和州独案内あるいは野菜大全

第一回奈良観光ソムリエであり、野菜のソムリエ(笑)でもある者の備忘録のようなもの。文章力をつける為の練習帳に

野菜だって生きている

2009年01月04日 | 野菜大全
 いつ以来でしょうかすっかり季節は冬になって年が変わってしまいました。畑では二度ほど雪がちらつき、今年というか去年一番の大雨が十二月に突風と共にやってきました。何時ビニールが飛ぶのか気が気ではない状態で、雷も近くで落ちるのでこれは堪らんと車の中に避難したりしていました。
 そんなこんなで、すっかりハウスの中は冬の野菜に変わっております。もう露地ではたまねぎ位しか育たない厳しい寒さがつづきます。
 かろうじてハウスの中だけは、日が射す間だけはポカポカ陽気の快適な環境になります。ハウスでは葉菜類が成長しているのかいないのか分からないくらい、ゆっくりじっくりとですが確実に大きくなっています。

 野菜というか植物は周知のごとく生物ですが、動物と違って動かないということが両者を分ける決定的な違いのようです。しかし植物だって生きている以上は動きます。ただ、人の時間とは根本的に違うということでしょうか?圧倒的に動きが遅いために人には止まって見える、丁度ファンゴルンの森でエント達の話し合いが二晩続き、ピピンとメリーは飽きて寝てしまったようなものでしょう。
 でも、意外に身近によく動く植物がいるんです。それは何の変哲も無い只の野菜、ホウレンソウです。
 冬場のホウレンソウはその寒さを乗り切り、霜害を防ぐために体内の水分をできるだけ少なくし、逆にビタミンやミネラルの濃度を高めて霜害による細胞の破壊を防ごうとします。それが冬場のホウレンソウの美味しさや栄養価の高さの理由なのです。
 そんなホウレンソウですが霜が降りれば一時的にですが、萎びてしまいます。風の無い晴天の日は、地表の熱が奪われる放射冷却によって厚い霜が降ります。まるで全てが凍り付いて眠ったような畑は本当に静かです。ところが太陽の光が差し込んでものの数分も経たないうちに霜はみるみる水滴になってビニルから落ちて、ホウレンソウ達も一斉に地面にへばり付けた体を弾かせ立たせるのです。さながらホウレンソウが踊ってるかのようにハウス全体が波打ちます。
 霜が降りれば毎度の光景なので別段驚くことではないのですが、見たことが無い人はやはり驚くのかもしれません。まあむしろ太陽の力を讃えるべきなのかもしれませんし、単なる反射といってしまえば元も子もありませんが。それでも植物は動かないものだという固定観念は取っ払ってくれるに余りあります。

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