)出身校での状況
 N君は、平成15年4月、東京都立墨田特別支援学校(墨田区八広5-10-2)小学部に入学し、平成21年4月同校中学部に進学し、平成24年3月、同校を卒業した。
 同校中学部在学中の平成21年度から平成22年度にかけて、保護者の協力の下、N君は一人通学指導を実施していた(乙4)。
 なお、本件学校の中村良一副校長は、平成8年4月から平成20年3月まで、墨田特別支援学校小学部に在職している。
(2)障害の程度(乙5 入学相談 班別記録用紙)
ア 概要
  N君は、発語はないものの、言語理解(力)・指示理解(力)はあり、コミュニケーションを取ることはできた。
  本件学校に入学した平成24年4月当時、愛の手帳2度(重度)であって、入学相談時の資料では、その特徴として、「集中して話を聞くことは難しい面がある、視覚的教材があると注目しやすい、土いじり、水さわりに固執することがある」とされていた。
イ 学習能力
  入学時に先立って行われた学力テストでは、文字・文章で回答することはできず(評価欄空欄)、1学年を能力別に10の学習班(1班当たり6人から7人)に分ける班分けでは、最も重度の1班とされた(学習班1班程度)。
  手本の上をなぞり書きすることはできるが(なぞり書きできる)、手本を横において別の紙に同様に写すこと(視写)はできなかった。また、言われた物の名前に相当する絵を指し示すことはでき(指さし、物の名前OK)、大きなものと小さなものの区別もできた(大小の理解OK)。
ウ 運動能力
  入学に先立って行われたスポーツテストでは、歩行・平均感覚についてはA評価(できる)、巧緻性・筋力、ラジオ体操、ランニングはB評価(部分的にできる)であった。指示された集団行動やゲームはできず(C)、ボール運動や言われた情報の伝達はやらなかった(D)。
エ 健康状態
  知的障害があるほか、自閉症・てんかんと診断されていた。
オ 入学前の面接時の状況
  入学前の面接において、質問に対して返答することは困難であった。また、座っていても動きがあり、たまに声が出ることがあり、手遊びが多かった。
  行動観察において、更衣は半介助が必要であるが、簡単な指示理解はあった。
  その他、水に対するこだわりが見られ、手洗いに時間がかかった。

4 N君の本件学校入学以降の経緯
(1)入学時から、5月連休明けまで
ア N君は平成24年4月(以下、単に月又は月日をいう場合は平成24年の月、月日を指す。)、本件学校に入学した。クラスは1年A組で、主担任は千葉佳子教諭、副担任は原告であった。
 N君の登下校は、母親又はヘルパーが付き添って開始された。
 N君は8時25分に教室に入り、担任教師が教室へ来る8時40分までの15分間、他の生徒が着替えをしたり係の仕事をしたりする間、N君は椅子に座ってずっと待つ状態が続いた。
 N君のクラスでの係は当初は出席簿係で、朝、職員室に出席簿を取りに行く役割であった。
イ 本件学校と家庭間の連絡は、「連絡帳」によって行われたが、N君については、家庭からの報告を十分記載できないため、4月11日から、特別な様式を使用することとなった(なお、甲3の1及び2は、当該連絡帳の記載を原告が抜粋したものである。以下、本書面における記述の文中及び文末のカッコ付日付は、同号証の該当部分を指す。)。
 連絡帳では、発語がないN君について、コミュニケーションを取るコツ(例えば、トイレに行きたい時のサイン、大きな音が嫌な時のサインなど)や仕草、癖等(例えば、手遊び、水遊び、土・砂いじり(4月19日、4月20日))、得意な事や苦手な事、急な予定変更でパニックとなった時の対応(4月24日)等について、教員側からの質問に母親が答える形で情報交換がなされた。また、母親からは、登下校時の様子や、下校後の習い事、休日の過ごし方等について情報提供がなされた。
 この頃、母親から、下駄箱での履きかえ時の対応、朝登校後の定期券入れの取り外し提出について、教員が手助けせずに言葉かけをして自力で行わせてほしい(5月2日)、また、水遊ぴ・砂いじり、タオル・ハンカチを噛む癖について可能な範囲で止めさせてほしい旨(4月26日)要望がなされた。
ウ 母親はPTAの用事で学校にとどまることがあり、その際にN君の様子を見学することがあった。また、原告は、母親から読んでほしいと渡された本(「重度の生徒の就労に向けての取り組み」愛媛大学教育学部教授 上岡一世著)を、なかなか時間が取れないとの理由で読まずに返却したことがあった(5月9日)。
(2)家庭訪問から体育祭明けまで
ア 5月10日午後、担任の千葉教諭と原告は、N君宅を家庭訪問した。その際、母親は、本件学校入学以前に在籍・卒業した都立墨田特別支援学校中学部では登下校を一人で行っていた、本件学校でも一人通学をさせたい旨希望を述べた。
 これに対し、千葉教諭は、N君が道路を横断するときの安全確認が不十分であること、もう少し様子を見てからにしてはどうかと提案し、母親も同意した。
イ 家庭訪問後に、母親は連絡帳に、体育祭(5月26日実施予定)明けくらいから、通学路の一部(本件学校と直近の金町三丁目バス停間)の一人歩きの練習に入りたいと記載した(5月14日)。
 これに対して、原告は、翌日の連絡帳に、一人歩きの練習に誰か付き添う人がいるのか、担任は現在下校後の後追いはできない、不安である旨書き入れた(5月15日)。
 母親はこれを受けて、登校の際、N君を少し先を歩かせる(母親やヘルパーは少し離れて付いて行く)(同日)、また、N君にGPS端末(GPS機能がある携帯端末)を持たせるが、ヘルパーや母親の視野に入る形での後追いの場合はGPS端末を持たせない旨記載した(5月16日)。
 千葉教諭は、本件学校の校舎から道路を隔てたグラウンドに渡る横断歩道で左右確認ができる様になれば一歩一人通学に近づくこと、左右確認ができる様になったら伝えること、一人通学にはもう少しゆっくりと取り組みたい旨書き入れた(同日)。
 母親は、これに対し、中学部(墨田特別支援学校)での一人通学と本件学校での一人通学の違いが理解できない旨感想を書き入れた(同日)。
ウ その後、母親は、ほぼ毎日、登下校の様子を具体的に連絡帳に記載した。この頃、学校から保護者に一人通学指導方針の記載がある「年間指導計画」(乙6)が配布された。
(3)授業参観週間(6月4日~6月8日)
ア 6月4日(月)から8日(金)までは本件学校では授業参観週間とされ(乙2 年間行事予定表)、保護者や近隣住民等は自由に本件学校内に入って授業等を参観できた。母親は、ほぼ毎日、1年A組の朝の会やN君の授業、終わりの会などの様子を参観した。
イ 6月5日、母親は面談の申し入れをし(6月5日)、翌6日、担任の千葉教諭及び原告と面談を持った。面談で、母親は、着替えや朝の係仕事について、教師が手を出さず、言葉かけをして見守ってくれるよう要望した(6月6日)。また、一人通学についても、現在の後追いから更にレベルを上げたい(例えば、N君から少し離れて後追いする形から、一時姿を隠して先回りして待ち構える(その間は、N君は全く一人で歩く)など、少し程度を上げる。以下「自主的な一人通学練習」又は単に「自主練習」という。)旨希望を述べた。これに対して、原告は、母親の要望どおりに行うことは難しい旨述べた。
ウ しかし母親は、やはり納得できない、墨田特別支援学校中学部の時は子どもの能力を信じることを教えられ一人通学を行った、本件学校でも一人通学を行いたい、学校には迷惑をかけない、明日7日から、自主練習を行いたい旨表明した。
エ 6月7日、母親は校長室を訪れ、校長に対して一人通学指導についての要望を述べ、本日より自主的な一人通学練習を始めたことを伝えた。
 校長は、原告を呼び、N君の一人通学の指導計画を作成するよう命じた。しかし、原告は、これを拒否したため、校長は、学年主任と生活指導主任に相談したところ、生活指導主任が原告に代わり一人通学の指導計画を作成した(乙7)。
オ 6月8日、母親は千葉教諭と面談し、自主的な一人通学練習について説明した。千葉教諭は、学校もN君の一人通学をパックアップしたい旨連絡帳に書き入れた(6月8日)。
(4)6月11日から6月16日まで
ア 母親は、登下校で、一時姿を隠して先回りして待ち構えるなどの方法での一人通学の練習(自主練習)を開始した(6月11日)。毎日、通学の状況を連絡帳に記載した。
イ 6月14日の登校時、自宅から自宅直近のバス停へ向かう途中で、一人で歩くN君が交差点を青信号で渡ろうとしたところ、同方向から来た車がN君に気付かずに右折して来たが、N君が先に気付いて立ち止まり衝突を回避できたことがあり、一人通学をさせるに当たっての安心材料になった旨母親から連絡帳で伝えられた(6月14日)。
ウ 6月15日、原告は、前日のことについて、危険な状態でありしっかりと付き添って通学するよう(自主練習は止めるよう)母親に申し入れた。なお、この時、原告は一人で母親と面談した(千葉教諭は立ち会っていない。)。
 母親は校長室を訪ねて校長に上記を報告するとともに、今後も自主練習を続けること、原告にN君の指導をさせないでほしい(原告の学級からN君を外して欲しい)旨申し入れた。
 母親は、さらに、学校としてできないことは年間指導計画に書かないで欲しい、原告の研修歴(研修実績)を教えて欲しい、原告の授業を観察して欲しい等申し入れた(甲2の1)。
(5)6月18日から6月28日まで
ア 週が代わった19日(火曜日)、母親は、N君の朝の指導(連絡帳提出、定期券取り外し提出等)を自分(母親)が行うと宣言して実施した(6月19日)。同日の下校時に、N君が途中で母親と落ち合うことができずに本件学校に戻ってしまう出来事があった(同日)。
イ 6月20日朝、原告は母親に対し、一人通学指導については勤務時間外の休憩時間に実施することとなるため、教員はいわばボランティアで行うことになり、事故発生時の責任も教員個人が負うことになるから一人通学指導はできない旨述べた。
 母親はこのことを校長に報告するとともに、原告に対して、上記発言の趣旨の説明を、連絡帳でなく別紙で回答するよう求めた(6月21日)。
ウ 6月21日、原告は、連絡帳に「ご質問にお答えします。『ボラ』『事故』について、休けい時間中に指導をしていて事故が起きたときの責任は誰が取ることになるかということです。担任がボラとしてやっていて責任を取ることになるのかということです。休けい時間を別にとり、業務であるので責任は学校にあるということで解決しました。また『組合としてはそうでしょうか』ということに対して、私は組合員ではありません。」と書き入れた(6月21日)。
エ 6月22日、母親は、別紙で回答を求めたにもかかわらず、原告が連絡帳に記載したことについて、原告に抗議し(6月22日参照)、その後母親は副校長と面談し、上記ウの連絡帳の記載のことを報告した。その際、副校長が、校内での教室間の移動の際、原告がN君の手を引いて移動させているところを目撃したことを告げた。その後、母親は、下校時に付き添いを依頼しているヘルパーからもN君が手をつないでくるとの報告があった、このことはN君の自立を阻害し、むしろ退行させる懸念があるとして、同月28日に予定されている校外学習には、原告以外の教員が引率するよう申し入れた。
オ 6月28日の校外学習で、N君の引率は副校長及び学年主任の飯田教諭が行った。
(6)6月29日から7月20日まで
ア 6月29日、母親は校長室を訪れ、校長、副校長と面談した。母親は、原告のN君に対する指導には問題が多いとし、6月15日に申し入れた点について対応を求めた。その後、校長は原告を呼び、母親が原告をN君の担任から外すよう求めていることを告げた(甲2の1)。
イ 7月2日、母親は、副校長に対し、6月29日(ボーナス支給日)の1年A組の帰りの会を、通常担当していた千葉教諭に代わり原告が指導したことに生徒が驚いたところ、原告は生徒に「今までは見習い期間でした」と述べたことなどを報告し、重ねて原告の研修歴を示すよう求めた(甲2の2)。
ウ その後、母親から校長に対し、原告が母親に対し、自分はN君の担任ではないという発言をしたことがあったことなどから、通知表(学期のまとめ)の教員欄には原告名を記載しないよう申し入れがあった(甲2の3、4)。
エ 7月20日、校長は、母親に対し、原告の氏名の記載のない通知表(乙8一学期のまとめ)を交付した。

5 原告のN君に対する指導等の問題点
(1)一人通学指導をしないこと(責任感・使命感の欠如)
 一人通学の可否は、本人の社会的能力や将来の進路に大きくかかわり、特別支援教育においても重要な指導内容の一つであり、N君の保護者もその指導を強く要望していた(前記4(2)ア、イ)。なおかつ、本件学校においても、一人通学指導の実施に指導の重点を置いていた(乙1、乙6)。
 そのような状況でありながら、原告は、N君の障害が重度であり達成の見込みがないこと、一人通学指導が勤務時間外でボランティアとして行われること、万が一事故が起きたときの責任を問われること等の独自の理由に基づき、一人通学指導を行わなかった(前記4(2)イ、同(3)イ、ウ、同(5)イ、ウ)。さらに、保護者がやむを得ず自主的に実施した練習についても、それを止めるよう求めた(前記4(4)イ、ウ)。
 しかしながら、特別支援教育において、指導は個々の生徒の障害程度に応じて行うものである。例えば、信号が分からなければ信号が分かるような指導をすることも一人通学指導の1つである。独自の理由に基づき一人通学指導を全く行おうとしない原告の対応は、自らの権利擁護のみを優先し、生徒の人権や保護者の切なる要望を無視するものであり、教育公務員としての責任感・使命感が全く欠如しているものである。
(2)N君の自立・自主性を阻害する指導(障害特性や生徒理解の不十分)
 原告には、N君の登下校時や授業時の諸準備(連絡帳の提出、定期券の取り外し提出、取付け、更衣、教室清掃のために机・椅子の運搬、出席簿の係活動等)に手を出してしまうこと、教室移動等で手をつないでしまうことが頻繁に見られた(前記4(1)イ、同(3)イ、同(5)エ)。
 生徒の安全を守るために手で引き留めることは安全確保のため求められることは確かであるが、原告がとった行動は、学校内の安全な場所であるにもかかわらず、本来生徒が自ら行う場を与える必要があることがらについて原告が対応してしまったり、単に生徒を移動させる目的で手を引いたりするということが頻繁にあったのである。
 こうしたことは、生徒の自立・自主性を阻害するものである。
(3)保護者との信頼関係の喪失
ア N君の個々の指導に関する保護者の要望を十分に受け止めなかったこと原告は、N君の母親が、着替え、連絡帳・定期券の提出等を自主的にできるよう指導して欲しいと再三要望したにもかかわらず、これを十分に受けとめなかった(前記4(3)イ)。さらに、一人通学指導に取り組んで欲しいとの母親の要望を十分に受け止めなかった(同(2)イ、同(3)イ、ウ、同(4)イ、ウ)。
 いずれの要望も保護者の要望としては想定しうるものであり、原告はこれを十分に受け止めて保護者に寄り添った対応が求められるところ、原告はこれを行わなかったことにより、保護者は原告に対する不信感を募らせた。
イ 保護者とのやり取りで不適切な対応があったこと
 上記アのほか、原告は、母親が参考図書を示して原告の指導方針や特別支援教育についての考えを聞きたいと求めたことに対して、当該図書を読まずに返却したこと(前記4(1)ウ)、母親が自主的に実施した一人通学練習について否定的に捉えたこと(同(4)ウ)、教師である原告自らは一人通学指導を行わないと母親に言い渡したこと(同(5)イ)、さらに、連絡帳に不適切な記載をしたこと(同(5)ウ)があった。
 このように保護者の要望を踏みにじったうえ、教員としての使命感に欠ける言動等により、原告は、保護者との信頼関係を喪失したもので、教師としての資質に問題があったと言わざるを得ない。

6 原告に対する指導
(1)N君の一人通学の指導計画の作成の指導
ア N君の母親は、5月連休明けの担任教師による家庭訪問以降、卒業した墨田特別支援学校中学部で行っていた一人通学を行いたい旨要望していたが、原告はこれを時期尚早と拒否したところ、6月7日頃、母親は校長に対して、一人通学指導の実施を要望した。校長はこれを受けて、原告に対し、一人通学の指導計画を作成するよう命じたものである(前記4(3)エ)。
イ 先に述べたように、一人通学の可否は、本人の社会的能力や将来の進路に大きくかかわり、本件学校の特別支援教育においても重要な指導内容の一つであって、N君の保護者もその指導を強く要望していたのであるから、N君の障害特性を踏まえて行うことが可能な指導目標を立てるなど指導の内容を検討すべきである。また、一人通学が自宅と学校の全区間において行われることは最終目標であって、その指導は、部分的、段階的に指導を行うものである。
 上記のような管理職らの考えに対して、原告は、N君の障害が重度であって達成の見込みがないと勝手に決めつけ、一人通学指導が勤務時間外でボランティアとして行われること、勤務時間外の指導中に万が一事故が起きたときの責任を問われること等の独自の理由に基づき、一人通学の指導計画を作成しなかった。結果として、生活指導主任が一人通学指導の計画を作成した(前記4(3)エ、乙7)。
(2)授業観察
 上記の母親の訴え以降、校長及び副校長は、原告の授業観察を行った。
 N君の母親は、当初は一人通学指導の実施を校長に要請したが、その中で、原告の日常の指導においても触れたことに端を発し、保護者の要望に沿わない指導等が明らかとなった(前記5(2))。管理職らとしては、母親の訴えを放置することは許されず、まず、当該事実の確認をする必要があったものである(乙9)。
(3)課題の作成
ア 原告の一人通学指導の不実施や、保護者の要望に沿わない指導による母親の原告に対する不信感は日を追うごとに増強され、母親の自主的な一人通学練習に対する6月15日の原告の対応や(前記4(4)イ、ウ)、同月21日の原告による連絡帳の書き込み(前記4(5)ウ)によって信頼関係は完全に失われ、その後も原告が自力で信頼関係を回復することはできなかった。
イ 当初、管理職は、母親が原告によるN君の指導を拒否していることを告げ、自力で信頼関係を修復するよう促したものの、原告は、母親の手紙を開示するよう強く求めるのみで、自ら関係修復を図ろうとしなかった(甲2の3)。
 そこで、管理職としては、母親の信頼関係を修復するために、信頼関係喪失の原因となった、原告のN君に対する指導上の問題点(前記5(1)、(2))の解決のために、N君のような重度の障害を持つ生徒に対する専門的な指導方法(教材作成を含む。)に焦点を合わせた課題作成(甲5の1)を命じた上(甲4の1ないし3)、これに対する副校長の講評・助言による指導を、夏季休業中に週1回の間隔(8月7日、14日、21日及び28日)で、原告に対して行ったものである。
 しかしながら、原告は母親の手紙等の開示等を強硬に主張し(甲4の3、甲5の2)、担任としてN君を指導する立場でありながらその指導を拒否し、重度障害児の指導方法とは異なる、学習3班における教材研究(九九、漢字ドリル等)にもっぱら終始し(甲5の2、3)、副校長による面談を「拷問タイム」と称して(甲4の3)、母親の求める専門性の向上を図ろうとしなかった。

7 原告の主張に対する反論
(1)原告の主張(責任原因(訴状4頁))
原告は、
① 管理職らが、原告に対して、N君の一人通学の指導を実行や責任を押し付けたこと
② 管理職らが、通知表から原告の氏名の記載を削除したこと
③ 管理職らが、原告の授業観察を行ったこと、課題作成を命じたこと、週1回の面談を行ったこと
が違法であると主張する。しかしながら、以下のとおり、何れの点においても何ら違法はない
(2)被告の主張
ア ①について
 原告は、N君は障害が重く一人通学は無理であると決めつけ、その上で、管理職らがその指導を命じたことが違法であると主張する。しかしながら、一人通学の可否は、就業の可否に直結し、特別支援学校高等部卒業後の進路選択に大きく影響することである。また、N君の保護者も一人通学指導の実施を強く要望している。したがって、仮に困難が予想されることがあったとしても、生徒一人ひとりの諸能力の向上を目指すべき特別支援学校としては、一人通学の指導を行うことはN君の自立にとって重要であることは明らかである。そもそも、本件学校の教育課程届や学校要覧(乙1-14頁)や保護者に配布された年間指導計画(乙6)にも記載されているように、一人通学の指導は本件学校の指導の重点に置かれているものである。
 よって、N君の担任である原告に対して一人通学の指導を命じたことが違法となることはありえない。
 原告が、N君は障害が重く一人通学は無理であると決めつけることは、指導力(その前提としての障害特性理解及び生徒理解)が不十分であることを示している。N君は、出身学校(都立墨田特別支援学校中学部)でも一人通学指導が行われていたし(乙4)、本件学校においても、一人通学指導が行われた結果、N君は、一部区間ではあるものの、学校とバス停(金町三丁目)間の一人通学ができるようになった。
イ ②について
 確かに、生徒・保護者に交付する通知表(学期のまとめ)に副担任である原告の氏名を記載しないのは異例ではある。しかしながら、原告との確執が生じたN君の保護者からの要望があり、その心情を配慮して、あえて、保護者に交付される通知表に原告の氏名を不記載としたものであって(「学期のまとめ」は飽くまでも家庭へ向けた学習の記録である。)、その不記載が違法と評されるものではない。
 なお、学校保管の公簿である指導要録等には、副担任として原告の氏名の記載がある。
ウ ③について
 管理職らとしては、原告には、一人通学指導の不実施以外にも、指導上の課題があり(障害特性理解や生徒理解、責任感・使命感の欠如、保護者との信頼関係の喪失)、その是正(指導力の向上)の指導を行うのは、管理職としての職責上当然なことである(乙9)。
 授業観察は、保護者からの苦情があった際に、苦情の内容が確かなものか、原告の授業内容を確認するためには必要なことである(乙9)。
 また、原告に対して出された課題は、原告に対する個別的指導(専門性向上の手立て)としての意味を有し、管理職が適宜実施できるものであるし、面談は、課題の実施についての講評を行うものであって、やはり個別的指導の一環として行われたものである。
 そして、課題の内容は、保護者との信頼関係について原告の認識を問うものであるところ、一人通学指導等を巡って原告と保護者との間で確執を生じ、さらに、原告の特別支援学校教師としての専門性に疑問を抱いた保護者との信頼関係が損なわれた事実からすれば、その状況(専門性の欠如)を認識させ、その解決に何が必要であるか(専門性の向上)を原告に自覚させるものであるから、適切妥当なものである。
 したがって、原告に対して、当該課題を出し、その指導のための面談を持ったことには何ら違法な点はない。

8 結語
 以上のとおり、原告の請求には理由がないから棄却されるべきである。

9 原告準備書面(1)(平成27年1月20日付け)について
(1)「第1 答弁書に対する認否」について
ア 1について
  千葉教諭は、5月10日の家庭訪問では、一人通学の開始はもう少し待った方がいい旨述べたが、その時点では、N君の能力がまだ十分に把握できていなかったためである。その後、N君の一人通学の自主練習をバックアップしたい旨肯定的意見を述べた(甲3の2、6月8日)。
イ 2について
  被告は、「一人通学の指導計画」(乙7)について述べているのであって、原告の言う「個別指導計画」とは全く別ものである。
ウ 3及び4について
  本書面5(1)、同(2)記載のとおり。保護者からの苦情については、校長及び副校長は十分に説明した(6(3)イ)。
  3のなお書き部分及び4は、非常に問題のある主張である。本件学校においては、生徒らの日常生活指導(一人通学指導を含む。)を行うことに重点を置いていたのであるから、N君の学級の副担任である原告にもそれが当てはまることは言うまでもない(乙1、乙6)。一方、N君が所属しない学習班3班の担当としての指導力を問うているのではないことは自明のことである。その日常生活指導上の指導力の欠如が問題とされているにもかかわらず、「一体何が問題なのかがわからず」というのであれば、その指導力の欠如以前の問題としか言えない。
エ 5について
  多くの教員によりごく日常的に行われていることがらであり、いちいち特定する必要を認めない。
オ 6について
  原告が、教室移動の際にN君の手をつないでいることは現認されている。
カ 7について
  人証により明らかにされる。
キ 8について
  中村副校長は、N君が卒業した都立墨田特別支援学校に平成8年4月から平成20年3月まで在職した。
ク 9について
  原告は、N君の一人通学指導計画を作成しなかった。学年主任と生活指導主任が代わりに作成した(乙7)。
ケ 10について
  日常の勤務時間の割振りは乙3のとおりであるところ、一人通学指導が休憩時間にかかる場合は、休憩時間をずらすなどして対応する。したがって、勤務時間外に及ぶことは一般的ではない。
コ 11について
  中村副校長は、平成24年6月28日に行われた校外学習(上野動物園)に引率として参加していない(答弁書10頁最下行は訂正する。)。
サ 12について
  授業観察は必要があれば行うものである。
シ 13について
  原告には、平成22年の時点で、三楽病院以外の医療機関(神経科)の受診歴がある(甲7、2010-03-11の記載)。

(2)「第2 原告の主張」について
ア 1、2について
  一人通学指導は学級担任の職務である。学級担任は、保護者と連携しながら、生徒の障害程度に応じた指導を行うべき職責がある。
  また、一人通学は、生徒の能力や通学経路の難易度によって、一部区間で実施することを達成目標とすることもあるから、原告の主張は当たらない。
イ 3について
  管理職は、口頭でN君の母親の要望の内容を伝えている。その内容は、甲2の1及び2並びに甲4の1ないし9に記されているとおりである。

(3)「第3 文書の提出要請」について
ア 1(葛岡校長のノート)、2(中村副校長のノート)について
  現時点で、提出の必要を認めない。
イ 3(母親の手紙、連絡帳)について
  母親は、手紙(学校所持)、連絡帳(保護者所持)について証拠提出を承諾していないため、提出できない。
ウ 4(N君の年間指導計画)について
  現時点で、提出の必要を認めない。
エ 5(N君の一人通学指導計画)について
  乙7として提出する。
オ 6(N君の心身の状態、能力について記載した書面)について
  乙5として提出する。

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