沈黙の春

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ニューヨークタイムズ ”日本の政府は、放射能は塩のようなもので、薄まれば薄まるほど効果が薄くなる、

2012-05-08 00:40:35 | 中国

  から。

日本の政府は、放射能は塩のようなもので、薄まれば薄まるほど ー たとえば水などに溶けることを考えて欲しい ー 効果(塩の場合は塩味)が薄くなる、という考えを吹聴し続けている。

塩の場合は、水で薄め続ければいずれ塩の味がしなくなる。福島のがれきを日本中で処理しようというやり方は、こういう考えが元になっている。

放射能を福島に集中させるのではなく、日本中に広めて、それぞれが低線量だけ引き受ける、という考えだ。また、がれきを日本中に運び出すほうが、福島を完全に除染するより安上がりだという考えもあるようだ。

だが、これはちょっとばかり近視眼的すぎるようだ(日本の支配者層にはよくあることだが)。 ニューヨーク・タイムズのこの記事によれば、長期的に低線量の放射線を浴びるほうが、短期的に高濃度の放射線を浴びるよりも、より危険である可能性があるという。

もしこの研究を真に受けるなら(原発産業は信じないだろうが)、日本政府は放射能を広め、

薄めることで、より多くの人をガンなどの健康被害を受ける危険に晒していることになる。

科学雑誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」が、低線量被曝の危険性について新たに光を ー または、ただ疑念を ー 投げかけています。

同誌の 5-6月号 では低線量被曝について7記事と社説を割いている。低線量被曝は昨年3月に日本で起こった福島第一原発のメルトダウン以来、安全だという科学的合意に異を唱え、改めて重要性を主張している。

…………

環境学者の Jan Beyea 博士は、過去何十年も原子力発電に反対してきた 、スリーマイル島の疫学調査に関わる科学者だ。電力産業についても綿密に調べている。「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」のウェブサイトでは通常、会員のみ記事を閲覧できるが、今回の記事は無料で公開された。

Beyea 博士は、低線量被曝に関するアメリカの安全基準に対して反対する意見を表明した。これまでは、被曝量とその影響の関係は直線的 ー つまり、被曝量が大きいほど影響も大きいということ。被曝量が半分になれば影響も半分、4分の1なら影響も4分の1、被曝量が100万分の1なら影響も100万分の1、という風に ー だった。影響のないレベルというのはなかったのである。

これはLNT仮説 (linear no-threshold hypothesis)と呼ばれ、ほとんどの科学者によれば非常に低い放射線量は測り様がなく、そのため、低線量放射線による一般の健康被害に関しては慎重な姿勢で臨むことになっている。

だがこのやり方に異を唱える放射能専門家もいる。放射線量が測れないからといって、健康被害がないとはいえないないからだ。だが Beyea 博士によれば、低線量被曝はさらに悪影響を及ぼす可能性があるという。

放射能の専門家たちは、ある短期間での被曝量による影響は、その被曝量がより薄くなった場合、影響も小さくなる、という共通意見を持っている。この不正確な類推をもってすれば、アスピリン一瓶を一度に飲めば死に至る可能性があるが、数日に分けて飲めば気持ちが悪くなるだけだ、ということになる。

放射能の研究では、これは 線量率効果因子 と呼ばれる。一般的には、ある量の放射線が薄まった状態で被曝すると、元の量のままで一度に被曝する場合よりも、影響が半分ほどになるとされる。

科学者らは、低量の「呼び水的な」量の被曝は、ウイルス感染を防ぐための予防接種のような働きがあるとすら主張する。先に修復機能を鍛えておいて、より多量の放射線に被曝した時に影響を小さくするというのだ。

だが Beyea 博士は、散逸して薄まった放射能に長期間被曝することは、短期間に多量に被曝するよりも危険性が高いという説を提示している。これには2つの理由があるという。まず、被曝の影響は細胞が数世代にわたって被曝した後にしかわからない遺伝子的なものである可能性があること。もうひとつは「バイスタンダー効果」、つまり、細胞は放射能を吸収し、一見ダメージを受けていないように見えても、隣接する細胞に放射能による影響を受け渡し、結果としてガン化する、というものだ。

問題は、誰も確かなことを知らず、低線量被曝は安全だという仮説のもとに世界中の政府が安全基準を作っている、ということだ。

日本政府や原発産業は、そのやり方に疑義を投げかけるこのような情報すべてを否定するだろう。政府はすでにこの問題について合意を得たのだし、それが一番の問題なのだから。

 



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