もともと南米のブラジルやアルゼンチン、ウルグァイ、パラグアイ、ボリビアなどにいた毒アリであるヒアリ火蟻が今年5月から神戸港、名古屋港、大阪港、東京大井埠頭など次々に発見されている。スズメバチなどと同じような成分の毒があり、刺された人によっては死に至ることもある。南米にしかいなかったアリが、世界貿易の発展で、北米や中国、オーストラリアなどにも現在では分布が広がり、日本で今年発見されたヒアリの多くは中国からの貨物船によって運ばれて来ている。体長は2.5~6mmで、女王アリ・雄アリ・働きアリに分かれ、働きアリも大きさや形に違いがある。公園や農耕地など、開けた草地に直径25~60cmのドーム状の巣、アリ塚を作る。幸い、現在のところはまだ日本ではアリ塚は見つかっていないが、時間の問題かも知れない。集団で行動し、攻撃性が強く、刺されれると、火傷のような強い痛みがあると言う。ハチと同じく、人によってはアレルギー反応が強く出て、ショック状態から死に至ることもある。女王アリが入ってくると、繁殖は容易になるため、一気に日本でも分布が広がる恐れがある。実際に、6月には大阪港で、香港から来た貨物から女王アリの死骸が発見されている。5月には神戸港で陸揚げされた中国広州市からのコンテナの中から、大量のヒアリの成虫と卵も発見された。港での陸揚げから、実際にコンテナが開かれるまでに6日間を要しており、この間に成虫が他に散っている可能性もある。初めて発見されたのが今年だが、すでに気づかれずに何年か前から日本に上陸して、繁殖している可能性も否定出来ない。ただ、アリ塚は日本の在来のアリでは見られない大きさなので、アリ塚を形成して繁殖すれば、目立ちやすい。いずれにせよ、人や物の海外との交流が盛んになればなるほど、海外から生物が入り込む機会は多くなる。1995年に大阪で発見された猛毒のセアカゴケグモや2000年に山口県の米軍岩国基地で発見されたクロゴケグモなどもあるが、後者などは未だに完全駆除はなされていない。一旦、国内に生息するようになると、小さい生物だけに繁殖を防ぐことは難しくなる。
オオデマリ(大手毬)