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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

8月14日・エルステッドの磁場

2022-08-14 | 科学
8月14日は、『シートン動物記』の作家、アーネスト・シートンが生まれた日(1860年)だが、物理学者、ハンス・エルステッドの誕生日でもある。

ハンス・クリスティアン・エルステッドは、1777年、デンマークのランゲラン島で生まれた。父親は薬局の経営者だった。ハンスには、アナスという弟がいた。
子どものころから父親の薬仕事を手伝っていたハンスは、科学に興味をもちだした。ハンスが16歳のとき、もっぱら家で独学していたハンスとアナスの兄弟は、コペンハーゲン大学を受験してみた。すると、2人とも飛び抜けた成績で合格した。
ハンスは美学と物理学で賞をとり、哲学者カントについての論文で博士号を取得。
24歳のころから3年かけてヨーロッパを巡った後、29歳でコペンハーゲン大学の物理学教授になった。
43歳のころ、ハンス・エルステッドは大学での授業中に実験器具をいじっていて、あることに気がついた。電池のスイッチを入れたり切ったりすると、近くにあった方位磁石が南北以外の方角を指すのだった。
以前から、電気と磁気になにか関係があるのではないかとにらんでいたエルステッドは、それから研究を重ね、電流の流れる線の周囲に、円形の磁場ができることを発見し、これを発表した。
電流が流れると、そこに磁力が発生する、これを発見したのである。
48歳のときには、彼は人類史上はじめてアルミニウムの分離に成功した。それ以前に、すでにアルミニウムと鉄の合金は分離に成功していたが、純粋なアルミニウムの分離にまではいたっていなかった。
エルステッドはデンマーク工科大学の元となる学校を創設した後、1851年3月、コペンハーゲンで没した。73歳だった。

中学のとき、理科の授業で、エルステッドが明らかにした電流と磁場の関係を、砂鉄や方位磁石を使って調べる実験をした覚えがある。
教科書にもそれを図式化した図版が載っていた。
全人類がエルステッドの恩恵をこうむっている、と言っていいだろう。
(2022年8月14日)



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