1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

1月27日・モーツァルトの才

2019-01-27 | 音楽
1月27日は、「マゾヒズム」の名称の由来である作家ザッヘル・マゾッホが生まれた日(1836年)だか、至上の音楽家、モーツァルトの誕生日でもある。

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、1756年、神聖ローマ帝国(現在のオーストリア)のザルツブルグで生まれた。父親は宮廷音楽家で、ヴォルフガングは7人きょうだいの末っ子だった。
音楽家の父親によって、その才能を見いだされたモーツァルトは、幼いころから音楽の英才教育を受け、父親といっしょにヨーロッパ各地を演奏旅行してまわった。
6歳のときには、宮殿で帝国の女王、マリア・テレジアの前で演奏した。演奏後、宮殿内でころんだ彼のところへ、やさしく手を差し伸べてくれた7歳の皇女マリー・アントワネットに、感激したモーツァルトは結婚を申し込んだという。
モーツァルトは、王族や貴族、聖職者からの作曲の依頼や、演奏会、音楽の家庭教師、オペラの作曲、楽譜の出版などで生計を立てて生きた。
本人も天分に恵まれていることを認める、自他ともに許す音楽の天才だった。彼はいちど聴いた曲を完全に覚えていて、後で楽譜に書きだせた。目隠ししてもピアノが演奏できた。
本人は作曲に関しては長い時間の研究と思考を捧げたと告白しているが、一方で、作曲する際には、最初から全曲の全パートの譜面が頭のなかに浮かび、あとはそれを紙の上に書き写すだけでよかったとも言われる。
「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク(小夜曲)」など数々の室内楽の名曲、3大交響曲といわれる交響曲第39番、第40番、第41番のほか、オペラでは「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「魔笛」、そして未完成の「レクイエム」などを書いた後、1791年12月、ウィーンで没。共同墓地に埋葬された。35歳だった。

モーツァルトの若すぎる死については、ライバルの音楽家による毒殺説もあり、それを映画化したのが、ミロス・フォアマン監督の映画「アマデウス」である。この映画でモーツァルト役を演じた俳優トム・ハルスは、軽薄で快活、冗談好き、猥談好きなモーツァルトを再現しようとして、米国のテニス・プレイヤー、ジョン・マッケンローの試合中の落ち着きのない行動を、テレビ録画で繰り返し見てまねたという。

日本人は、モーツァルトが大好きである。それは、その音楽の美しさもさることながら、誰もが認める「天才」ということで、安心して聴ける「安全商品」だからかもしれない。とくに最近は、モーツァルトを聴くと頭がよくなるとか、頭のいい子に育つとかいう評判もあって、モーツァルトのCDを買いあさって、片っ端から子どもに聴かせている親というのも、すくなからずいるようだ。動機はどうあれ、もちろん悪いことではない。
(2019年1月27日)


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