八国山だより

ノーサイレントマジョリティ!ごまめの歯ぎしりといえど、おかしいと思うことはおかしいと自分の意思を発信しなければ

田中宇:すでに負けているウクライナを永久に軍事支援したがる米国

2022-06-20 06:14:38 | 国際
すでに負けているウクライナを永久に軍事支援したがる米国 より抜粋、引用

 ウクライナ政府が最近、負けそうだと言い出した意図は、米国側に対して「もっと兵器や軍資金を出してくれないと負けてしまう」と加圧するためだ。またゼレンスキーらウクライナ政府は、自分たちが負けているのに、それを無視して「これから軍事的に盛り返してクリミアや東部をロシアから奪還する。決して領土で譲歩しない。必ず勝つから、米欧は兵器や資金をくれ」と言い続けている。ゼレンスキーらは、本当に露軍に勝ってクリミアや東部を奪還できると思っているのでなく、(ブラックマーケットに転売して現金化できる)兵器や軍資金を米欧からもらうために絶対勝つと言っているだけだ。ウクライナ政府の上層部は腐敗していることで開戦前から有名だった。
 

「ウクライナの現場に行った欧米日のジャーナリストたちが、ウクライナ市民に話を聞いたら、みんなロシアを許さないと怒っていた。露軍による虐殺の証言もたくさん聞いた。ロシアが極悪であることは間違いない」という意見がある。しかし、ウクライナの現場にいるジャーナリストたちは、ウクライナの当局者やその系統の人々に案内・誘導されて取材している。ウクライナ当局はジャーナリストたちに表向き自由に報道させると言いつつ、実際は当局が言ってほしいことを言う人にしか会わせない。ウクライナには反露派のウクライナ系、親露派のウクライナ系、親露派のロシア系の3種類の人々が3-4割ずついるが、ウクライナ当局がジャーナリストに接触を許しているのは主に反露派のウクライナ系だ。だから「ウクライナの人々はみんなロシアの残虐さを知っており、絶対に許さないと思っている」という歪曲された報道ができあがる。コロナでもウクライナでも、欧米日のジャーナリズム・マスコミは歪曲話ばかり流すので人々の信用を失っている。

 米国は表向きロシア敵視・ウクライナ支援の好戦的な姿勢をとり続けるが、実質的に決定不能になってウクライナを放棄する姿勢を強める。2024年の大統領選ではトランプが出てきて勝つ(民主党が再び不正を成功させない限り)。欧州も、自滅的な対露制裁に疲弊し、傲慢で強欲なゼレンスキーにも辟易しており、対米従属のためのおざなりのロシア敵視を続けるだけになっている。すでにEUはウクライナを加盟させない姿勢に戻っている。

 ロシアのプーチン大統領は最近の演説で、米国覇権体制がすでに終わっており、米欧が覇権を取り戻そうとしても無理だと宣言した。米欧など米国側がウクライナ戦争でロシア敵視の経済制裁を続けるほど、エネルギーや資源類を握るロシアなど非米諸国が米国側に資源類を高値でしか流さなくなり、米国側のインフレや物不足がひどくなり、米連銀QE終了による金融危機・ドル崩壊の進行と相まって、米国覇権の瓦解が進む。ロシア敵視は米覇権を自滅させ、ロシアなど非米側が台頭して世界の覇権構造を多極化する。ウクライナ戦争を続行するバイデンの側近たちは、米覇権自滅と多極化を誘発する隠れ多極主義者である。ウクライナに侵攻したプーチンは、米国の隠れ多極主義に協力しただけだ(両者は隠然とぐるだ)。プーチンの指摘どおり、米覇権体制はすでに不可逆的に終わっている。ウソや誇張ばかり流すマスコミやジャーナリズムを軽信する米国側の大半の人々は、この現状を知らないまま全体的に貧しくなっていく。


[田中宇:ひどくなる大リセット系の嫌がらせ]より

2022-06-10 05:28:01 | 国際
田中宇: ひどくなる大リセット系の嫌がらせ より抜粋、引用

 大リセットは本質的に「覇権のリセット」つまり多極化である。「いや違う。大リセットは、世界中の国家主権が剥奪されて世界政府(国連など)に一本化される世界体制のリセットだよ」という人がいるかもしれない。確かに国権剥奪の世界政府化は、コロナのパンデミック条約などで推進されつつある。だが、私から見ると、世界政府化は「失敗させるためにやっていること」だ。世界政府の構想は、米欧諸国を自滅させた挙げ句に失敗する。非米諸国は影響を受けない。大リセットは全体的に、未必の故意的に失敗させることによって本来の目的を達成する策略である。

 ビル・ゲイツは「次のパンデミックは地球温暖化によって引き起こされる。もしくはテロリストがパンデミックを発生させる」と言っている。温暖化問題や、一つ前の諜報界の謀略だった「テロ戦争」と、パンデミックを都合よくつなげてしまうこういう言い方も大リセット的だ。ゲイツは最近「サル痘」の発生時期を「当てた」ことでも知られている。ゲイツをめぐるこれらの事象を見た人(軽信者以外の人)は「ゲイツこそパンデミックを起こしてるテロリストじゃないか」と思ってしまう。ゲイツはパンデミック大王のように言われているが、大リセットの一つであるパンデミックを使った支配強化の構図が崩壊していくほど、ゲイツは「パンデミック・ピエロ」にされる。私から見ると、彼はピエロにされるシナリオに前からはめこまれている

 国家より上位だった「大王」が、いつの間にかピエロにされていく大リセット系の配役としては、温暖化問題のグレタ・トゥーンベリや、ウクライナのゼレンスキー大統領もいる。トゥーンベリは米欧諸国に、経済自滅や国民生活破綻の過激な温暖化対策をやれと高圧的に「命じる」役回りで、マスコミ(や左翼)がトゥーンベリをもてはやして権威を大膨張させた。彼女の背後には入れ知恵役の大人たちがいて、それらは英国などの諜報筋だ。トゥーンベリは諜報界の傀儡だ。彼女は米欧だけを激しく攻撃する半面、中国の批判は全くしなかった。米欧を経済的に自滅させて米国覇権体制を崩壊させ、中国など非米側を相対的に台頭させる多極主義の手口が見えている。

 その後ウクライナが開戦し、欧米が対露制裁で石油ガス石炭をあきらめねばならなくなると、自然エネルギーだけでは経済破綻することが確実になり、トゥーンベリの主張は無視されるようになった。替わって、米国の傀儡として欧州に「ロシアからの石油ガス石炭の輸入を止めろ。欧州が経済的に自滅しても構わないからロシアを潰せ」と虎の威を借る狐的に圧力をかけているのがゼレンスキーだ。だが、ロシアがウクライナ東部を着々と支配していき、ウクライナ軍はもう勝てないと米元高官も認める最近は、独仏がゼレンスキーに対してロシアに譲歩して和解しろと逆に加圧する状態になっている。

 ゼレンスキーのウクライナは今後、米国から見放されるだけでなく、国際的にしだいに「悪者」にされていく。ロシアとトルコは、世界的な穀倉地帯であるウクライナから、小麦など穀物を黒海経由で船舶で中東アフリカなど食料難の地域に輸出する計画を、国連とともに開始している。ロシアはすでにマリウポリの港をウクライナから奪い、ウクライナ軍が米国の指示でマリウポリ港に設置した12000個の機雷を露軍が除去して港湾を再開し、ウクライナ東部の春小麦などの穀物を黒海経由で中東アフリカなどに輸出し始めている。ロシアは穀物を奪っているのでなく、ウクライナの農民や穀物会社による輸出を助けている。

 露トルコはウクライナ側に働きかけ、もう一つのウクライナ黒海岸の港であるオデッサ港も機雷除去して穀物の輸出を始めようしている。だがゼレンスキーのウクライナ政府は、オデッサ港の機雷を除去すると露軍が海から侵攻してきかねないと言って港湾再開を拒否している。ゼレンスキーは、世界的な食糧難を緩和するのを妨害している「悪い奴」だという話になり始めている。こうした善悪転換の動きも「大リセットの結末」系の話だ。



田中宇:ロシアの優勢で一段落しているウクライナ

2022-06-05 05:54:51 | 国際
田中宇:ロシアの優勢で一段落しているウクライナ より抜粋、引用

 露軍は自国の国境から遠くない地域に展開しており、補給が簡単で敗北や困窮のリスクが少ない。露軍が飢えているという報道はウソだ。露軍港があるので2014年に併合したクリミアと、ロシア本土との間を陸地でつなぐことも達成した。あとは、南部の黒海岸のオデッサから、モルドバから分離独立して露軍が駐留している沿ドニエストルまでの地域を取るのかどうか、ハルキウやその先の対露国境に沿った北東部の地域を取るのかどうか、といったところが露軍の今後の展開の可能性だ。どう展開するにせよ、ロシアは急いでやらない。ロシアなど非米側と米国側の対立が長引くほど、米国側が自滅して覇権が多極化してロシアに有利になる。ロシアは今後もゆっくりやる。それを米国側マスコミが、ロシアは失敗していると勝手に勘違いし続ける。

 ウクライナ戦争の米国側は、プロパガンダの分野でもインチキが横行している。ウクライナ政府のデニソバ人権監督官(Lyudmyla Denisova)は、露軍兵士がウクライナで市民を強姦したり性的に残虐な殺し方をしているといった話を、4月の2週間に400件、米国側のマスコミに流し、米タイム誌などがさかんに喧伝した。だがその後、ウクライナのNGOが、露軍兵士に強姦された被害者たちの救援事業をやって米欧政府などから補助金や支援金を集めるため、デニソバ人権監督官の強姦話を一つずつ検証して被害者や家族など関係者に会っていこうとしたところ、具体的に検証していける話がなく、デニソバが話をでっち上げていたことがわかった。

加えてデニソバは、ウクライナ政府からロシアに行って捕虜交換の話をまとめてこいと言われたのに西欧に行って休養していたことも発覚し、NGOからの抗議を受けてウクライナ議会が調査し、5月31日にデニソバを罷免した。デニソバは辞めさせられたが、無根拠なのに無検証のまま報道したタイム誌など米国側マスコミは訂正記事も出さず、米欧日の多くの人がインチキな露軍強姦話を軽信したまま生きている。今回の戦争で米国側のプロパガンダづくりを担当している英諜報界がデニソバに入れ知恵した可能性があるが、デニソバがなぜ突然に大量の作り話をでっち上げて流布したのかも不明だ。

 開戦以来、ウクライナの優勢と露軍の惨敗という、事実と逆のことばかり報じてきた米国側のマスコミは、最近になってようやくウクライナ側が苦戦している事実を報じ始めた。NYタイムスは5月10日にウクライナ軍の苦戦ぶりを初めて報じた。5月26日にはワシントン・ポストが、外国から来た義勇兵と傭兵たちを酷使しすぎているウクライナ軍を初めて批判的に報道した。5月23日には米外交・諜報界の重鎮であるキッシンジャー元国務長官が、ウクライナでのロシアの勝利はすでに確定的だから外交交渉で停戦するしかないと指摘した。

 対露経済制裁など複合戦争の面でも、ロシアの優勢と米欧の不利が増し、逆転不能な確定状態になってきている。EUはロシアからの石油ガスの輸入を止める対露制裁をやると言いつつ、実際はほとんど何もできないことが露呈している。欧州諸国はロシアの天然ガスを買い続けているし、石油もパイプラインでの輸送分は制裁しないことを決めた。船積み輸送分は、インドなど非米国がロシアから買った石油を転売してもらうことで欧州諸国が買い続けられる。製油所の多くは特定の油質の原油しか精製できず、欧州にはロシアのウラル原油しか精製できない製油所が多いので、ロシアからの輸入を止められない。インド勢はロシアに値引きさせて原油を大量に買い込み、欧州などに転売して大儲けしている。半面、欧州は合計で1兆ドルのコスト高になると概算されている

 このように軍事でも経済でも、ロシアの優勢で事態が一段落している。しかし日本など米国側のマスコミや大手インターネットではこうした状況が全く報じられず、正反対の、ロシアが今にも潰れそうな妄想話ばかりが流布している。だから、米国側の自滅を加速する対露制裁が今後も続き、ロシアはますます優勢になる。こういう状態がたぶん来年まで続く。その間に米国の金融システムがQT由来の大崩壊を引き起こし、米国の覇権が崩れ、ロシアなど非米側が台頭して覇権が多極型に転換していく。マスコミはその流れを報じず、多くの人が気づかないうちに覇権転換が進む。