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Petrol Bug's
――――― THE SUNBEAM FROM THE FAR EAST ―――――
 



先日ガーダーのたる型スプリングを見事に巻き上げてくれたばね屋が、ヘアピンバルブスプリングも巻けるぜというので発注を試みる。手元のヘアピンバルブスプリングを元に、改善すべきは改善する方向で。各所計測の結果、おおよその値を出し、以下のポイントを変更してみる。



1. 自由長(ばねの高さ)を若干低めに。
…これは前オーナーから「少しばね圧を弱くした方が良い」と言われたのに加え、別の方面からも「スプリングは柔らかめが良い」と聞いたからだ。本来なら巻き数を増やすか、線径を小さくするかでばね定数を下げる方向で考えるのだろうが、どうもこのへん窮屈で、巻き数を増やすのはヘッドのフィンに干渉しそうで怖い。線径を下げるとしたらば0.5mm下げることになり…これだとばね定数が35~40%も下がってしまう。あまり柔らかすぎるのも不安だ…。そんなようなことをばね屋に相談したところ、じゃあ高さを少し下げれば?とのことなので、元より3~4mmほど低く発注してみた。果たしてそれでどれだけ柔らかくなるのかは未知数。曰く、たぶん効果あると思う、と。この辺はもうやってみるしかねえなあ。

2. リテーナー(バルブとスプリングを押さえる皿)が引っかかる台形部分の底辺を若干長めに。
…ここはなんか、もともとのスプリングは台形というよりもしずくのような形をしている。リテーナー側にも摩耗が目立つので新たに制作するとなると…。なるべく直線部分が大きい方が座りがいいはずだ。元のもので15mmあるかないかのところ、20mmほど稼いでもらうことにする。

3. スプリングの足部分を平行に。
…スプリングは2種類あり、一方の足は途中ですぼまって平行に近い形に作ってあるが、もう一方はハの字型に末広がっている。これによりバルブガイドにもハの字型に穴をあけねばならない。それは面倒な作りだし、末広がりであるが故に2つのばねが収まる穴同士の間の肉が薄くなってしまう。バルブステム径もトラ用の細いものから3/8の本来の太さへと戻すことも手伝って、どうにもバルブガイド製作が難しくなる。あとはヘアピンスプリングの円運動を無理くりバルブの垂直運動に合わせるため、ガイドに入っているスプリングの足は逃げるようにして穴の中を動くはず。このとき、ハの字型で動くよりは平行の足が平行の穴の中を行き来する方が摩耗が少ないのではないかと思うのだ。…いやどうだろう?わからん。…いずれにせよ、いくつかのヘアピンバルブスプリングを見てみても、足は平行になっているものの方が一般的であるように思う。なので、ここはハの字型の足を平行になるよう発注。つまりは以下のようなガイドの形状を想定して、スプリングをそれにあった形で作る、ということか。



この不景気にあっても、件のばね屋は仕事が絶える様子もなく。面倒な小口発注でもあるので、納期は余裕を見てひと月ほど。この発注…吉と出るか凶と出るか…。まあ、ダメならコイルだ。あとはガイドの素材をどうするかだなあ…。
 

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Lever  


閑話休題⑤。我がSUNBEAMは言わずもがなの逆出しレバーだが…。これがなかなか曲者らしく。ブレーキはいいものの、クラッチを逆出しで切るとなると切りシロが不足したり、ワイヤーを引く角度がキツくてぶち切れたりするそうです。なので前オーナーもクラッチ側には正レバーを取り付けてそれでクラッチを切り、逆出しはデコンプレバーとして利用していた。しかし普通の正レバーでは面白くない。錆びてたし。この際カッコいいのに替えようかということで、I氏に調査を依頼した結果、戦前ハーレーのリプロ品で手頃なものがあったので購入。…あ、オリジナルの何かを探すとか言うのは面倒なのでナシの方向で。eBayにでも出てりゃあそりゃあ買いますけど。



写真を見ると2つ並んでいますが、下がやってきたリプロ品の元々の形。これが1"ハンドル用ということもあってSUNBEAMにつけるには少々ゴツ過ぎて野暮ったい。クロームもキラキラ。そこでサンダーとエアリューターを駆使して華奢にしたのが上。…まあ、写真だとごく微妙ですけど、実際みると結構違うんです。これにニッケルメッキをかけたら出来上がり。何とか見られる感じには仕上がるんじゃなかろうか。どうだろう。このへんはトータルバランスだからなあ…。

…なんて些末なことをやったりもしていますが、機関部もちゃんと進めてます。特に問題のなかったロッカーボックスを組み立てたり…。あとはついにバルブスプリングまわりを。やめとけやめとけという周囲の声をものともせず、ヘアピンに挑みます。…コイルの方が正解なのは知ってる。だが、勝負せずに負けない人生に何の価値があるというのだ。そんなミジンコみたいな人生を送るくらいなら、僕ぁ勝負して負ける人生を選ぶね。………や、何も言うな。知ってる。負け戦だってこと。それでも男にはやらなきゃいけないときがあるんだよ。ジェニー。そんなわけでとりあえずはヘアピンスプリング製作からはじめようと思い、図面を引いていますが…。詳しいことはまあ、また今度。
 

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ドラム内部のグリス漏れ対策やリアアクスルシャフトのネジ切りなどで手間取ってしまったが…。







ついにローリングシャシーになりました。やれやれ…長かった…。そして未だ道半ば…。しかし苦労の甲斐あって、車体だけならどこにだしても恥ずかしくない仕上がりです。フォークについてははた言うべくもあらず、センスタもいい具合の渋さ・滑らかさで動きます。ドラムの中身がまだ空っぽなので、タイヤは後々また外さねばなるまい。
 

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先日リアドラムベアリング部分のダストカバーを旋盤工作したが…。思いのほかしっくりしているので、フェルトで済まそうとしていたフロントドラムについても、新たにダストカバーを作ることにした。



…こんな感じで。アルミ材はバーナーで炙るとかなり膨張するので、0.2~0.5mmアンダーサイズで作るのがよい。このダストカバーを嵌めたせいで、スピードメータードライブが入らなくなってしまったが…。どうせ元々飾り…。あいた穴を何かで埋めることとしよう。
 

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閑話休題④。思うように進まないレストア作業に業を煮やし、木製シフトノブを製作。木球の発注先は工房木よう大工。ファンシーなホームページですが、腕は確かです。



直径40mmの木球に面を切って穴を開けてもらい、そこにあらかじめ作っておいた真鍮スリーブ(5/16BSFのねじが切ってある)を軽圧入。スリーブのツバの部分に穴を開けて釘を打ち、回り止めを施して完成。



…ま、なんというか。こういう深刻でない作業をしていると、心が癒されますね。
 

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なかなか…ローリングシャシーにならないんだなあ…。ハブベアリングからグリスが飛び散る問題を抱えたドラム。フロントはフェルトを盛って対処したものの、まだリアが片付いていなかった。そしてリアはドラムのフタとベアリング周囲の土手の間に16mm近くも隙間がある(フロントは7mm程度だった)。さすがにフェルトを3枚以上も重ねる気にはなれず…。協議の結果、土手部分外径に圧入できるダストカバーを自作することに。



直径80mm、厚さ35mmほどのアルミ材をNT商店にてワンコイン(500円弱)で購入。中央になるべく大きなドリルで貫通穴を開け、そこからひたすら中グリで直径約73mm、深さ約18mmの凹みを掘っていく。正直こたえた。母材からすると半分以下にまで旋盤で削る作業は、切り子の量も疲労もしたたかなものである。現物合わせで適度な圧入になるようモノを削った後…バーナーで温め、アルミを膨張させてはめ込む。



冷間時はいい具合だったが、温めるとするっと抵抗なくはまり、少し緩かったか?とも思ったが、冷えたらかっちり圧入された状態に。まあ、シャフトもあるし、スカート丈がフタとのクリアランスよりも大きいので、万が一ドラムの熱で暖まってもすっぽ抜けることはあるまい…。だめなら適度なスペーサーを噛ませることといたそう。
 

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ガーダーのたる型スプリングを発注。発注先は東京都大田区Aスプリング工業所。前回サドルシートスプリングを発注した先がやや仕事に不満が残る結果になってしまったのを受けて、発注先を変えてみました。家から近いのも助かります。そして、結果それはかなり正しい判断だったと言えよう。素晴らしい仕事ぶりです。



小口の上に面倒臭く、しかもあやふやな発注にも関わらず、40代の若い社長(3代目らしいです)が嫌な顔ひとつせず親切丁寧に対応してくれる。HPを持ってから通算2人目の個人発注だそうです。思っていたよりも大きな工場で、同業他社からの発注も受け、職人を抱えているので融通も効くようです。たる型は機械で簡単に作ることができないので、一度まっすぐな芯金に巻いて、その後職人が手で絞ることになるそうで…。サスペンションならオイルテンパー線がよいと薦められてそうしたものの、その後工程の関係上、オイルテンパー線では固くて絞るのが大変だから普通のばね鋼でお願いしますということになったのは、まあご愛嬌。結局、全長22mm。線径8mm。総巻き数15.5。最大外径56.5mm。両端最小径は44mmで、ばね受けに現物合わせで製作してくれました。納期は急ぎでないので2週間。日本の産業、素晴らしい。



早速仮組み。写真だと全然素晴らしさが伝わらないんだけど…。サイズもばね受けもジャスト。新品なのでへたりが解消され、線径が0.2mm太くなり、総巻き数15.5でややピッチも細かくなったので…。おそらく以前よりも固めに仕上がっているだろう。サイドダンパーもしっかりしたことだし、これでかなりシュアなフロントになるはずだ。スプリングが固すぎた場合…。もう1度発注かなあ。お値段も比較的リーズナブルだし。…いいね。



後は再三の仮組みにより塗装が剥げてしまったばね受けを再塗装。リアタイヤが来たら、今度こそ本当にローリングシャシーです。…燃えてきた。
 

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唐突ですが、ピストンが来ました。英国のバイク屋とやりとりすること数ヶ月…。しかしその甲斐あってなかなか素晴らしいNew Old Stockです。今回必要な+040に加えて、予備としてもうひとつ。+030ならあるとのことだったので、それを。



しかしこうしてまじまじと眺めるに今まで入っていたアレ、素性が知れぬと嫌疑がかかっていましたが…。や、サンビーム用のピストンだったみたいですね。形は今回来た物とほぼ同じ、サイドにオイル用の溝が切ってあったのは誰かが後から加工した物であろう。それかまあ「今回来た物もサンビーム用じゃない」ということも考えられますが…。そこは考えないようにしたい。いずれにせよ、これでクランクを内燃機屋に出せそうです。

さて、前輪だけタイヤが来たのでタイヤを嵌めてしまいます。新鮮なのか非常に柔軟な(ヤワという説もある)AVONで、タイヤレバーを1回しか使わなかった。タイヤの片側をリムにはめ込むときは、立てて作業すると都合がいいそうです。ついでにドラム内部にベアリングのグリスが飛散するのを防ぐため、土手にフェルトを盛っておく。3mm厚12mm幅のフェルト3枚を重ねてシールで貼付けて、ドラムのフタで押さえ込み、ナットを締め込む。…なにもないよりはマシでしょう。



あとは…。ちょっと飛んでタンクのレストアを。ニーパッドラバーがガビガビだったのを新品に交換。タンクについた1本ねじに留まっているだけなので、単純にラバー自体をぐるぐるまわせば取れます。ミッションレバーもひと通り分解、洗浄、チェック。大きな問題はないようなので再び組んで終了、と。







レバーの先端。何かウッド的なもので作ろうかなー。
 

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