た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

規則正しく、嘔吐物が

2005年01月14日 | Weblog
 週末のJR大井町駅を出ると、植え込みのブロックに沿った小さな側溝に、規則正しい間隔をおいて嘔吐(おうと)物が塗り固められているのを目にする。クリーム色をしていて、小さな固形物が混ざっている。目にするだけで悪臭が漂ってきそうで、仕事に疲れた体に何ともげんなりする光景である。
 そのげんなりにも最近慣れて、まったく無感動にその前衛芸術を眺められるようになった。
 どんな寒い夜にも、ミュージシャンが一人や二人、ビョン、ビョン、とギターを掻き鳴らして下手くそな歌を歌っている。サービス残業のサラリーマンたちは肩を丸め、酔っ払ったサラリーマンたちが陽気な別れの挨拶を交わしている脇を足早に通り抜ける。浮浪者がダンボール箱で夜の寝床を慎重に作っている。

 先日は、この厳寒の夜にスーツ姿のまま路上で寝ている人がいた。恐る恐る肩を揺すると、死人ではなく酔っ払いだとわかった。
 やがて、肩を揺することもしなくなるだろう。東京に来て、二年目になる。
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