た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

空き地

2013年08月05日 | うた
少年が白球を投げる。

虫の鳴く雑草を踏みしめて八月の陽射しを浴びて投げる。

汗まみれになり、日に焼けたぐちゃぐちゃの顔で、似たような顔の友人に向かって白球を投げる。

彼らは獣のように咆哮し、

壊れた玩具のように笑い、

向日葵のように元気である。

彼らは知らない。

空調のため締め切った二階の窓からこっそり彼らを眺めながら

昔ながらの健康な夏を思い出している大人がいることを。

彼らは知らない。

自分達のしていることが貴重であり、希少であり、

今の世の中では、

ほとんど文化保護活動に匹敵することを。

彼らは知らない。

そんなこと

知ったことかと

白球が炎天のスペクトルを放ちながら

とんでもない方向へと飛んでいく。




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