チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「不採用がいっぱい en Plein Soleil/ルネ・クレマン生誕100年」

2013年03月18日 22時52分45秒 | 寝苦リジェ夜はネマキで観るキネマ
昨年で薄給の煎餅焼き屋をやめた私であるが、それでも
まったく収入がないのもつらいので、いくつか
就活を試みた。が、当然のことながら、
エントリ・シートだけですべて門前払いだった。
私のようなダメ人間、負け犬ジジイを雇ってくれるような
お慈悲深い営利団体などあるわけもない。今日もまた、
春のうららかな日差しをいっぱいに浴びて
日光浴をして一日を過ごすだけであった。

2013年3月18日は、フランスの映画監督
Rene Clement(ルネ・クレモン、1913-1996)の
生誕100年にあたる日である。
命日は誕生日の前日、という故人グループに属する。
Clementという名は、
"いとしの"クレメンタイン、画家のクリムト、
などのエントリでもふれたが、
「温和な、寛大な、慈悲深い」というような意味で、
歴代教皇の名ともなってるように、
宗教色濃い名である。ともあれ、
この監督の映画は、

"Jeux interdits(ジュ・ザンテルディ、邦題=禁じられた遊び、1952)"
"Monsieur Ripois(ムッシュ・リプワ、邦題=しのび逢い、1954)"
"Gervaise(ジェルヴェズ、邦題=居酒屋、1956)"
"Plein Soleil(プラン・ソレイユ、邦題=太陽がいっぱい、1960)"
"Paris brule-til?(パリ・ブリュル・チル?、邦題=パリは燃えているか、1966)"
"Le Passager de la Pluie(ル・パッサージュ・ドゥ・ラ・プリュイ、邦題=雨の訪問者、1969)"

だけしか観たことはない。が、少なくともこれらから感じるのは、
この監督は音楽を重視してるということである。
「禁じられた遊び」はイエペスのギターで超有名である。
「太陽がいっぱい」もニーノ・ロータの曲が一般にもよく知られてる。
将来オバハン女優として大成するブリジット・フォセ女史や、
マリア・シェル女史のいかにも薄倖な表情や、
36歳で肝癌死した二枚目ジェラール・フィリップや、
パリ解放レジスタンスものもいいが、やはり、
1960年代の二枚目アラン・ドロンと、
怪奇映画の端役から大スターになったチャールズ・ブロンスンである。ちなみに、
ドロン・ブロンソン・フォッセ女史の3人は、仏伊合作映画
"Adieu l'ami(アヂュ・ラミ、邦題=さらば友よ、1968)"で共演してる。

ともかくも、
「太陽がいっぱい」がこの監督の作品の中で
私がもっとも印象深いものである。後年、
"The Talented Mr. Ripley(邦題=リプリー)、1999"
として原作が同じ映画が製作されたが、そちらでは
ブオトコのマット・デイモンに二枚目ドロンの役をやらせる、
というブラック・ジョウクな映画だった。
"Mr. Ripley(ミスター・リプリー)とは、それぞれ、
ドロン、デイモンが演じた主人公の名、
Tom Ripley(トム・リプリー)のことである。

映画というのは、
"ending scene(いわゆるラスト・シーン)"が大事である。
ここにこだわりがないようでは、
人を感動させることは困難である。
「太陽がいっぱい」では、バト(いわゆるヨット)の件で来るフィリップの父に
マリ・ラフォレが会いに行って、ドロンはひとり
ビーチのパラソル附きの椅子に腰掛ける。そこは、
南イタリアのMongibello(モンジベッロ)という架空の村である。
画面は換わり、ラフォレの目の前にヨットがひきあげられてる。が、
スクリューにからまったワイアーの先に、
フィリップ(モリス・ロネ)をくるんだ遺体があがってくるのである。
左手の先だけが出た姿で。ただし、
ゴシュゴギュひきずられたわりにはドロワ附いてなかった。
それはともあれ、そしてまた画面は
ドロンに切り替わる。右手に酒を持ち、口に運ぶカットである。
胸から下と左手はフレイムアウトされてるのである。つまり、
先のスィーンとそれをつなぎあわせて
一体のヒトの形となる、という意図なのである。
海の家では刑事がオバチャンに電話だといって呼びつけろ、
と命じてる。呼ばれたドロンは立ち上がり……
ビーチの向こうには、
七里ケ浜の海岸から望む江ノ島のごとき小島が見える。
結局、
トムはフィリップにripleyce、否、replaceすることは
叶わなかったのである。

♪ミ│<ミー>♯レ・<ミー>ド│>ラー>♯ソ・<ラー<シ│
<ドー<レ・<ミー(<ソ>)ファ│>ミーー・ーー♪
(※)ニーノ・ロータの「太陽がいっぱい」のテーマ曲を
木琴・鉄琴系にしたものを、
Twitsoundにアップしておきました

http://twitsound.jp/musics/tsxbtZ45e

(※アレンジ=新野郎太)
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