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郵政事業見直し 政権の迷走と経済への影響、というが

2010-04-13 22:21:00 | 経済
郵政事業見直し~政権の迷走と経済への影響
BPnet 真壁昭夫 2010年4月12日


 3月下旬、亀井金融・郵政改革担当大臣と原口総務大臣が発表した、郵政事業の見直し案については、政権内部でも意見が分かれました。一時は、事態 の収束も困難と思われるほどの混乱振りでしたが、最終的には、鳩山首相の決定によって、当初案がそのまま通ってしまった格好です。見直し案について、しっ かりした検証もなく、効率の低い巨大な官製金融機関を残すことは、長い目で見て、わが国経済の発展を阻むこともなりかねません。まさに、民主党政権の迷走 が浮き彫りになったと思います。

小泉改革から180度の転換
 
 先ず、今回の見直し案の内容を整理すると、主な内容は2つあります。一つは、今国会に提出予定の郵政改革基本法案の成立にあわせて、郵便貯金の預 入限度額を現行1000万円から2000万円に、簡易保険の限度額を1300万円から2500万円にそれぞれ拡大することです。もう一つは、政府から郵政 親会社への出資と、親会社から子会社への出資をそれぞれ3分の1超とすることです。
 それ以外にも、郵政事業会社間で消費税の支払いを免除するという議論もあるようですが、主要な2つの変更点を見ると、小泉改革で、郵政事業を民営 化して民間事業会社とし、コーポレートガバナンスの働きで、事業を効率化するといった考え方を、大きく変えようという意図が見られます。国の出資を3分の 1超とすることは、基本的に、郵政事業を国の事業としての位置づけに継続することを狙っているということでしょう。
 郵政関連事業を国の事業と位置づけ、さらに、郵貯の預け入れ金額の上限や、簡易保険の限度額を拡大する分けですから、おそらく、郵政関連事業の規 模が拡大することになるはずです。それは、「民間でできることは民間に任せる」という、小泉改革の考え方を180度変えることになると思います。こうした 動きは、郵政民営化に反対した亀井氏が、金融・郵政改革担当大臣に就任したときから予想されたことですが、それが、具体的に動き出したといえるでしょう。

一部利用者にはベネフィットも
 
今回の見直しの背景には、かなり複雑な事情があると思います。最初に思いつくのは、小泉改革を批判して、昨年夏の衆院選挙で政権交代を実現した民 主党の戦略です。民主党の戦略は、小泉改革に不満を持つ人たちの不満を集める戦略を明確にしていたと思います。その一つが、特定郵便局長会や労働組合など の郵政民営化に反対したグループです。そうしたグループからの賛同を得ることは、今年夏の参院選挙にも有利に働くことが考えられます。
 地方の過疎地などで、郵政民営化に伴って、実際にサービスの低下に直面した人々にとっても、今回の見直しはそれなりにベネフィットがあると見られ ます。また、預け入れ金額が拡大することは、一般の郵貯の利用者にとっても使い勝手がよくなるはずです。国の信用力供与が強化されるわけですから、それだ けリスクの低い金融機関に、他の金融機関と殆ど遜色のない金利で預金をできるというメリットも大きいと思います。
 また、実際に郵政関連事業を経営している側から見ると、預入金額の拡大等によって、事業規模が拡大することは、それだけ社会の中で発言力が高まる ことになります。さらに、郵政事業の規模が大きくなると、国債の購入可能額も増大することになると予想されます。それは、今後、国債の消化には有利に働く と考えられます。国債を発行する側にとって見れば、それは大きなメリットになります。少なくとも、郵政関連事業会社の国債購入余力が増加することで、短期 的な金利の上昇を抑えることも考えられます。
 一方、郵政事業に多額の資金が流入すると、民間金融機関から預金が流出することが考えられます。いわゆる民業圧迫です。それが、短期間に大きな流 れになるとは思いませんが、中・長期的には、民間金融機関、特に、地方の中小金融機関が痛手を受ける可能性は高いでしょう。

最終的にコストは税金で負担か
 
 実は、今回の見直し案で最も心配なことは、郵政関連事業の中には、郵便事業など、効率が悪く、収益性の低い分野があります。今回の見直しによっ て、そうした事業が国の事業として残ってしまうと、その分野の合理化が遅れて、社会全体のコストを増加させる可能性があります。そのコストは、最終的に、 社会全体=私たちの税金で負担することになります。
 また、郵政関連事業会社の資金運用にも問題があります。今まで、郵政関連事業に集まった資金の多くは、国債購入に向けられてきました。これから も、そうした状況は大きく変わらないでしょう。金利水準が下落している間は、そうした運用でも利益を上げることは可能です。しかし、金利水準が上昇し始め ると、国債の長期金利は固定である一方、郵貯の貯金金利の上昇によって、収益状況は悪化するはずです。
 また、多額の資金が郵便貯金などの経路を通って、安全資産である国債に回ることになると、社会全体のリスクマネー=リスクをとっても良いという投 資資金が、減少することが考えられます。リスクマネーの規模が低下すると、産業分野へ流れる資金量が減って、経済全体の成長率を低下させることも想定され ます。それは、わが国の経済全体にとって、マイナスの影響を与えることになりそうです。

 真壁氏は考え違いをしている。
そもそも民営化する必然性はなかった。非効率的な部分は確かにあったろうしその点で改善は必要だったろう。だが、郵便局には税金は一切使われていなかった。公務員数の削減など、見かけ上は減ったとしてもそれで国のお金が節約できたわけではない。小泉や竹中の嘘だ。給料は自分たちの稼ぎから出していた。逆に税金を国に納めていたくらいである。「最終的にコストは税金で負担か」などと言っているが元々税金を使っていない、逆に税金を国に納めている組織を無駄にいじくるからそうなるのだ。

 郵政民営化は日本のことを考えてのことではない。小泉俊明議員も「郵政民営化の本質は350兆円もの郵貯・簡保資金をアメリカの財布にすることだった」と述べている。でなければ郵政民営化会議という日本の内政のことにアリコやアフラックなどのアメリカの保険会社が17回も参加するはずがない。小泉や竹中は日本を売ったのだ。小泉「改悪」はあっっても小泉「改革」はない。

 真壁氏は特定郵便局会を一種の圧力団体ととらえているようだが、そもそも特定郵便局とはどんなものか分かって言っているのだろうか。
「臥龍通信」というサイトに「郵政民営化法案の欠陥」と題する記事があり、以下そこから必要な情報をピックアップする。

平成15年当時、普通郵便局1,310ヵ所、簡易郵便局4,470ヵ所、特定郵便局18,935ヵ所の計24,715ヵ所の郵便局で郵政事業は成り立っていた。

普通郵便局と簡易郵便局(計5,780カ所)は郵便局の土地や建物などを国家資産や地方自治体委託で運営されているのに対し、特定郵便局は、特定郵便局長の個人資産で郵便局の土地と建物が提供されている。本来国がそうすべきところ国にお金がないために個人の試算を提供してもらいその特典として公務員の地位を保証したものである。特定郵便局長というのはそういう特殊な公務員である。

以下は「臥龍通信」からの引用である。

「公務員の地位」と「世襲制」が否定される郵政民営化は、20年や30年の個人ローンで郵便局を建てた「特定郵便局」にとっても大きなリスク問題です。継 続するにしても民間企業としてリスクがあるわけで、廃止になればローンリスクは個人にかかってきます。郵政事業のために土地と建物の資産リスクを負担する 「特定郵便局」はとても「郵政民営化企業の社員」にはなれません。

「特定郵便局」の世襲制が批判されることもありますが、「特定郵便局」の建て替えや移転で個人ローンのリスクを負うのは「特定郵便局」の個人です。約1万 9000の「特定郵便局」の土地や建物を国家が用意すればいいのですが、それだけの国家資金がないために個人の資産で運営されているのが郵便局です。

コンビニ・チェーンのオーナーがコンビニ本社から、「土地と建物と内装の資金を負担してくれ。しかし、子供には事業は継承させないし、オーナー店長でもク ビになり給与がない場合もある」と言われても困りますし、だれもそんなチェーンに資金を出して参加しません。今回の郵政民営化はまさに資金は出させる が、世襲も雇用も保証しないという過酷な民営化なのです。郵政事業は国家によって成り立っているのではなく、「特定郵便局」の個人資産で成り立っているの に、国家のものだと民営化しようとしています。税金を自分の金と勘違いして無駄使いする中央官庁の官僚を放置して、自分の資産を提供までして税金も使わず 運営されている郵政事業がなぜ悪者扱いなのか分かりません。

一般公務員とは違う個人の資産を提供して郵政事業を支えている「特定郵便局」の問題は、今後十分に話し合ってこれまでの約束も認めながら、民営化するなら 慎重な「特定郵便局」との協議が必要です。国民の多くは郵政事業は国家事業で、すべて国家資産の国有事業と思っているかもしれませんが、JRで言えば、全国の駅が社員の個人資産の提供で企業運営されてるようなもので、NTTで言えば、全国のNTT支店の土地と建物が社員の個人資産の提供で企業運営されるようなものです。新たな郵便局の開設には個人資産が必要で、社員に給与を払い、社員に賃貸料を払っているといっても、いつ廃止されるかの不動産リスクを負うの は個人の社員です。郵政民営化は小泉首相が考えるほど簡単なものではなかったのです。

「民間でできることは民間に任せる」-全国津々浦々、辺鄙なところにも郵便局はあった。赤字の所もあったろう。民営の企業なら赤字の事業所は廃止だろう。ならば郵政事業は民間でできないことである。したがって民営化は間違いだったのだ。

 預け入れ限度額の引き上げが民業を圧迫すると言われるがユニバーサル・サービスの維持ということであれば納得がいくのではないか。
都会の人には郵便局の存在価値は理解できないかも知れないが、たとえば自分の実家などの田舎には民間金融機関なんてほとんどない。コンビニもない。そんなところでは郵便振込を扱ってないところへの振込があると大変である。地方にあっては郵便局は単なる事業体ではなく、たとえばひとり暮らしの老人に声をかけるなど地域のつながりを維持するなどの役目も果たしてきた。利益が上がらなくともそれなりの数を設置して国のサービスはどこにいても平等に受けられることが望ましい。都会育ちの小泉氏や真壁氏にはわからないだろうが。
 

 



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政府、基礎的収支改善を再び目標に←同じ失敗を繰り返してどうする

2010-03-30 20:13:07 | 経済

政府、基礎的収支改善を再び目標に
2010/3/30付 日経新聞朝刊

 政府が6月をめどにまとめる中期財政フレームと財政運営戦略の素案が29日、明らかになった。財政健全化に向けて、基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を段階的に改善し、公的債務残高の対国内総生産(GDP)比の安定的な縮減を目指す目標を掲げる。税収や歳出に見合う財源を確保する「ペイアズユーゴー原則」などの財政運営ルールの導入も盛り込んだ。

 プライマリーバランスは、毎年の政策に必要な経費を借金に頼らずに、どれだけ賄えているかを示す指標だ。中期財政フレームは、2011年度から13年度までの歳入見込みや歳出削減など予算の大枠を定める。もう一方の財政運営戦略は中長期の財政規律のあり方を示したものだ。

 『消費税は0%にできる』の内容ともかぶる点もあるがその著者の菊池英博氏の所説をまとめたのが「Economic Expansion Policy (Tokyonotes 東京義塾)」氏のところに掲載されている。
 
 そのRestoration of Japan 2 経済を陥没させた「構造改革」の中でこのように述べている。

 日本は二つの誤った経済政策を取り入れたことで、「10年デフレ」「10年ゼロ成長」を招いた。それは「基礎的財政収支均衡目標(2011年度目標)と「金融庁の三点セットによる金融機関の締め付け(ペイオフ、時価会計・減損会計、自己資本比率規制)」である。そのベースとなったのが、新自由主義・市場原理主義という「伝染病」だ。

 伝染病に罹患した政府与党は「小さい政府」「均衡財政」「消費税引き上げ」という三つのドグマに陥った。結果として現在の日本は、緊縮財政デフレ->経済規模縮小でゼロ成長->雇用減少->税収減->増税(既に定率減税廃止)->消費税増税という「悪魔の縮小均衡」の状態にある。抜本的な政策の変更がなければ「20年デフレ」「20年ゼロ成長」へ向かって一段と深刻になるであろう。

 「ペイアズユーゴー原則」(財源を別の歳出削減か、増税でみつけなければならない)が「量入制出」(税収の範囲内でしか支出しない)に終わればこれまでの自民党と同じである。菊池英博氏の『消費税は0%にできる』では、財政本来の理念は「量出制入」であり、国民の幸福を維持向上するために必要な財政支出(量出)を確保するために、経済政策によって、いかにして財源を創り出していくか(制入)にあるべきである、と説明しておいり、その考えで経済を活性化させ、税制を改正して財政再建との両立に成功したのがクリントン大統領であり、クリントン・モデルとのこと。前車(自民党)の轍を踏んではそれこそ日本は終わったということになる。

 『消費税は0%にできる』にはこのような説明がある。

1981年就任のレーガン大統領は、市場原理主義型の税制(フラット税制)を導入して、法人税と所得税を極端に低くし、一部の富裕層と株主や経営者の所得を最大にする財政政策をとった。その結果、5年後にアメリカを債務国に転落させ、「財政赤字」と「貿易赤字」の拡大によって「双子の赤字」国になってしまった。
 1993年に就任したクリントン大統領(民主党)はレーガン税制を全面的に改正して、所得税も法人税も最高税率を引き上げた。同時に、財政支出を公共投資と投資現在に集中して、民間投資を喚起する政策をとって、5年で財政を黒字に転換させたのである。

 日本の税制は「30年前の間違った考え」(オバマ大統領の議会での発言)のレーガン・モデルを模倣したものであり、「日本のように経済政策で失敗してはならない(オバマ大統領)、「日本のようになってはいけない)(野党の共和党)と言われているとか(『消費税は0%にできる』)。

 大塚副内閣相はこの21日にヨーロッパと比べて日本の法人税は高いので国際競争力を強化するため、法人税率を引き下げる必要があると発言したと伝えられている。が、日本の法人税が高くないことは「ふじふじのフィルター」氏の「『法人税は海外より高い』に、2つのごまかし。民主党政権は、『国民生活が第一』の政策を!」で看破されている。また法人税が高いからといって海外に企業を移したとしても、主要国は原則として「全世界所得課税主義」を採用しているので、日本の企業がどの国で収益を上げても最終的ににほんの法人税率が適用されるので無意味なようである。

 菊池氏も『消費税は0%にできる』で法人税引き下げの経済効果はマイナスと述べている。むしろ法人税と所得税の最高税率は引き上げるべき、と。企業の国際競争力向上にも寄与しないとも。法人税を引き下げても製品コストの低下にはならないし、従業員の賃金に影響することはないとのことである。

 事実、従業員の賃金は上がっていない。このようなデータがある(「非国民通信」氏の「若者に媚びるお笑いダイヤモンド」から拝借)

_________経常利益____従業員給与
1997年:27.8兆円____146.8兆円
1998 年:21.1兆円____146.8兆円
1999年:26.9兆円____146.0兆円
2000年:35.8兆円 ____146.6兆円
2001年:28.2兆円____138.5兆円
2002年:31.0兆円____136.1兆円
2003 年:36.1兆円____133.3兆円
2004年:44.7兆円____139.7兆円
2005年:51.6兆円 ____146.2兆円
2006年:54.3兆円____149.1兆円
2007年:53.4兆円____125.2兆円

 また、労働者の平均所得は1997年には467万円だったのが2007年には437万円と下がり続けている。一方、大企業の役員報酬はこの5年で倍になったとのことである。ゲンダイネットにこのようなデータがある。

【有名企業の役員報酬】
◆新生銀行/29億4200万円
◆日産自動車/25億8100万円
◆大日本印刷/19億2100万円
◆三菱電機/18億4100万円
◆トヨタ自動車/15億8900万円
◆キヤノン/15億8600万円
◆三菱商事/16億6500万円
◆日立製作所/15億4200万円
◆東芝/14億8900万円
◆住友商事/12億5900万円
◆新日鉄/12億5400万円
◆野村証券/12億5300万円
◆住友不動産/12億1900万円
◆ソニー/11億9800万円
◆ホンダ/9億9000万円
◆パナソニック/9億6600万円
◆武田薬品工業/6億8100万円
◆ダイキン工業/7億4800万円
◆シャープ/4億9200万円
◆鹿島/4億7300万円
◆富士通/4億1400万円
◆大正製薬/3億9100万円
◆ヤフー/3億2300万円
◆京セラ/2億7300万円

 菊池氏の『消費税は0%にできる』では、ヨーロッパの見かけの法人税率が低いのは外資を呼び寄せたいからであるが、日本は世界一の債権国(投資資金の潤沢な国)なので外資を呼び寄せる必要がないとのこと。

 所得税の税率の引き上げは検討されているようで結構なのだが、法人税引き下げや基礎的収支の改善を目指すのはかえってマイナスであることは歴史が証明している。菊池氏がいうクリントンモデルを目指すべきである。


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日中貿易で初の人民元建て決済

2010-03-26 11:45:01 | 経済

日中貿易で初の人民元建て決済 日本企業と中国現法の取引で
インキ大手DIC「為替リスク管理へ試験的に実施」

日経新聞 2010/3/25 2:23

 【上海=戸田敬久】日本と中国の間の貿易で、初めて人民元X建ての決済が成立した。三菱東京UFJ銀行が24日、インキ最大手のDICの中国法人と日本本社間の取引を扱った。中国政府は人民元の国際化に向け昨年7月、貿易決済に人民元建てを一部解禁した。中国企業や中国に拠点を持つ外国企業にとってはこれまで主流だったドル建ての決済に比べて、代金の支払いに伴う為替リスクを減らせる。今後、その他の日本企業でも検討課題になりそうだ。

 三菱東京UFJが扱ったのは、DICの上海、深セン子会社から日本本社への代金の支払い。取引額などの具体的な内容は明らかにしていないが、DICは「グループ会社の為替リスク管理体制の構築をにらみ、試験的に実施した」としている。

 中国政府は昨年7月、上海市と広州、深セン両市など広東省4市にある約400の中国企業と、東南アジア諸国連合(ASEAN)、香港、マカオの現地企業との貿易で人民元建ての決済を解禁した。3月中旬までの決済額は累計で約160億元(約2100億円)と、順調に伸びている。

 一方、昨年秋に中国銀行が中国エアコン大手の珠海格力電器とブラジル子会社間で人民元建ての決済を手掛けるなど試験的に認める例が出てきた。今回、当局の認可を得た日中間のケースも、人民元建ての決済の普及に向けた布石とみられる。ドルやユーロの相場の変動が大きくなれば、人民元建て決済の関心はさらに高まりそうだ。

 もっとも、海外企業は人民元で代金を受け取っても、現状では中国以外での運用先が乏しい。このため中国政府は昨年9月、香港で60億元の人民元建て国債を売り出すなど、人民元の運用環境の整備を進めている。

 本年1月27日にスイスで開かれたダボス会議でフランスのサルコジ大統領が基調演説で、「ドルは世界の中心的な基軸通貨であるべきではない」、「世界は多極化しているのだから、一つの基軸通貨だけで世界をカバーすることはできない」と述べ、世界の基軸通貨体制を多極化するために「第2ブレトンウッズ会議が必要だ」と提唱したとのこと(田中宇「第2ブレトンウッズ」再び )。今後ドルがいつまで基軸通貨としての働きをなしうるのか不明だが、これはその多極化へのひとつの動きなのだろうか。



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