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おジャ魔女どれみと徒然

おジャ魔女のこと、

日常のこと、

いろいろ。

ボーイについて、そのWho am I

2022-10-08 05:56:00 | ヒューマン

 「ジョジョラビット」のタイカワイティティ監督。
 2010年公開のデビュー作。なんか当時から世界観全開でしたねw

 ストーリーは、

 1984年、ニュージーランドの田舎町。
 マイケルジャクソン大好き少年・ボーイ。

 彼は失踪中の父親をヒーローと重ね合わせ、日々空想していた。
 そんなある日、その父が家に帰ってきた。

 退廃的な現実と少年の頭の中を描いたファンタジー。
 マオリ風パンズラビリンスみたいな感じですかね?

 前回とは打って変わり、変な世界に迷い込んじまったな。変な映画。
 ただ、なんか変な魅力もある、不思議な映画ですね。

 ニュージーランドののどかな風景も相まって島特有の色合い。
 てか、駄目親父役、ワイティティ監督本人なんかw

 それも含め、異色の作品というか。演出が本当に特徴的。
 しかし、根本は家族の物語。子供の成長。大人への一歩。

 民族的に言うと通過儀礼。そこはシンプルに描いてる。
 理想化された父親から、現実へ熱が覚めていく。

 ヒーローを捨て、ちょっとずつ前へ歩み始めるこの様。
 のほほんとしているようで、観客の心を撫でるような感覚。

 後の名監督の片鱗を見せてもらった気がする。
 アッパレです。でも、ギュッと鷲掴みにはされんかったかな?w

 まぁ、暇な時に見るのが一番っぽいね。
 ソフトタッチ。観客の心をくすぐるハートフルムービー。

 では、また。



J・エドガーについて、そのダフォディル

2022-09-28 00:25:00 | ヒューマン

 クリント・イーストウッド監督作。
 レオナルド・ディカプリオ主演。

 FBI長官を40年近く務め、キング牧師の宿敵。
 J・エドガー・フーバー。その実像とは……。

 
 てか、死ぬまで在任ってすごいなw
 この執着心。権力に蝕れていく感じ。圧巻。

 何よりレオ様の役作り。完璧じゃないでしょうか。
 ちょっとグレートギャツビー感も出てますがw

 フーバーの青年から老年期まで。

 優秀な官僚として、最新のシステムや法律を整え。
 やがて、捜査機関FBIを生み出し辣腕を振るう。

 しかし、年を取り、おじいちゃんになり時代に取り残され。
 麒麟も老いては駑馬に劣る。老害となる。
 
 リアル鷲巣だなw もしかしたらモデルだったりして。

 その過程が生々しく。人間の一生がこれでもかと映されてる。
 政治ドラマであり、同時に人間ドラマでもある。傑作かつ怪作


 後はクライド・トルソンヘレン・ガンディ
 フーバーとのトリオ感。盟友感。見てて飽きない。

 この2人はフーバーとそれぞれ40年、50年付き従う。
 ちょっと常人じゃ理解できない関係。

 特にクライドはフーバーとは恋人同士。
 でも、これも単純な同性愛じゃないな。ある種、血の繋がり以上。

 この強い絆が、何とも妖しく眩い。
 イーストウッド監督が描きたかった主眼なのかなとも。

 ヘレンの描写が少なくて、ちょっと物足りなかった。
 いつか、この人主役の映画あっても面白そうだよね。

 パーソナルな部分が「結婚に興味ない」って部分しかなかったから。
 何を考えて、どういう思いでフーバーと共にいたのか知りたい。
   
 クライドが寄り添い、ヘレンが幕を閉じる。
 
 フーバーという人格や人間性。どこか神秘的ですらある。
 一つに括れない、異色・異形の映画になってると思う。


 あんまりイーストウッドらしい硬派さがなくて、それが残念w
 まぁ、そういう人は「運び屋」でも見とれって話。

 どんなに強い人間も一人では生きられないし、いずれ死ぬ。
 端的に、ストレートに伝えてくれる映画。

 でも、それ以上に、フーバーの生き方が、羨ましい。
 遣り甲斐のある仕事、仲間、愛。彼は全てを手に入れた。

 過ちや皮肉もあれど、彼は永遠に枯れない花 になった。

 8人の大統領に仕え、恐れられた。
 米国史上もっとも有名な官僚の数奇な人生。


 お楽しみください。
 では、また。




グローリーについて、その明日への行進

2022-09-23 00:35:00 | ヒューマン

 キング牧師を主人公にした実話映画。
 キング牧師の映画として、その死後初の作品なんだと。意外。

 元々はスピルバーグが手掛けようとしてたのが頓挫して。
 エヴァ・デュバーネイさんという女性の新人監督に託された本作。

 ストーリー……というより、アメリカの歴史を振り返る。

 1865年、南北戦争終結。奴隷制の廃止が決まる。
 だが、南部を中心に黒人差別は根強く残り続ける。

 悪名高き『ジム・クロウ法』。
 黒人の選挙権、結婚等を厳しく制限。そして人種隔離。

 この法律が100年。アメリカ黒人を圧する。
 キング牧師は数々の活動を経て、1964年7月。

 ついに『公民権法』が可決され、ジム・クロウ法は撤廃。
 同年、キング牧師は活動を評価されノーベル平和賞を受ける。

 それから年が明け、差別の火種は未だ燻り、1965年2月。
 
 『血の日曜日事件』。
 ジミーという黒人の青年が何の落ち度もなく警官に射殺される。

 事件に抗議するため、キング牧師は立ち上がる。
 アラバマ州セルマから州都モンゴメトリーまでのデモ行進。

 しかし、その行進を苦々しく見ている者がいた。

 当時のアラバマ州知事のジョージ・ウォレス。
 彼は激しい差別主義者だった。

 州知事は即座に反応。
 デモ鎮圧のため、保安官隊を差し向ける。

 セルマの橋を封鎖し、デモ隊が進めないよう攻撃を仕掛ける。
 キング牧師は先頭に立ち、力強く一歩を踏み出す──。


 この映画を見て、ローザ・パークスという人を初めて知りました。
 この人、何した人か知ってます? 椅子に座ったんですよ。

 バスの白人専用椅子に初めて座った黒人女性。

 椅子に座っただけで歴史に名が残るという衝撃。
 当時、どれだけ差別が酷かったか如実に物語る。


 キング牧師、苦闘の日々。物語はノーベル賞授与式からスタート。 
 「キング牧師は皆知ってるでしょ?」って。

 生い立ちは一切ない。多少、調べなきゃならんのが難点。
 俺はWiki読んだりすんの苦じゃないから良いが。

 ちょっと観客を置いていってる感じはあるよなぁ。
 ストーリー性は前見た「ブラックメシア」の方があるかな。

 投票権法を巡り、ジョンソン大統領との攻防。
 ここは緊張感があって、見てて面白い。

 てか、ジョンソン大統領カッコよw
 ケネディの後釜ってイメージしかなかったけど。

 思えば、この人の政権下で公民権法と投票権法も制定されたから。
 キング牧師と一緒に平和賞受けてもおかしくなかったんじゃないか。

 まぁ、影の立役者ってことで。そこも含め印象深い人でした。


 ところで、何故スピルバーグは映画化に失敗したのか。
 それはキング牧師の遺族に反対されたからなんだとか。

 何より『I have a dream』の演説の著作権を遺族が持ってるから。
 スピーチに著作権がある事自体、驚きだが。アメリカらしいよね。

 どうやら他の演説でも著作権があるようで。
 だから、キング牧師の映画は今まで難しかったんかな?

 スピルバーグとタッグを組むはずだったオリバー・ストーン監督。
 監督自ら書いた脚本も、遺族に却下される。

 キング牧師はかなり好色家で有名
 普通に不倫してるし、風俗嬢とも乱痴気騒ぎ。

 FBIに盗聴脅迫されても「女遊びは辞められん」と。
 周囲に公言していたというw

 そういう人間的な部分をガッツリ書いた脚本。
 しかし、どうやら遺族が気に食わなかったらしく。

 脚本もダメ出しされ、「I have a dream」も使えない。
 それで結局、企画はお流れに。

 「I have a dream」のないキング牧師。 
 紋所のない水戸黄門と一緒だなw


 そして、デュバーネイ監督にお鉢が回る。
 前述の遺族問題、著作権問題。彼女はどうしたかと言うと……。

 遺族の許可は取らない!!

 飛んだ荒業w
 つまりこの映画はキング牧師の二次創作映画なんですよ!w

 大河ドラマで、偉人の子孫が文句言うって話聞きますが。
 そんな回りくどいことはデュバーネイ監督。知ったこっちゃない!

 まぁ、そもそも遺族を刺激するような内容でもなかったしね。
 せいぜい盗聴テープと煙草吸うシーンくらい。

 キング牧師は喫煙者ですが、実は宗派バプテスト教は煙草厳禁。
 暗殺された夜、周囲はまず初めに煙草を隠したそうなw

 まぁ、小ネタですね。有名な話ですし。
 こうなるとストーン監督の脚本も見てみたくなるな。

 偉人は『聖人』ではないということ。
 もっと真実の姿が見たい。物語が少し浅く感じた。


 次に演説問題。残念ながら劇中でI have a dreamは登場しません。
 ただ演説シーンは各所にあり、全て著作権があります。

 さて、監督はどうしたか……

 演説は一字一句、類語に変換してます!

 意味だけ通るようにし、著作権を回避!
 だから、言ったろ? 二次創作映画だってw

 ただ見た感じ、全く違和感ないw
 まぁ、原文がどうとか、全然知らないんだが。

 キング牧師は演説してナンボですからw
 この躍動感は素晴らしい。

 日本人の俺には分かり辛いが、努力は理解できました。
 

 それにしても、何故に監督はここまでして企画を推し進めたのか。
 この映画が作られた2015年。アメリカは新たな岐路に立っていた。

 『有権者ID法』
 運転免許証等のIDで選挙を管理しようという法律。

 日本人としては何だか便利そうに感じるが。
 これがアメリカでかなり切実な問題らしい。

 まず、黒人や移民等の貧しい人は運転免許証とか持ってない。
 アメリカの厳しい格差社会ですね。

 黒人のみならず貧困層全体への差別、というより排除。
 新しい『ジム・クロウ法』の復活というわけです。

 まぁ、これには事情もあり、白人も必死である証拠。
 近年は黒人や移民系の議員が増え、白人は年々少数派に。

 そもそもアメリカの人口自体、有色人種が過半数を越える勢い。
 白人も既得権益を守らないかん。そういう戦い。

 キング牧師の戦いは形を変えて未だ蔓延っている。
 ただ、その偉業も、その意思も、現代に残っていると信じたい。

 
 映画として、実際さほどパッとするような物ではないんですがw
 色々、勉強になりました。知らないことだらけ。

 見なきゃ調べなかったと思うしね。
 本来の映画の楽しみ方ではないんだろうけどw

 何はともあれ、死後50年にようやく生まれたキング牧師主役作。
 貴重に代わりはない。

 できれば、次に生まれる作品はよりキング牧師の実像。
 真の姿に迫ったものであってほしい。それが見たい。

 そう願いながら。
 では、また。


 
 

ラストナイトインソーホーについて、そのスウィンギングロンドン

2022-09-19 07:08:00 | ヒューマン

 ロンドンのデザイン学校に通うこととなったエリー。
 しかし、同級生との寮生活に馴染めず、早々と寮を出、ソーホー地区にあるアパートで一人暮らしを始める。

 引っ越しが終わり、一息ついて寝ようとしたその時。
 何故か、60年代のロンドンへ、エリーはタイムスリップ。

 煌びやかネオン街を楽しむエリー。
 やがて、それが悪夢へ変わると知らずに──。

 各所で評価の高いサイコロジカルホラー。
 期待通りというか、中々面白かったです。意表を突く作品。

 まぁ、俺はもうちょいホラー寄りなんかと思っていたが。
 ホラー目線やと期待外れかな。ジャンル分けが非常に難しい。

 かと言って、サイコでもロジカルでもないしな~w
 だからこそ、今までありそうでなかった作品とも言える。

 謎解きと後は青春重視って感じなんかな? 青春ファンタジーやね。
 ダークファンタジー。イギリス版「時をかける少女」。


 前評判通り、音楽と映像のマッチング。素晴らしい。
 音楽とファッションの洪水。鏡の演出とか凄い。

 ダンスでクルクル入れ替わったり。ミュージカル映画でもある。
 各演出が、エリーとサンディのシンクロをより高めている。

 しかし、歓楽街のネオン、その下では……。
 芸事ということで、綺麗事じゃ済まされない闇が広がってると。

 もうちょい、この闇部分を詰めてほしかったよね。
 細部の詰めの甘さが、ラストのどっちらけに繋がってくるというw

 そういや、エリーって霊感があるって設定なんすかね?
 そこら辺が曖昧というか、オカルトチックではあるよな。


 サンディ生きてるし!!w
 これを許せるか許せないかで評価が変わってくると思う。

 俺はびっくりの方が勝ったというか。全然予想してなかったからな。
 ババア強ぇしw さすがはロンドンで生き残っただけのことはある。

 あんな死体だらけの部屋で暮らしてたとか、めっちゃホラーやんw
 風呂に栓しただけじゃ臭い消せねーだろ。

 あんだけ殺してて、捜査の手が伸びないとか。
 ちゃっかりアパートも手に入れてるし。とんでもねーババアだなw

 シリアスを突き抜けて、笑っちゃったよw
 視聴後としては、本当に今まで味わったことのない感覚だったな。

 ドリフの大オチみたいな。ダメだこりゃw
 いや、けっして悪い気分ではないんですがねw

 序盤から想像もできない展開が一挙に畳み掛けてくる。
 ヒロインの魅力も存分に引き出されていたし。

 エンディングの後味もすっきり。
 改めて感想を書いてると「よくできた映画やな~」と感心します。

 サウンドトラックとか売ってんかな? めちゃくちゃ欲しいわ。
 皆さんもこの映画で「60s」へタイムスリップしてみてください。

 では、また。
 


世界でいちばん美しい村について、そのグプシ・パカ

2022-08-15 11:07:00 | ヒューマン

 2015年4月、9000人の死者が出たネパール地震。
 その震源地である村へ取材に訪れた写真家・石川梵さん監督作。


 日本よ、これが映画だ!


 厳密にはドキュメンタリーですがw
 映画としか形容できない。至極の芸術作品です。

 まずネパールの自然。息を呑む。
 ヒマラヤの麓ってことで、筆絶の美しさ。

 そこで織り成す人々の葛藤や摩擦。
 生活の息遣い、色合い。

 ドキュメンタリー苦手って人もいるかと思いますが……

 これ見たら人生変わる!w
 てか、見終わった後にまだ苦手とか言う奴いたら神経疑うわ。

 まぁ、風の谷のナウシカみたいなもんすからw
 まず見てみてください。

 では、また。