茫庵

万書きつらね

2012年03月14日 - 訳詩について改めて思ったこと

2012年03月14日 03時46分05秒 | 雑記、雑感

訳詩

 最近訳詩を沢山読んでます。複数の言語で。欧州言語同士なら日本語ほどは違いがないのかと思いきや、結構原詩の味わいはそげ落ちてしまうのでちょっと意外でした。単に訳詩が下手なのかもしれませんが、大して日本語の訳詩と変わらないのではないかと思えてきたりします。

 やはり訳詩では原詩の詩情を十分に伝えることは出来ない、というより、訳詩とはそもそも別の詩なんだ、ということをもっと強く認識すべきであると思います。

 訳詩は所詮偽物、まがい物です。創作者のはしくれとしては、訳詩を読んで原詩が分かった気になるのはとても浅はかな事である、と思います。また、どうしてもある言語でしか表現出来ないニュアンスがあれば、やはり受け手もその言語で表現された内容を尊重すべきだとも考えます。要は、語学力のない人間に原詩をどうこう云う資格はない、という事です。その事を自覚した上で訳詩を楽しむべきです。

 といいつつ、自分、訳詩を捨てきれないでいます。つい目を通してしまうし、自分でもこうすればいいかなと考えてしまいます。そして、偽物とはいえ各言語毎にそれぞれの味わいが感じられるのも事実なのです。あくまでも原詩を本物とした場合の偽物、という事であり、単体で詩としての巧拙がどうか、という問題ではないのですから。