和州独案内あるいは野菜大全

第一回奈良観光ソムリエであり、野菜のソムリエ(笑)でもある者の備忘録のようなもの。文章力をつける為の練習帳に

ハウス歳時記

2008年05月20日 | 野菜大全
 トラクターに田植え機、軽トラが走り回る喧騒の日々が終わり、稚苗が薫風に揺れる穏やかな時節になりました。こんな時期に台風が日本列島をかすめるなんて・・・考えられない。しかもぞくぞくと後に続いています。
 そういえばこの時期、ハウスの天井のビニルをコツンと叩くものたちがいます。それはミズカマキリやタガメなどの水棲昆虫たち。田植えが終わり、落ち着いた頃に何処からともなく飛んでくる。どうやらハウスが反射する光を水面と勘違いしてるらしいのですが、普段生活してる限り絶対に出会わない虫なのではないでしょうか?子供の頃はもちろん、大人になっても映像でしか見たことが無い人も珍しくないかも。
 何処となくユーモラスな姿で陸上では動きもぎこちない、カメムシと同種ですがこちらは憎めないやつです。一通り観察しハウス脇の水溜めに放しておくと、後は勝手に飛んでいってくれます。
 カメムシ目といえば、あの憎きアブラムシも同目です。春先には露地に先駆けて「羽根付き」が発生し、自ら飛んだりあるいは風に乗ったりしてハウス内に蔓延してしまいます。羽付きを発見した時点で既に時は遅く、時期的な要素とコロニーが臨界に達しているサインでもあるようです。
 それまで単為生殖していたのが、羽根付きによって有性生殖に切り替わり、遺伝的多様性を確保しようとする、そのライフサイクルの見事さに脱帽ですが、さらにモモアカアブラムシなどは、小松菜に付いたものがホウレンソウにも、更にトマトにも付くといった感じに野菜の科目を横断的に寄生するので非常にやっかいです。
 彼らはテントウ虫やヒラタアブに捕食されたり、寄生蜂によってマミーにされますが、いかんせん絶対数が違いすぎるのです。もちろん私は在来の天敵しか知らないのですが、天敵農薬として導入された舶来物はスペックが高いのでしょうか?
 私的な感想では、天敵農法は救世主には成り得ず、化学的、物理的、耕種的方法の補完程度のものだと思われ、如何に天敵の密度を上げるかこそが天敵農法のポイントだと思われ、また限界でもあるように思う。
 何だかマニアックな話になってしまいましたが、もう一つアブラムシに関して話をすると、トマトに付くアブラムシは、初期の世代はほぼ全滅します。と言うのもトマトには粘性を帯びた細かい毛が生えており(しかも毛には長短の二種がある)、それに絡めとられる様に動けなくなり、やがて枯れた様に死んでしまいます。おそらくトマトのアクには殺虫成分があるのかもしれません。しかし次の世代ではやたら足の長いタイプのアブラムシが発生し、毛にも絡めとられにくくなります。最後には虫が優位になるのは、対抗進化の速度がやはり虫のほうが速いからでしょうか。
 ああ、ただの農家の独り言なので科学的根拠は乏しいことはあしからず。

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