八国山だより

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増加する「無敵の人」-東京新聞より転載

2014-05-18 08:50:38 | ニュース・時事
 以下は5月18日付け東京新聞コラム「週刊誌を読む」からの転載です。

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増加する「無敵の人」 深刻な格差社会

『アエラ』5月19日号が「『無敵の人』と無差別犯罪」という記事を掲載している。私も取材に協力し、コメントが掲載されている。

 
 「無敵の人」という言葉をご存じだろうか。同誌が着目したのは、「黒子のバスケ」脅迫事件の渡辺博史被告が初公判の意見陳述で述べた一節だ。「自分のように人間関係も社会的地位なく、失うものが何もないからこそ罪を犯すことに心理的抵抗のない人間を『無敵の人』とネットスラングでは表現します。これからの日本社会はこの『無敵の人』が増えこそすれ減りはしません。日本社会はこの『無敵の人』とどう向き合うか真剣に考えるべきです」

 渡辺被告は36歳だが、今まで定職に就いたことがなく、年収が200万円を超えたことがないという。まさにこの10年で拡大した格差社会の落とし子なのだが、その世代が今30代後半を迎えつつあるのだ。

 将来にもう希望がないことを悟り、死ぬことを考えた。そして、成功者の象徴である人気マンガ「黒子のバスク」の作者を道連れにしてやろうと起こしたのが、一連の脅迫事件だったという。

 それまでに何かに燃え尽きる体験などなかった渡辺被告にとって、警察に追われながら犯行を重ねた一年余りは「人生で初めて燃えるほどに頑張れた」期間だったという。犯罪を遂行したら自殺するつもりだった。

 渡辺被告は自分の犯罪を「人生格差犯罪」と命名し、初公判の意見陳述で最後をこう結んだ。
 
 「こんなクソみたいな人生やってられるか! とっとと死なせろ!」

 『アエラ』の記事は、このほか2月に名古屋駅近くで通行人に乗用車で突っ込んだ男性と、3月に千葉県柏市で連続殺傷事件を起こした男性も取り上げている。

 「無敵の人」。何とも恐ろしい言葉だが、今そういう人が増えつつあるのは確かだろう。

 渡辺被告は、他のマスコミと違ったスタンスで発信をしているという理由で、逮捕前から私に手紙を送ってきていた。先頃、彼の意見陳述をブログで公開したところ、人ごととは思えないという書き込みが相次ぎ、アクセス数は50万を超えた。日本社会の閉塞状況は相当に深刻だ。
 (月刊『創編集長 篠田博之)


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「日本社会はこの『無敵の人』とどう向き合うか真剣に考えるべきです」-この言葉を安倍晋三に捧げたい。「集団的自衛権の行使」に現を抜かすのではなく、こちらに真摯に対応することこそが国民の命を守ることではないか。



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