た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

高橋是清

2019年08月22日 | 怪談

 高橋是清と言う人の自伝を読んでいる。どうもすごい人物である。若いときにアメリカに渡ると、騙されて奴隷のように働かされ、日本に戻ってきてからは実に多種多様な仕事に就いたり辞めたり、一念発起して猛勉強したり、飲んだくれて放蕩したりしている。大事業にも失敗する。そのあと日銀総裁になり、さらには日本の首相にまでなるはずだが、まだそこまで読み進めていない。これだけ乱暴に生きながら、なおかつ大きな仕事を成し遂げるところがすごい。

 翻って我が身を思うと、乱暴にも生きていないが、大したことをしていないなあとつくづく感じる。器も違うが、時代も違う。と、時代のせいにしたがるところが、何より器の小さい所以かもしれない。

  

 雨上がりに湧水を汲みに行きながら、そんなことを考えた。

 

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