思いつくまま

思いついたことを書いています。

藻谷浩介著『デフレの正体』(角川ONEテーマ21)を読む。

2011年09月18日 22時22分22秒 | 読書
副題は、経済は「人口の波」で動く。経済を動かしているのは、景気の波ではなく人口の波、つまり、生産年齢人口=現役世代の数の増減である。
今は、景気の波を打ち消すほど大きい人口の波が日本経済を洗っている。

昨年ベストセラーになったが、今頃になって読んでも色褪せていない。この人は必ず客観的な数字でものを言っている。内容はすべては書ききれない。

藻谷さんの講演をもう何年も前に聴いたが、その時は刈谷駅前だったが、今度は大田川駅前。新日鉄名古屋製鐵所がある東海市、特急停車でセントレアへの通り道の駅なのだが、これといったものが何もない。愛知の駅前はJRも名鉄もどこも似たり寄ったり。
愛知はいつも引き合いに出されている。この夏にもまた愛知で講演しているし。秋にもある。
何とかこの人の講演に参加したいと思っても、仕事との兼ね合いでできなかった。

内需が拡大しないのは、景気が悪いから、とか、景気さえよくなれば皆がハッピーになると思い込んでいる人が多い。GDPが上昇したり、失業率が低くなったり、出生率が高くなれば、100年に1度の不況が克服されるというのも同じ。

いろいろと事実が書かれているが、ここには書ききれないくらい、自分達の常識を覆す内容になっていた。

出生数の絶対数の減少、団塊世代が次々に退職して、現役世代の減少、高齢者(所得はあっても消費しない)の激増

生産年齢人口の下落⇒供給過剰による価格の下落⇒在庫が腐る、経済が縮小する。
生産年齢人口の減少を補うものが何もない。生産性の上昇では追いつけない。

目標
①生産年齢人口が減るペースを少しでも弱める、②生産年齢人口に該当する世代の個人所得の総額を維持し増やす、③個人消費の総額を維持し増やす

処方箋
①高齢富裕層から若者へ所得移転させろ。
高齢富裕層は、筋金入りのウォンツ欠如、莫大な貯蓄を将来健康を損なった場合の医療福祉サービスに充てるために貯め込んでいるが、これを積極的には使おうとはしない。それで1400兆円死蔵している。こういう人が仮に平均年齢で亡くなっても、相続するのはまた60歳以上の高齢者ということになり、使うことなく死蔵されていく。
これを生前贈与などで少しでもいいから若者に回して、お金を使わせろ。

Wiiの任天堂、ヒートテックのユニクロ、東京ディズニーシー、ハイブリッドカー、地デジ対応テレビの買い替えは、高齢者でもお金を使わせるような「言い訳」を与えている。

高齢者医療福祉産業は、きつい・汚い・長時間低賃金労働となってしまっている。これは「政府の失敗」、医療費・介護費用の政府支出の負担を抑えるために政府が価格統制をしてきたが、戦後の住宅供給と同じように市場原理に任せるのが良い。

②女性の就労と経営参加を当たり前にしろ。
これは言っていることはもっともだが、具体的に女性を就労させる方策が見えなかった。

③外国人労働者を増やしても焼け石に水、それよりも外国人観光客・短期定住客を増やして、お金を落としていってもらえ。

勝間和代さんなどが声を高くしておっしゃっている、デフレ対策には日銀が金融緩和をして貨幣供給を増やせ、というものについても機能しないとのこと。

前置きが長くて、なかなか本題に入ってもらえなかったが、読めばそれなりに、そうだそうだと思えたなぁ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする