釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

太陽活動と望遠レンズ

2012-05-21 19:17:47 | 文化
午前中は日が射していたが、昼頃から曇って来た。今朝岩手では部分日蝕が見られるはずなので、日食観察用のレンズフィルターまで準備していたが、すっかり忘れてしまった。東京近辺だと完全な金環日食が観察出来たのだが、岩手県は位置の関係で金環日食は見られない。そんな中途半端さがどこかで失念に繋がったのかも知れない。このフィルターは太陽の黒点観察にも使えるのでそのために使ってみようと思う。天体観測も本格的にいつかやりたいと思いつつこれまでやれないで来ている。専用の天体望遠鏡は一応持っているが、これはむしろ野鳥観察用に用意したものだ。野鳥観察にはどうしてもそれなりの望遠レンズが必要になるが、カメラ用の野鳥を見るための望遠レンズとなると価格も極端に高くなるだけではなく、重さもかなり重くなる。使っているキャノンのカメラには1200mmの望遠レンズがキャノンから出ている。しかし、これを使うには相当の重量に耐えなければならず、三脚も専用に準備しなければならない。野鳥観察も手軽にはできない。そこでもう少し手軽に超望遠をと考えて天体望遠鏡を使った野鳥観察を知り、準備をしたが、それでも望遠鏡が重くはないが、大きさが大きく、手軽さではやはり問題があった。今のところ軽くて超望遠を効かせられるのは、かえってコンパクトカメラの方が有利だ。ただし、そうなると画質の劣化は避けられない。ニコンから42倍ズームで最大1000mmというコンパクトカメラが出ているが、やはり一眼レフカメラよりは画質は落ちる。それでも以前に比べれば確かに画質は向上して来ている。そこで、こうした高倍率のコンパクトカメラの画質向上を今少し待って、それを野鳥観察に利用しようと考えている。コンパクトカメラと言っても高倍率のものは通常のコンパクトカメラよりは大きくはなるが、一眼レフに超望遠を付けた場合に比べればずっと手軽に扱えるようになる。デジタルカメラの進化のスピードは一時のパソコンの進化と同じく非常に早い。もう少し待てば、画質はより一層向上して来るだろう。レンズの性能向上もさることながら、画質処理技術の向上が顕著だからだ。メモリーチップとソフト処理の両方がそれぞれ急速に進化している。一眼レフカメラのようにレンズを交換出来るものはレンズ性能が画質に大きく影響するが、それすらがフィルムからデジタルに変わってしまえば、結局は、チップと画像処理ソフトが大きな役割を持つようになった。いつの時代かデジタル画像処理の技術がさらに高度に進化すればレンズ交換など必要がなくなる時代が来るかも知れない。それはそれで他の技術同様、便利さと引き換えに何かを失うのかも知れないが。最近太陽の活動にも異変が起きて来ているが、16日の科学誌ネイチャーによれば太陽表面で超巨大な爆発現象「スーパーフレア」が起きる可能性があることが報じられている。太陽では通常でもフレアと呼ばれる爆発現象があり、そのため生じる磁気嵐で通信障害や停電などが発生している。スーパーフレアは通常起きている最大のフレアの10~100万倍ものエネルギーを発すると言う。スーパーフレアの可能性を今回発表した京都大学天文台グループではスーパーフレアが「起きれば地球は大きな被害を受けると予想され、研究を進めたい」としているようだ。人体への影響はないのだろうか。心配になる。
職場の裏山では朴の木の花が咲き始めた


五月晴れの気持ちのいい日

2012-05-20 19:54:59 | 文化
今日は朝から五月晴れのいい天気になった。いつもより多少ゆっくり起きて、娘とともに9時半頃に家を出た。開いた窓から入る風を受けて娘は何度も「気持ちいい」と繰り返していた。山々の緑と晴れ渡る青空に気持ちも明るくなるのだろう。釜石自動車道を下りて赤羽根峠へ向かう。結局昨日は赤羽根産直で行われる「かっこ祭り」へ行かなかったので、その2日目にあたる今日、息子の迎えのついでに寄ることにした。産直では敦盛草の講習を聴こうとしてたくさん人が集まっていた。行って間もなく講習が始まった。個人の方が持ち込んだ敦盛草の株分けだ。発砲スティロールへの土のもり方もまた違ったもり方があるのを知った。おおよその内容を確認して、時間がないので途中で退出した。その間娘は山菜を買っていた。ここの山菜はちゃんと放射線を測定していたようだ。小さな産直だが、住田町はこうした点もしっかりしているようだ。一関市の牧場の牧草が基準に達しなかったため、今年は牛の放牧が取りやめになったが、その後遠野市でも主な牧場がやはり牧草の放射線量が多いため放牧が中止になった。牧草だけでなく山菜も同じように放射線量が高くなっているものが多いだろう。遠野市は釜石市に比べれば放射線量の分布は全体としては少ないはずなのだが、それでも野草は濃縮してしまっているのだ。新しくできた遠野の上郷の産直へも行って、そこでまた山野草を3つほど買ってしまった。遠野を過ぎて45号線を花巻に向かって走っていると線路脇にカメラの三脚が並んでいる。ひょっとするとまた蒸気機関車の試験運転があるのではないか。娘が早速iPhoneで調べてくれた。釜石に向けて13時頃に花巻を出発するという情報がツィッターに出ていた。息子を迎えた帰路に遠野で蒸気機関車を見ることにした。予定通り飛行機が着陸し、息子を迎えた後、お腹が空いたという息子のために空港のレストランへ行くことにした。食事をしながらの息子の話によると、大阪では米国から来ている懇意の女性黒人ゴスペルシンガーに少しレッスンを受けたようだ。食事中に窓から黒煙が上がるのが見えたが、機関車の黒煙ほど後へ続いていないので、機関車のものとは違うだろうと思っていたが、食後に釜石へ向かって車を走らせていると線路脇から何人かが三脚を持ちながら引き上げている姿を見た。すでにもう走っているようだ。少しスピードを上げて追いかけようとしたが、撮り終わった人たちもたくさん機関車を追いかけているようで、渋滞になっている。何とか遠野の風の丘あたりで追いつければと思っていたが、そこまでに追いつくことは出来なかった。しかし、必ず、遠野駅で少し止まるはずなので、逆に上郷あたりまで行って見ることにした。やはりこちらへはまだ来ていないようで、線路のそばには何か所かで人が集まっていた。結局、上郷の猫川にかかる橋のところで待つことにした。あっという間に人もたくさん集まって来た。間もなく汽笛を鳴らして機関車がやって来た。息子も娘も実際に走る蒸気機関車を見るのは初めてだ。二人とも少し感動していたように見えた。再び遠野市街へ引き返していくつか買い物をしたが、その途中でまた三陸沖を震源とするM6.3の地震があった。震度は3程度であったが。買い物を終えると釜石へ戻った。遠野では気温が27度にもなっていたが、夕方でもあるせいで釜石は22度になっていた。

猫川を渡る蒸気機関車 1両目客車後方に少し雪の残った早池峰山が見える

日米の人口構造の変化

2012-05-18 19:11:44 | 文化
今日は日本の上空5500mに氷点下21度以下の強い寒気が流れ込み、東日本ではまた竜巻などの突風や積乱雲の発達で落雷、局地的な激しい雨があるそうだ。関東、北陸、東北で荒れるようだ。釜石では夕方までほとんど曇天が続くだけだったが。今週末は土日続けて住田町の赤羽根峠下の産直で敦盛草の特売を中心に「かっこ祭り」がある。敦盛草は初夏のカッコウが鳴く頃に咲くので住田町ではカッコ花と呼ばれている。我が家の敦盛草も最初に純白のものが咲いたが、今は住田町など咲く通常の敦盛草が咲いている。「かっこ祭り」では敦盛草の具体的な栽培方法なども披露してくれるので是非行ってみたいと思っているが、日曜日は息子が大阪から戻って来るため、また花巻空港まで迎えに行かなければならない。ゆっくり「かっこ祭り」を楽しむには土曜日に行く方がいいのではないかと考えている。17日米国国勢調査局が発表したところによると、2010年7月~11年7月に米国で生まれた子供約400万人のうち、50.4%はヒスパニック、黒人、アジア系など前の世代では少数派に分類される人種や民族の子供たちだった。米国の歴史で始めて、新生児に占めるヨーロッパ系白人の割合が半分以下となった。ヒスパニック系は前年比3.1%増の5200万人で、全人口に占める割合は16.7%にのぼった。黒人は同1.6%増の4390万人、アジア系は同3.0%増の1820万人。5歳未満の幼児でも、少数派の人口比は49.7%と半数に迫っている。総人口では36.6%で、若い世代ほど少数派の比率が拡大している。2042年には総人口でも白人が少数派に転じる見通しだと言う。一方、先月17日総務省が発表した2011年10月1日時点の日本の人口推計では日本人と外国人を合わせた総人口は1億2779万9000人となった。前年より25万9000人(0.2%)減少し、落ち込み幅は1950年以降の統計で最大となった。総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は、前年比0.3ポイント増の23.3%で、過去最高を更新している。ドイツ20.6%やイタリア20.3%を上回り、世界的にも引き続き高齢化率は最高となっている。千葉県は1920年の統計開始以来初めて減少する。東京、神奈川、埼玉の各都県でも2010年代後半から2020年にかけて減少に転じると予想されている。埼玉県は高齢化率が全国一だ。千葉県の減少は震災による液状化や福島第一原発事故による放射線量の高い分布地、いわゆるホットスポットの影響が強いと考えられている。昨年6月内閣府が出した2011年版の高齢社会白書では国立社会保障・人口問題研究所の推計を元に2055年までの人口・世代別構成推移を算出しているが、2055年時点では全人口の40.5%が65歳以上となり、2005年時点の20.1%の倍になる。しかも全人口の4分の1が75歳以上となる。今年1月に国立社会保障・人口問題研究所が発表した日本の将来人口推計では2060年の日本の総人口は8674万人になり、現在よりも3割減少する。50年間で4000万人の減少となる。労働人口が減るだけではなく、社会保障の面から見れば、高齢者一人を二人の労働年齢者で支えなければならない状態になり、人口減少による地価の低下も加わり、日本の経済活動は急速に低下する可能性がある。米国も今後人口構造の変化がやはり経済活動に大きく影響して行くだろう。少数派が増えても低所得層が多いためやはり経済活動は鈍化して行くと思われる。
我が家で咲いた二品種目の敦盛草

「安全」が顧みられないまま持続する被曝

2012-05-17 19:12:49 | 文化
今日は気温も上がり、薄日の射す穏やかな気持ちのいい日になった。昼休みに所用で外へ出たついでに再び、裏山の旧道を車で走ってみた。やはり新緑のトンネルはとても清々しい。周囲からは絶えず野鳥たちのさえずりが聞こえて来る。旧道で毎年見ている桐の花はようやく咲き始めたばかりだ。朴の木の花も一部が開き始めていた。何台かの車が空いたスペースを見つけて止められている。中では昼の休みを使って休んでいる人たちがいる。自転車を手押ししながら上って行く人もいる。新緑を目にして、野鳥たちのさえずりを聞きながらいつまでもここにいたい気分になる。夕方近くには雷が鳴り、少し雨も降ったが、一時的なものだった。2004年12月に起きたスマトラ沖地震で発生した大津波によりインドのマドラス原発で冷却ポンプが被害を受けた。このことを重視した経産省原子力安全・保安院は2006年に東京電力などと合同会議を開き、福島第一原発に高さ14mの津波が襲来すると、タービン建屋が浸水し、全電源喪失に陥る可能性があることを指摘したが、東京電力はその後、特別な処置をとっていないばかりか今月14日の国会の原発事故調査委員会では東京電力の勝俣恒久会長はそうした指摘については知らない、と答えている。以前に記したように2008年には東京電力自身が15.7mの高さに達する津波の可能性を試算している。が、やはり何の対策もとっていなかった。原子力安全・保安院は院内組織として各原発所在地に原子力保安検査官事務所を設置し、原発で重大事故が起きたとき、同事務所の幹部がその後の事故の展開を的確に予測し、首相官邸や防衛省などと緊密に連携してスムーズに住民の避難を進めるよう備えている。しかし、そうした能力を高めるための定期的な研修会へは全国17事務所34人いる所長と副所長のうち、過去に研修を受けたのは半数の17人しかおらず、4事務所では受講者は一人もいない。所長・副所長を含めた100人の保安検査官のうち受講者は27人だけである。2009年には総務省から行政評価で「対象者に受講させる必要がある」と勧告されていると言う。研修の機会を年一回から二回程度に増やしたが、改善は見られていない。福島第一原発事故後、政府の事故調査・検証委員会などで保安検査官の情報収集能力の低さが問題視されたと言う。電力会社やそれを規制する原子力安全・保安院の事故を防ぐ努力を怠った状態が続く中で再稼働を画策しているのが現状だ。文部科学省は現在も毎日続けて全国の放射線モニタリング測定結果を発表している。岩手や関東一円は相変わらず平常時の2倍以上のところが多い。これまで関西はあまり線量は多くないだろうと考えていたが、大阪や福岡でも2倍程度になっている。日本地質学会の「日本の自然放射線量」によればもともと西日本は花崗岩質の土壌になっているため自然放射線量が東日本より高い。1988年の国連科学委員会の報告によれば世界の自然放射線量は平均で2.4mSv/年だが、日本は1.4mSv/年と報告されている。昨年の福島第一原発事故後は政府は世界平均の数値を常に基準にして話を進めており、日本の平均1.4mSv/年という数値は伏せている。しかもこれらの数値は外部被曝と内部被曝を合わせた数値であり、外部被曝は3分の1を占めている。それを考慮した上で文部科学省が毎日公表している空間線量と同じ基準で表すと日本では平常時は0.02μSv/hrというのが平均的な数値となる。岩手県や関東、大阪、福岡では0.05μSv/hr以上のところで推移しているところが多い。文部科学省の「放射線モニタリング情報」ー「全国及び福島県の空間線量測定結果」で岩手県を見ると釜石では釜石地区合同庁舎で測定されており、今日の17時50分の結果では0.054μSv/hrとなっている。これに国連科学委員会の報告を考慮すると単純計算では内部被曝を合わせて、この数値の3倍が釜石での被爆量となる。実際には内部被曝は食品の濃縮を考慮すればもっと高い数値になることが予想されるが。文部科学省のデータに基づきグラフ化した「新・全国の放射能情報」サイトを見れば福島第一原発が未だに放射性物質を出し続けていることが、時にスパイク状に増量することからも明らかだ。
裏山旧道に立つ巨石

朴の木の花が開き始めた

目立たず咲いていた垣通しの花 陰干しにして連銭草の名で糖尿病の生薬となる

機関車の汽笛

2012-05-16 19:12:45 | 文化
今日は雲が多い日で日射しが射すこともあるが、すぐに雲に遮られてしまう。昨日の夕方、職場にいて汽笛が何度か鳴るのを聞いた。6月に三週続けて週末にSLが運行されるが、その試運転を何回かやるようだ。帰宅時に釜石駅にSL用の客車だけが止まっているのを見つけた。6月は北上と釜石間での運行があり、北上始発と釜石始発に日が分けられる。止まっていた客車はおそらく翌日の釜石始発の試験運転用だと思われるので、今日、釜石始発が出るのだろう。ネットで6月の運行予定時刻を調べて、比較的近い適当な線路付近へ行ってみた。2カ所の踏切ではいつもと違って警備にあたる人を見かけた。間違いなく試験運転があるのだろう。予定より20分ほど早く線路付近にやって来たので、その辺の個人の家に咲いている藤やツツジの花を眺めていた。一人、二人と人が線路付近へカメラを持ってやって来た。汽笛とともに黒煙が小佐野駅付近で見えて来た。そのまま走って来るのかと思っていると、どうも小佐野駅で停車しているようだ。そのうち反対方向の遠野方面からディーゼル車がやって来た。釜石線は単線なので、小佐野駅でやり過ごすのだ。ディーゼル車が小佐野駅を過ぎて間もなく、汽笛が鳴って黙々と黒煙を吐き出しながら機関車が走り出した。カーブを曲がった機関車が見えて来た。大きな照明ライトを点灯して走って来た。黒煙で後方が見づらくなっている。やがて迫力ある真っ黒な巨体が近づいて来た。試験運転なので客車には人は乗っていない。あっという間に目の前を通り過ぎ、近づく踏切を前にして、何度も汽笛を鳴らして行く。機関車の姿を見るよりも、汽笛の音が胸に響いて来る。遠く愛染山に連なる山々を背景にして、汽笛の音が響き渡る。まるで生き物の遠吠えのように聞こえて来る。その音の方がずっと迫力を感じた。一瞬、子供の頃にタイムスリップして、蒸気機関車の車窓から見えた蓮華畑の広がる田園風景や、窓を開けたままトンネルに入った瞬間に煤まみれになった情景が思い出された。父の生家のある村のさびしい駅に着いて、そこから小川沿いに竹薮が並ぶ浜土の道を歩いた。夜はその竹薮の上に明るい月が出ていて、街灯などない真っ暗な道を照らしてくれたこともあった。もうその時代に戻ることは出来ないし、その道を一緒に歩いた父が生き返っても来ない。そんなことが頭に浮かんで来ると、果たして今の時代が幸せな時代のだろうか、とふと思ってしまう。男の子はみんな大きくなったら乗り物の運転手になりたいと思っていた。自転車しか乗り物のなかった時代は機関車や車がどこか遠くへ自分を運んでくれて、その先に何か夢を叶えてくれるものがあると思えたのかも知れない。蒸気機関車はその子供の頃に抱いた夢の象徴なのかも知れない。その時代は四国から東京や大阪に行くには、大きな連絡船に乗って瀬戸内海を渡るしかなかった。北海道や東北の人たちも長い時間をかけて列車で上野駅に着いた。上野駅は故郷への入口だったのだろう。移動手段が高速化されると土地との繋がりが薄れて行く。土地からかもし出される情緒も従って薄れて行く。こうした時代だからこそ自然への回帰が人には必要なのかも知れない。
黒煙で後方がまったく見えなくなった

客車は7~8両は繋がっていた

消えて行く生物種を考えた時

2012-05-15 19:14:35 | 文化
朝から小雨がちの天気になった。周囲の山の緑がかえって鮮やかに見える。光の反射がないため、生地の緑がそのまま目に飛び込んで来る。職場の裏山からは相変わらずウグイスの鳴く声が聞こえて来る。水鳥たちがいなくなった甲子川には入れ替わってオオヨシキリが甲高い声で鳴くようになった。雨は少し水かさの増した川面にもたくさんの円模様を描いている。先日出勤時に我が家の近くの国道でタヌキがまた車に轢かれていた。沿岸に沿った道路はどちらかと言うと鹿が多く出るが、内陸方向の道路はタヌキが多い。釜石市内を走る列車の場合は熊との遭遇も多い。年に何回かだが、その度に列車が遅れたりする。川崎市多摩区にあるゴルフ場では3日前にニホンフクロウの雛が50羽ほどのカラスに襲われ、巣から地面に落とされてしまったそうだ。これを見たキャディーとゴルフ客がカラスを追い払い、フクロウの雛を助けた。釜石にもカラスがたくさんいて、夕方には職場の裏山に何十羽も集まって来ることがある。日中に内陸へ餌を探して飛んで行き、夕方に海岸近くの山に戻っているようだ。スイスのジュネーブにある世界自然保護基金によれば、1970年以降、地球上に存在していた生物種のうち3割近くが絶滅したと言う。特に、熱帯地方では6割もの生物種が絶滅している。熱帯の森林伐採で、住環境が大きく破壊されている。同基金は「われわれ人類は、地球が再生産できる資源よりも5割も多い資源を消費している」と警告している。東北は他地域に比べて開発があまりなされず、その分経済的発展は遅れているとも見ることが出来るが、国内では、一方で自然環境が豊かに残されている地域だと言える。自然と共生しながらいかに経済力を維持して行くかが今の東北にはとても重要なことだと思われる。これまでも火力発電以外の発電は都会の電力のために地方が電力を供給する構図があったが、もはや原発事故後は長期的な視点に立てば、原発は消えて行くしかないのは目に見えており、変わって再生エネルギーが大きく進展して行くだろうと思われ、その再生エネルギーもまた地方が今後とも供給源としてますます重要になって行くだろう。日本の基幹産業は急速に世界的な広がりを見せて、日本の経済力を世界的なものに高めたが、これも今後は下降線を辿って行くことになる。そこでは一定の豊かさを維持しつつ、これまでのような必要以上の浪費を排除し、自然と極力調和した生活が基本になって行くと思われる。人口が減って行くことで、これからは利用される土地や建物は徐々に減って行く。自ずから新規の土地開発も従来とは異なって来る。列島の中で膨張し続けて来た人々の生活が、徐々に収縮して行くことで、まさしく自然との共生の必要性が甦って来るのではないだろうか。自然とともに生活するためにも先ずは今回のような原発事故が二度と起こらないようにしなければならない。大都市圏の食料供給に限っても原発事故は多大な影響を及ぼしている。大都市の存続には地方の存在は必須であり、地方の衰退はいずれ大都市圏の存続をすら危うくする。その意味でも地方自体の自力再生がこれからの日本の行く末を決定づけるのではないかと思う。
我が家の熊谷草 近所の庭先でもたくさん咲いていた

山と海の放射性物質調査

2012-05-14 19:20:17 | 歴史
今日は昨日ほどではないがいい天気になった。空には薄雲が広がっているが、日射しがあり、とても気持ちのいい5月の天気だ。平地の桐の花が咲き始めたので、山の朴(ほう)の木の花も気になって来た。ほぼ同じ頃に山で咲いているのが見られる。昼の休みに車で職場の裏山の旧道を走ってみた。青葉が清々しく、吹く風も気持ちがいい。山ツツジが咲いており、新鮮な緑の中で目立つ。山藤はまだその気配も見られない。少し山へ入るとさすがに桐の木にも花はまだ咲いていなかった。毎年確認している朴の木のところにも行ってみたが、蕾の段階で、花を見るにはもう少し時間がかかるようだ。初老の人たちが何人か健康のためにこの山道を歩かれている。青葉のトンネルの緑のグラデーションがすばらしい。鳥たちのさえずりも聞こえて来る。所々の空き地に車を止めて午睡をとる人たちもいる。ここしばらくはこの山道も晴れた日にはとても気持ちのいい時間を過ごすことが出来る。職場近くに戻って来て、隣接の醤油工場の後ろの小山を見ると、そこでは桐の花が咲き始めていた。娘からの昼の昼食の誘いを断って、裏山へ行ったが、行っただけの気持ちのいい時間を過ごさせてもらった。森林総合研究所が昨年の10月と12月に福島第一原発からおよそ30Kmの福島県川内村と70Kmの茨城県北茨城市のそれぞれ集落から離れた山林で12匹の野生のアカネズミを捕獲し、体内に蓄積した放射性セシウムの濃度を調べている。その結果1Kg当たり、平均で、川内村で捕獲したネズミからは3,100ベクレル、北茨城市で捕獲したネズミからは790ベクレル検出された。捕獲場所の空気中の放射線量は、川内村が1時間当たり3.11μSv、北茨城市が0.2μSvで、空間線量が高いほどネズミの放射性物質の濃度も高くなる傾向があった。放射線医学総合研究所の話ではネズミは人と同じくらい放射線への感受性が高いので、継続的な調査が必要だと言う。環境解析学が専門の近畿大学山崎秀夫教授らの東京湾の海底土の調査では昨年8月から約7か月間で放射性セシウムが1.5~13倍に増えている。荒川の河口付近など東京湾内の3か所で海底土を採取し、深さ1メートルまでの土に含まれるセシウムの量は1m2あたり7,305~27,213ベクレルで、3か所とも昨年8月20日の調査を上回った。深さ6cmまでのセシウム濃度でも同じく8月の調査を上回っていた。山や海の汚染は時間の経過とともにまだ増え続けて行くだろう。地球上では自然消滅に数十年かかる以上、汚染場所が移動するだけで、その間は消滅しない。むしろ、食物連鎖や河川の流れ、海の潮流によって部分的には濃縮されて行く。山では植物に取り込まれて、海ではプランクトンに始まる食物連鎖に乗って、濃縮の過程が進んで行く。遺伝子への影響も徐々に見られるようになって行くだろう。
山の朴(ほう)の木はまだ蕾しか出ていない

山ツツジが咲いている

新緑のトンネルはとても気持ちがいい

醤油工場の後ろの山で薄紫の桐の花が咲き始めていた

住田町へのドライブ

2012-05-13 19:15:42 | 文化
久しぶりに青空が広がり5月の気持ちのいい天気になった。日射しの中にいると風も気持ちがいい。家にいるのがもったいないので、夕方からNPOの先輩の誘いでその先輩の友人たちの懇親会に出る予定の娘のことを考えて、近くの住田町までドライブすることになった。山の緑のグラデーションがとてもきれいだ。赤坂峠を越えてしばらく行くと、左手に菜の花畑が広がる。そばの水田ではもう田植えが終わっていて、可愛い稲の苗が時々吹いて来る強めの風になぎ倒されては、また立ち直っていた。水田にはよく見るとオタマジャクシやアメンボウがいる。娘はそうした小さな生き物やあぜ道に咲く名前も知らない小さな野草にカメラを向けていた。菜の花畑に近づくとほのかな甘い香りが漂って来る。ミツバチたちもせっせと飛び交っている。住田町は遠野とともに古い町だが、田園の趣はやや異なる。住田町も田園風景はすばらしく、遠野ほど田園が広くないせいか、人の気配が感じられる。ちょうど八重桜が満開で、あちこちで桃や八重桜、花蘇芳(はなずおう)を目にする。町内を流れる気仙川の流れも清らかで、数人の胴長を着けた釣り人がルアーを使って釣りをやっていた。いつもよりずっとスピードを落としてゆっくりと車を走らせ、窓から入って来る風を味わいながら世田米の市街地へ向かった。住田町で昼食を摂るときはいつも決まって、「南部家」のラーメンを食べる。特別美味しいわけではないが、たまには釜石ラーメンとは違った味もいいからだ。「南部家」の近辺の古い家並も好きだ。今は住む人も少なくなった様子のそれらの家々は古風な和建築で、父の生家を思い出させてくれる。帰路について同じ市街地にある万蔵寺に立寄った。気仙大工の手になるすばらしい山門があり、そのそばではちょうど満開の八重桜が咲き誇っていた。その八重桜の木の近くの寺の境内には仮設住宅が建てられている。大船渡市で震災の被害を受けた人たちが利用している。ここの仮設住宅は釜石などのものとは違って、すべて地元の木材を使った木造仮設住宅で、全戸にソーラーパネルが設置されている。こうした仮設住宅一つとっても住田町には小さい町であるにもかかわらず、独自性がうかがえる。町民の一体感が感じられる。自力で町をつくろうとする意志が感じられる。山門の伽藍は見事で、こうした技術が現代のつまらない建築物の登場でだんだん廃れて行くことを考えると残念でならない。これまでの和建築には伝統と地域による個性が見られたが、今時の家はみんな耐用年数もずっと短く、家の文化などまったく感じられなくなってしまった。かっての和建築は大家族制が基本にあったから成り立った部分が大きいのだろうが、そこで培われた技術が生かされないまま消えて行くのは残念で仕方がない。帰宅後、またいつもの山野草の店で買った野草の整理をしていると、突然、懐かしい蒸気機関車の汽笛が聞こえて来た。来月は3週続けて週末に北上ー釜石間で蒸気機関車、いわゆるD51(でごいち)が走ることになっているので、恐らく、そのための試験運転なのだろう。何度も汽笛を鳴らしながら去って行った。
住田町の水田と菜の花畑

ほのかな甘い香りが漂う菜の花畑

住田町上有住の小台橋にある立派な一本松

清らかな気仙川の流れ

気仙大工が建てた万蔵寺山門と八重桜

いつまでも住民だけに負わされる負担

2012-05-12 19:12:20 | 文化
青空が時々見えて、日が射すこともあるが、風もあってやや肌寒い日になった。日を追って緑は濃くなって来ている。庭の山野草たちも順調に伸びて来ている。山で緑が広がって来ると、毎年高原地帯にある牧場へは牛や馬たちが放牧されるが、奥州市の胆沢牧野と種山高原牧野では牧草から国の暫定基準値(1Kg当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたため、放牧が中止された。主に600頭のブランド牛が影響を受けることになる。こうした牧場の放射性物質の除去は容易ではない。十分な除去が行われない限り、毎年牧草から放射性物質が検出されて行くことになる。昨日復興庁は東日本大震災の避難生活で体調を崩すなどして亡くなり、「震災関連死」と認定された一都九県の1,632人(3月末時点)の内訳を公表している。それによると福島県が最も多く、761人に上る。次が宮城県の636人で、岩手県は3番目で193人になっている。岩手県内では釜石市と大船渡市がそれぞれ42人の同数で、最も多い。福島県は特に原発事故による避難の影響が強いのだろう。高齢者にとって厳しい環境変化になっただろう。岩手県では未だに行方不明者が1,222人いて、昨日は沿岸部でまた一斉捜索が行われている。残念ながら昨日の捜索では新たな発見は得られなかった。震災も原発事故も1年以上経ってもまだまだ影響が残る。石川県の北陸電力志賀原子力発電所から北方9Kmのところでまた新たに富来川南岸断層と呼ばれる断層が活断層である可能性が出て来た。渡辺満久東洋大学教授らの調査で明らかになった。同断層は陸域が約4Kmだが、海域まで含めると総延長10Kmを超える可能性もあるという。太古から4つのプレートが交差して来た日本列島には調査、研究が進むたびに次々に活断層が発見されている。どこにでも活断層が潜んでいる可能性がある。そんな日本列島で54基もの原発を建設し、昨年の震災による原発事故を見た後も未だに国や電力会社は原発稼働を当然の如く考えている。9日、政府は東京電力が再建策をまとめた総合特別事業計画を認めた。この計画では東京電力は2013年度の黒字化を目指しており、そのため、家庭向け電気料金の10%引き上げや、原発の再稼働を収益改善の柱に据えている。昨日東京電力はこの計画通りに家庭向け電気料金の7月1日からの平均10.28%値上げを経済産業省に申請した。しかし、安易に電気料金値上げを申請するばかりで、経費削減などの取り組みはおざなりでしかない。火力発電用天然ガスなどは米国の8倍もの単価で、十分な価格交渉もしないで輸入している。人件費は、社員の年収を二割カットしたとしているが、関東地方知事会は「大卒社員だけでみれば835万円で高水準」とさらなる削減が可能だとしている。そして何より問題があるのは、東京電力が提出した事業計画には事故原発の廃炉や除染の費用、賠償費用などが盛り込まれていないことだ。事業を原発再稼働を前提で進める計画でありながら、昨年の原発事故の事後処理に関わる費用を全く考慮に入れていない、驚くべき「計画」であり、呆れたことに、国もそれを認めたことだ。電力会社も国も震災や原発事故以来一貫して何も学んでいないようだ。
庭に今年も咲いた一輪草

富士山直下の新たな断層

2012-05-11 19:14:08 | 文化
昨夜は娘のNPOでまた懇親会があり、娘は0時を過ぎて帰って来たようだ。いつもより早く眠気が来たために早目に寝てしまったので、娘の帰宅は分からなかった。今朝は小雨の降るあまりいい天気ではなかったが、周囲の山々がすっかり新緑となって清々しさを感じた。小雨に濡れて一層新緑が目立つからなのだろう。昼前には雨も上がったが、空は相変わらず雲に覆われていた。職場に隣接する醤油工場では工場の新築が行われているが、地震や津波に耐えられるようなしっかりとした土台が造られている。昨年と同じような規模の津波が来れば、間違いなくそこは津波に襲われるだろう。それを考慮して建てているように見える。3月に房総沖で新たにM8~9の地震を起こす可能性のある活断層が見つかったが、文部科学省に委託された東京大学地震研究所は今回富士山の麓にM7以上の地震と富士山の大規模な山体崩壊をもたらす可能性のある断層を発見している。2900年前に起きた山体崩壊と泥流の原因だった可能性があるという。20日から千葉市で開かれる日本地球惑星科学連合大会で同研究所の佐藤比呂志教授が発表する予定だ。富士山の東山麓で人工地震波などを使って地下構造を調べ、御殿場市付近で地下に隠れている断層を発見した。数十万年前以降の火山噴出物の地層を動かした形跡があり、200万年以降の断層を活断層とする定義からすると活断層の可能性が高いという。御殿場市の北西部を北東-南西方向に伸びる長さ約30Kmの互いに押し合う逆断層で、北西方向に傾斜しながら地中深く入り込んでいるため、下端は富士山直下の深さ十数Kmと推定されている。この断層で地震が発生した場合、M7以上の地震を引き起こす可能性があり、これにより富士山の東斜面が崩壊し、大量の土砂が雪崩のように下る「岩屑(がんせつ)雪崩」や泥流が発生する恐れがあり「甚大な被害を周辺地域に引き起こす危険性がある」としている。山体崩壊が起きれば、その土砂は時速100Km前後のスピードで御殿場市内に流れ込む可能性があるという。2900年前には大規模な山体崩壊と岩屑雪崩が発生し、泥流が御殿場付近を広範囲に埋め尽くす「御殿場泥流」が起きている。佐藤教授は「山体崩壊は噴火を伴う場合は事前に分かるが、突然の地震で起きると避難する余裕がなく、防災上は厳しいシナリオになる」と語っている。今回発見された断層の東端は伊豆半島の東の相模湾を走る相模トラフに繋がる神縄・国府津-松田断層帯と近接しており、西端は伊豆半島の西側の駿河湾を走る相模トラフに繋がる富士川河口断層帯と近接している。従ってこれらのトラフによる地震が発生した場合も連動して大規模地震を起こす可能性もあるのではないかと思う。特に、両トラフに繋がる二つの断層帯との連動については同教授は触れていないが、地図上の隣接位置を見ると十分可能性を考慮する必要があるように思う。また、同時に発生するかも知れない噴火についても触れていないが、これも十分起こりうるだろうと思う。いずれにしても規模が大き過ぎてどう対応すべきか、即座には対策が立てられない可能性があるが、最悪の事態として対応策を検討する必要があるだろう。
富士山直下の新たな断層と周辺の断層帯とトラフ