釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

日本の「緊急事態宣言」だけでは効果はない

2021-01-05 19:15:29 | 社会
今日は珍しく職場近くの川で、昼休みに2羽の白鳥の姿を見ることが出来た。1年前の冬は結局近くの川では1羽の白鳥も見ることがなかった。以前と違い、近年は鳥インフルエンザのせいで、飛来して来た白鳥たちにエサをやる人がいなくなったために、白鳥たちが飛来しても川で越冬せず、すぐに他へ飛んで行ってしまう。おそらく今日見た白鳥たちもすぐにいなくなるのだろう。人のインフルエンザは渡航制限で極めて少なくなっているが、鳥のインフルエンザは鳥たちの飛来を止めることは出来ないので、この冬もすでに国内の14県で発生し、香川県の養鶏場では100万羽もが殺処分されている。デンマークやフランスでは鶏だけでなくアヒルまで殺処分されている。 1日の新規感染者が年末から5万人を超え続けている英国では、12月31日に、イングランドの人口の78%の地域を対象に厳しいティア4(自宅待機)が発令された。しかし、年が明けても新規感染者は相変わらず毎日5万人を超えており、ついに昨夜英国首相はイングランド全域に自宅待機を発令した。英国の全土封鎖である。アイルランドはすでにそれが発令されていた。日本の「要請」レベルの緊急事態宣言などより、はるかに厳しい英国のティア3ですら、感染拡大を抑えられない。何故、日本の緊急事態宣言よりずっと厳しい英国のティア3(屋内外での他世帯との集会禁止、屋外での集会は6人以内、飲食店は配達・テイクアウトのみ、屋内娯楽施設の営業停止、地元以外への移動自粛)でも感染拡大が防げないのか。春の第1波を上手く制御した韓国も今では1日の新規感染者が1000人前後で経過している。もっとも、現在の波のピークは超えたようには見えるが。英国も韓国もどちらも苦戦しているのは英国タイプの変異ウイルスが感染の中心となっているためである。英国の研究者によれば、南アフリカのウイルス遺伝子解析のレベルは英国と変わらないレベルだそうだ。その南アフリカで解析された変異ウイルスは英国のオックスフォード大学のジョン・ベル教授によれば、現在開発されているワクチンの効果について「大きな疑問符」が付くと言う。昨日のロイター通信が伝えている。英国の変異ウイルスには23個の遺伝子変異があり、そのうちの8個がスパイクタンパク質遺伝子と関連がある変異で、特に「N501Y」、「N439K」、「Y453F」と呼ばれる3つの遺伝子変異がウイルスの感染力増強に関係しているとされる。中でも「N501Y」は、特に、人の細胞のACE2受容体(レセプター)への結合をより強くする。南アフリカの変異ウイルスから見出された「E484K」と呼ばれるスパイクタンパク質遺伝子変異も「N501Y」と類似しているが、南アフリカの変異ウイルスに感染した人では、英国タイプの変異ウイルスに感染した人よりもさらにウイルス量が多いのだと言う。英国、南アフリカいずれの変異ウイルスも致死率には影響しないと言われるが、英国タイプでは子供の感染も増加しており、南アフリカタイプでは若者の感染が従来型よりも多くなっている。日本では今週後半か末に英国よりもずっと緩やかな緊急事態宣言が発出されようとしているが、それを何ヶ月続けようと感染は抑えられない。日本にもすでに英国タイプの変異ウイルスは市中に入り込んでおり、南アフリカタイプすら市中へ入り込んでいる可能性もある。日本に限らず欧米などは感染が大きく拡大してから移動制限を行う。これでは遅すぎる。まして感染力が強まっていればなおさらだ。多少は一時的には減少傾向になるだろうが、解除されれば、また、感染が拡大する。この繰り返しでしかない。ずっと減少した時に、まさにまだ陽性者が出る地域を徹底してPCR検査であぶり出し、隔離・治療する以外には終息は望めない。感染拡大がせっかく減少しても、このPCR検査の徹底と言う言わばダメ押しをしないために、その後、再び感染が拡大して来る。感染が少ない時にこそ、陽性者の出る地域の徹底検査をやらなければ、決して終息することはない。日本の政治家や専門家の酷さを考えれば、日本は仕方がないとしても、欧米が何故この感染症の科学的な対応をしないのか。考え得ることはワクチンなのかも知れない。感染拡大が大きく、長引くほど、ワクチンが多くの人に打たれることになる。利益はワクチンを開発する製薬企業や口利きの政治家に集まる。最も安全性が重視されて来た従来のワクチン開発が、こと新型コロナウイルス ワクチンに関しては異常なまでの安全無視である。中・長期の副反応などは従来のワクチンと異なり、全く考慮されていない。そして、各国政府は早々と、ワクチン開発企業への責任を問わないと発表した。重い副反応が出た場合は、誰が責任を持つのか。ワクチン接種時に、副反応があった場合、政府の責任さえ問わないと言う署名でもとるのだろうか。遺伝子操作と言うあまりにも未知のワクチンを早急に承認することが、感染拡大とは言え、納得出来ない。日本の富裕層の一部が接種した中国製ワクチンや日本の明治が開発中のワクチンなどは不活化ワクチンであり、従来手法だけにまだ許容出来るが。ともかく新型コロナウイルスワクチンに関心てはよほど慎重でなければならない。それにしても、日本のコロナ対策はあまりにもお粗末過ぎる。陸の孤島と地元の人が言う、この釜石にいてむしろ良かったとさえ思える。
川に来ていた2羽の白鳥

感染の持続と経済の悪化

2021-01-04 19:14:35 | 社会
首都圏では再び、飲食中心に「限定・集中的」に緊急事態宣言が実施されようとしている。何かと言えば飲食関係が標的にされているが、その科学的根拠は一切公表されない。東京都で言えば、PCR検査陽性者の7割は、経路が辿れない市中感染であり、経路が明かな残り3割の半分は家庭内感染である。これを考えただけでも、飲食店に焦点を当てる意味合いは薄い。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は、昨日のツィッターで「コロナ感染拡大は人災の側面があります。大した根拠もなく、クラスター対策に固執し、PCRを抑制した医系技官や尾身先生などの専門家の責任が重いのですが、実際には飲食店や夜の街の経営者が批判されています。おかしくありませんか。彼らは被害者です。」と書いている。首都圏の増加状態と、すでに21人の英国タイプ変異ウイルスが検出されていることを考えると、少なくとも首都圏ではもう英国タイプの変異ウイルスの感染が拡大していると考えられる。その変異ウイルスの本家である英国では地域的なロックダウンに入っても、毎日5万人を超える新規感染者が出て、昨日、英国首相は、さらに厳しい処置を取らざるを得ないだろうとBBCのインタビューで答えている。英国の状態を考えると、おそらく日本で「限定・集中的」に緊急事態宣言を発しても、春ほどの効果は得られないだろう。こうした行動制限は、感染症ではむしろ感染が拡大する前に行わなければ、効果は出ない。しかも、それはPCR検査の徹底と抱き合わせでなければ、終息にはつながらない。癌遺伝子治療の大家である中村祐輔東京大学名誉教授は、ブログで「鎖国でインフルエンザが日本に入っていない状況だからインフルエンザが抑えられているというが、コロナ感染症は広がり続けている。その大きな理由のひとつが、無症状感染者という厄介な存在だ。」「オールジャパンで対策を・・・・・それは正しい。しかし、事実から科学的な考察ができない一握りの人達が科学行政を牛耳ることなど、どう考えても間違いだ。地上に出現したモグラを叩くだけではなく、地下に潜んでいるモグラまで絶滅させる対策が必要だ。そして、私が恐れるのは進化を遂げ、地下深くで広がっていくモグラの出現だ。RNAウイルスの変異率の高さとワクチンの作り出す抗体のイタチごっこがこれから始まる。 危機管理は最悪を想定するという基本を考えれば、PCRによるすべてのモグラの追跡と根絶が必要だ。」、「初めてコロナウイルス感染症が確認されて以降、PCR検査をすると医療崩壊が起こるという本末転倒の専門家の意見から始まり、日本の科学の脆弱さをさらけ出した1年とも言える。」、「検査と隔離で「ゼロコロナ」を目指す体制は、PCR検査の絞り込みと、早々と出た「ウイズコロナ」宣言で、日本では幻となってしまった。最近のイギリスからの変異ウイルスの件など、「現在のところ確認されていない」は1日でひっくり返り、政府の無責任さと科学的思考力のなさ」が浮き彫りとなった。ウイルスの遺伝子解析をしていたのか、していなかったのか?していたのならば何人について調べたのか、その数字があって初めて科学的な対策をとることができるはずだ。「見つかっていない=十分に調べていない」のか、「十分に調べたけれども、存在しなかった」のでは意味が全く異なる。」などと書いて、政府や「専門家」の非科学的「対策」を批判している。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンで免疫学を研究中の小野昌弘医師は、ヤフー・ニュースで、英国では昨年4月の段階で、早くも感染症、公衆衛生・疫学・統計、遺伝子分析の専門家が参加した全英的共同研究チームが立ち上げられ、1400万件のPCR検査のうち14万件ものウイルス遺伝子分析が行われたことを述べている。その結果、新型コロナウイルスの突起部分、スパイクだけで4000もの変異を見出している。今回問題となっている感染力が強いと言われる英国タイプの変異ウイルス は、スパイクに8つの変異があると言う。すべての新型コロナウイルスワクチンは、このウイルスのスパイク部分を基に開発されており、そのスパイク部分が変われば、ワクチンの効果が消失する可能性が出て来る。今回の英国タイプの変異ウイルスではワクチンに効果があったとしても、長引くうちに、ワクチンが効かない変異ウイルスが出現する可能性は十分あるだろう。今日のブルームバーグ日本語版では、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員が、緊急事態宣言について、首都圏で発令されると、1-3月期のGDP成長率の前期比マイナスや景気二番底のリスクが高まると分析し、「景気に配慮して決断が遅れてしまったことで、かえって景気を悪化させることになってしまった」と指摘している。何事も問題が小さいうちに摘み取らねばならない。感染が拡大してから手を打っても、弊害を大きくするだけで、結局は感染そのものすら終息させられない。中国だけでなく、台湾やニュージランドのような模範があっても、学ぼうとはしない。学ぶ姿勢のない国に、感染が拡大するのは当然だろう。日本での感染は今年1年もなお続いて行くだろう。犠牲だけが積み上がって行くことになる。感染症の基本対策を取らない欧米も、やはり感染が続き、政府のさらなる支出と中央銀行の通貨印刷も続くだろう。昨年末の12月29日、米国人投資家ジム・ロジャーズ氏は英国BBCのインタビューで「I think I see the bubble developing, the bubble will become bigger and bigger, probably during 2021. But later in the year, the bubbles probably going to pop and a lot of people are going to suffer. (おそらく2021年の間に、バブルが成長し、バブルはどんどん大きくなると思う。しかし、年の後半には、おそらくバブルがはじけて、多くの人々が苦しむだろう。)」と述べている。
英国タイプの変異株が見出された国・地域

年の初めの危惧

2021-01-02 19:14:33 | 社会
年が明けたが、今年もあまり良い年にはなりそうにない。日本だけでなく、世界の主要国は共に3つの問題を抱えている。新型コロナウイルス感染、膨大な債務経済、ITによるデジタル集権化である。感染症は完璧な治療薬やワクチンが作られない限り、早期の検査・隔離・治療が徹底されなければ終息はしない。年末年始の休日だからと検査は減少しても、ウイルスは減るわけではない。むしろ、検査が減少するためにウイルスの発見が遅れるだけである。釜石のような人口が3万3000人足らずの小さな街でも感染者が5人出て、6人目が検査結果待ちになっている。市の基幹病院は10人までの中等症までの入院が可能であるだけである。隣の大船渡市には一度も使われたことがないECMOが1台準備されているだけである。移動が続き、検査制限が続く限りは、地方でも感染は増え続ける。政府に助言する新型コロナ対策分科会の専門家の大きな誤りは、三つある。感染症対策の大原則を無視していること、無症状感染者を放置していること、空気感染を認めないこと、である。これらの誤りのために、たとえ緊急事態宣言で一時人の動きを止めても、緊急事態宣言が解除されれば再び感染を拡大させるだけである。緊急事態宣言で動きが止まっている時にこそ、徹底した検査を行う必要がある。中国の知人のいる大連市は、日本の大連領事事務所によれば、27日までに60人の陽性者を見出しているが、25日までに全市民に対するPCR検査を実施済みであり、友人によれば、さらに全市民への2回目の検査が行われる徹底ぶりである。大連市の実人口は698万人で、その全てに検査を実施している。昨年11月19日、REUTERSは「Global debt to hit record $277 trillion by year end on pandemic spending splurge: IIF(パンデミック支出の急増により、年末までに過去最高の277兆ドルに達する世界的な債務:IIF)」なる記事を載せた。国際的な民間金融機関組織であるIIF国際金融協会の発表内容を伝えている。世界の債務は昨年9月までにすでに15兆ドル増加し、272兆ドルに達し、政府(主に先進国)が増加のほぼ半分を占めた。先進国の総債務は、2019年末の約380%から第3四半期にはGDPの432%に跳ね上がった。米国の負債総額は2020年には80兆ドルに達する見込みで、ユーロ圏では、9月までに負債が1.5兆ドル増加して53兆ドルになった。記事は、新興国政府の歳入の減少により、世界中で記録的な低借入コストが発生しているにもかかわらず、債務の返済は「はるかに面倒」になっていると書いているが、これは何も新興国だけの話ではない。日本などずっと以前から「債務の返済は「はるかに面倒」になっている」のだ。1980年代から米国は金融経済に転換した。製造業が日本やドイツに潰されたためだ。この金融経済とは、実態は借金と賭博である。実際には何も生み出さず、単にドルと言う通貨を世界に「信用」で流通させ、ただドルを印刷し続けただけである。以後の「金融危機」は賭博の大負けである。しかも、負けた巨大金融機関は「大きくて潰せない」として、さらに通貨を印刷して、その金融機関に注ぎ込んで来た。いくら通貨を印刷しても、誰も「異常」を指摘しない。国も企業も富裕層も誰もがそれによる恩恵を受けているからだ。負けても負けを補ってくれる賭博など、とてもやめられない。結果、何度も金融危機を繰り返すことになる。すでに2019年末時点で、その「金融危機」が近付いていたが、コロナ禍が一時的に救ってくれた。通貨の大量印刷の口実を与えてくれた。その通貨で賭博資金が支えられた。2020年の年末には稀に見る株式の高騰となった。超低金利でも貧しい人や国では返済すら簡単ではない。その一方では、富裕層や巨大企業が超低金利で借金をし、その借金を株式などの賭博に投じる。金利をはるかに超えた利益を上げ続けて来た。米国のハイテク株の多いナスダック総合指数などは年間で43%も急騰している。富裕層や大企業にとって金利は1%にも満たないのだ。皮肉なことにコロナ禍の終息こそが金融危機を招来させることになるのだ。いや、さらに「経済回復」の名目で通貨印刷を続けるだろう。しかし、ブラック・スワンは新興市場から飛び立つかも知れない。債務とバブルの規模が前代未聞なだけに、次にやって来る金融崩壊は凄まじいものになる。その時ですら中央銀行は、また、通貨印刷に走ろうとするだろうが、果たして、そんな通貨がまだ「信用」を維持出来るだろうか。経済崩壊にも等しい次の金融崩壊では、政府は一気にデジタル化を押し進めるだろう。国外からやって来る人には、コロナを利用して、国内での移動状況が分かるアプリをスマフォに入れなければ入国出来なくなる案件が日本政府により検討されており、国内ではすでにマイナンバーカードと免許証を統合し、いずれスマフォに入れる方向である。移動と金銭の流れは全て政府に掌握される。昨年12月25日にロシアのTelecomDailyという企業が世界の各国の監視カメラの設置台数を調査した結果が公表された。1位は当然ながら中国で2億台のカメラが設置され、国民1000人あたり143.6台である。2位は米国5000万台で、1000人あたり152.8台で中国より多い。3位がロシアで1350万台のカメラで1000人あたり93.2台、4位ドイツ520万台で1000人あたり62.7台と続き、日本が5位となっている。500万台で1000人あたり39.5台である。英国が日本に続き同じく500万台であるが、1000人あたりでは75.2台となる。ドイツも日本もさらに増えて行くだろう。デジタル化は利便性を高めているようで実は政府に個人情報を全て牛耳られるものでもある。いざとなれば、預金封鎖なしでも個人の資産は把握された状態になるのかも知れない。余談になるが、民主主義は国内で少数民族を弾圧しているとされる中国にないだけでなく、人種差別が一向に止まず、何の証拠もなく他国を「侵略」する米国にもない。米国は「正義」や「民主主義」の名で平気で自己利益のために他国に武力介入する国である。中国と米国の違いは内と外の違いである。もちろん、三権分立が崩壊し国民の声が反映されなくなった今の日本も同じである。つまり現代は国を問わず民主主義の危機でもある。