釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

科学をフル活用しない日・欧・米のコロナ対策

2020-11-28 19:18:09 | 科学
新型コロナウイルス感染者数が世界最多の米国では、感染の勢いが治らず、27日の新規感染者は20万3013人と過去最多を更新し、ロサンゼルスは30日から新たな外出禁止措置を講じる。ニューヨーク州でも4月以来の8000人越えの8176人の新規感染者となった。ニューヨーク州のコロナ検査陽性率は3.72%である。東京都や大阪府の陽性率は15%以上であり、20%を超える日さえある。いかに日本の検査数が少な過ぎるか。米国では昨日、新型コロナウイルス感染による入院者数が初めて9万人を超え、入院患者数は過去1カ月で倍増し、病院の対応能力は逼迫しているとロイターが報じている。しかし、感謝祭の移動で、状況はさらに悪化する懸念がある。欧州では優等生であるドイツさえもがAFPによれば、昨日、感染した人が新たに2万2000人以上確認され、累計感染者がついに100万人を超えた。ドイツ全土で集中治療室に入っている重症患者は、10月初めは360人余りだったが、先週には3500人以上になった。日本では、共同通信によると昨日の死者は31人となり、5月2日と並び最多となった。東京都の新規感染者も570人で過去最多を更新した。26日には、重症者も「第2波」のピークである8月23日の259人を超えて、435人となった。昨日の衆議院厚生労働委員会で、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は「人々の個人の努力に頼るステージは過ぎた」と強い危機感を示し、政府が拡大防止策を取るように訴えたと各メディアが伝えているが、検査を抑え、実態把握が出来ないまま、現在まで感染拡大を許して来たのは、まさに専門家である尾身会長自身である。科学的なデータに基づいて政府を説得出来ないのだ。PCR検査が極端に少なく、国内で感染しているウイルスの遺伝子解析もないため、国内でのウイルス変異の状況が分からない。古いPCR検査機器のままで、人力負担を重ねるだけである。3度目の補正予算が検討されているのに、なぜ、全自動のPCR検査機器の採用を訴えないのか。危機感を訴えたいのは国民であり、専門家の国の代表は、これまで何をしていたのか。日刊ゲンダイDIGITALによれば、25日の衆議院予算委員会で、厚生労働大臣は、英国の著名医学誌「ランセット」の掲載論文を引用して、無症状者にまで検査を拡大しない理由について、「(新型コロナウイルス感染の)蓋然性が高いところで定期的に検査をやると、当該集団から感染を29~33%減らすことができるが、一般の集団に広く検査をした場合には、接触者調査とこれに基づく隔離以上に感染を減らす可能性は低い」と述べたことを伝えた上で、医療ガバナンス研究所上昌広理事長の指摘を載せている。同氏によれば、大臣の引用論文は今年6月の古い論文であり、同じ論文の著者らが10月に発表した論文では、結論が180度変わっていた。「コロナ対策において、日本は東アジアの劣等生です。医学誌の最高権威である米『NEJM』に掲載された米海軍医学研究センターの臨床研究によると、有症状者を中心に検査するだけでは、ほとんどの感染者を見落とす恐れがあるといいます。この研究結果を、日本政府の専門家は分かっているのでしょうか」と同氏は述べている。厚生労働大臣には同省の医務技官が医学的な助言をしたのだろうが、この医務技官たちは国立感染症研究所と共に、データの独占のためにPCR検査を制限していおり、その観点から、有利な論文だけを引用したのだ。しかし、その論文の著者らが、その後、180度違った結論を出した論文までは見ていないのかも知れない。もし見ていたとしたら、まさに悪質な対応である。しかし、とても官僚的ではある。なお、10月に発表された論文の表題は「Estimating the effectiveness of routine asymptomtatic PCR testing at different frequencies for the detection of SARS-CoV-2 infections(SARS-CoV-2感染を検出するためのさまざまな頻度でのルーチンの無症候性PCR検査の有効性の推定)」である。

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