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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

3月18日・エドガー・ケイシーの奇跡

2019-03-18 | 思想
3月18日は、詩人ステファヌ・マラルメが生まれた日(1842年)だが、霊能力者エドガー・ケイシーの誕生日でもある。彼は「20世紀最大の奇跡の人」と呼ばれる。

エドガー・ケイシーは、1877年、米国ケンタッキー州ホプキンスビルで生まれた。父親は農夫で、エドガーが生まれると間もなく治安判事に選ばれ、後に町へ出て保険屋をはじめた。エドガーたちは6人きょうだいだった。
小さいときから信じ深く、聖書を何度も通読していたエドガーは、睡眠中に枕元の書物の内容をすべて覚えてしまう特殊な能力をもっていた。
十代の前半のころ、友だちが強く投げた野球のボールが彼の背骨に当たった。彼は一見平気だったが、急に凶暴になり、家に帰ってからも、母親が煎っているコーヒー豆を取り上げて庭にまくなど奇行が止まらなかった。母親は彼をベッドに寝かせた。すると、寝入った状態でエドガーは急にしゃべりだした。
「私は脊柱に当たった球のためにショックを受けた。私をこの衝撃から救い出す方法は特別のバップを作り、それを私の脳の底部に貼ることである。(中略)急いで! もしあなたがたが私の頭脳に取りかえしのつかない損傷を与えたくないならば、すぐ今言ったようにしなさい」(J・ミラード著、十菱麟訳『奇跡の人』霞ケ関書房)
言われた処方にしたがって母親が湿布を作って貼ると、彼は回復した。
16歳から農場を手伝いだしたエドガーは、その後、仕事中に聞こえてきた天使の声にしたがって町へ行き、書店員、保険のセールスマンをへて、写真館に勤めた。
写真館時代から、彼の能力に目をつけた医師志望の相棒と組んで、霊能力による診察をおこなうようになった。医者に見放され途方に暮れた相談者がやってくると、ケイシーは「リーディング」に入る。彼は自己催眠をかけ睡眠状態で、初対面の患者の病気の原因と、その治療法をしゃべる。それを相棒がメモに書き取る。処方されるのはたいてい食餌療法と生活習慣の改善で、それを実行すると病気はすぐに治ってしまう。ただし、ケイシー本人は目覚めたとき、自分がしゃべった内容を全然覚えていないのだった。
彼のこの特殊な能力は、睡眠中に彼の意識が「アカシック・レコード」という魂の全履歴が記されている記録を調べてくるもので、ケイシーは協力者を変えながらこの能力によって、生涯にわたり約14000件の診断をおこなったとされる。
ケイシーは病気の診断だけでなく、紛失物のありかや、競馬レースの結果を言い当てることもできたために、なかにはそれをひそかに悪用する者もいた。そうしたお金もうけに能力を利用された際は、目覚めたとき、ひどく頭痛がしたという。彼はまた第二次世界大戦の勃発を前もって予言していた。
評判が高まり、リーディングの依頼は増加し、彼について書かれた本が出版されると、依頼はさらに殺到した。ケイシーは周囲の反対を押しきってそれらに律儀に対応してからだを消耗させ、1945年1月、ヴァージニア州ヴージニアビーチで没した。67歳だった。

以前、エドガー・ケイシーの伝記を読み、感服した。
彼は転生して、つぎは1998年に生まれ変わると予言して亡くなったそうで、もう地球のどこかに、彼の生まれ変わりがいるのにちがいない。すごい能力だけれど、当人にとっては、因果な能力で、憧憬と同情を同時に感じる。
(2019年3月18日)



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