犬は散歩に連れて行ってもらえるとわかるたびに、これ以上ないほど喜びはしゃぐ。昨日の散歩だって大したものではなかったし、一昨日だってそうだ。そして明日だって、どうせ昨日や今日と同じように散歩に連れて行ってもらえるのだ。何もそんなに喜びはしゃがなくてもいいだろうと人間である私は思ってしまう。
だがもし人間も、こんな風に毎日の決まりきった行いに喜びを感じられたら。そうなったら、どうだろう。ひょっとして、百年も生きようと思わなくても済むのかも知れない。
人間には記憶力がある。ちょっとした批判能力もある。それが人間を退屈させているのでなければいいが。
犬が立ち止まるので振り返ったら、北アルプスが雲の上にそびえていた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます