釜石の日々

ポピュリスト政治の末路

今日は朝から曇天で、昼の気温は23度であったが、夕方には27度まで上がった。昼休みに屋外へ出ても風があるためさほど暑さを感じないで済んだ。生まれ育った四国とは風土が異なっても、川には豊かな魚の生息があり、木の実に恵まれた落葉樹が山にはたくさんある釜石は自然派にはとても住みやすいところだ。陸との孤島と言われることが、むしろ豊かな自然を残してくれている。製鉄所があったために、太平洋戦争中には、徹底的な艦砲射撃を受け、壊滅状態となったそうだが、今はその片鱗すら残っていない。平和は人だけでなく、自然の豊かさも残してくれる。 今月24日、学術誌Nature Medicine 、Brief Communications に掲載された、ポルトガルの研究者らによる論文、「Phylogenomic characterization and signs of microevolution in the 2022 multi-country outbreak of monkeypox virus(2022年に複数国で発生したサルポックスウイルスの系統解析と微小進化の兆し)」は、編集者らを刺激しないような表題としているが、内容は、通常ならば、10個までしか期待されないサル痘ウイルスの突然変異が、今年のサンプルでは平均50個もあったことを示している。現在のサル痘ウイルスもまた異常なウイルスのようだ。WHOが勇み足で、「緊急事態の宣言」を協議したのも頷ける。「感染」はどうやら早くは治まりそうにはない。米国メディアInsider Paperは、27日、「Alarm in Beijing after announcement of a zero-Covid policy that could last 5 years(ゼロ・コビット政策が5年続くかも知れないと発表された後、北京でアラームが鳴り響く)」を載せている。中国共産党の北京書記である蔡奇氏によって、「今後5年間、北京は疫病の予防と制御の正常化を絶え間なく把握する。」と発表されると、驚愕と警戒を呼び起こしたため、この「5年間」と言う部分がすぐに削除されたと言う。中国も、感染が長期化すると見ているのだろう。感染の散発的な発生に対する中国の徹底したゼロコロナ対策は、中国の生産活動や輸送を妨げていることは間違いない。習近平主席もその間のバランスを取るよう指示はしているが、長期化することも承知のようだ。つまり、中国からの製品輸出は制限される状態が続いて行くと言うことだ。ロシアからは資源の輸出が制限され、中国からは製品の輸出が制限されるとなれば、世界のインフレは治ることはないだろう。スペインで行われたG7や行われるNATO首脳会議は、一層のウクライナ支援を呼びかける。経済制裁を緩和する気はないようだ。米国主導の経済制裁に、日本、欧米が積極的だ。しかし、それでそれらの国に何が得られるのだろうか。本当にウクライナの平和を望むならば、即時の和平交渉こそが今必要なはずではないのだろうか。米英はむしろ、ウクライナの現政府の対ロシア戦支援しか考えていない。しかし、それは結局はウクライナの崩壊を招くことにしかならない。NATO事務総長は、「NATOの即応部隊を4万人から30万人に増員する」と述べたが、これもまた、単に、ロシアへの武力的威嚇に過ぎず、何の解決にもならないばかりか、かえって、武力衝突を拡大する可能性すらあるだろう。そして、何よりも、経済制裁により欧州の疲弊が進んでいる。エネルギーの不足は、生活だけでなく、企業活動まで抑制され、ドイツのルートヴィヒスハーフェンにあるBASFの化学工場群は閉鎖に追い込まれている。年末までに欧州は全てのロシアからのエネルギーを断つと言うが、それが仮に実現すれば、生活や企業活動はさらに悲惨になるだけだ。エネルギーの一部は代替出来るだろうが、全量となると極めて厳しい上に、食料や資源、肥料は代替はそう簡単ではない。米国のインフレも自業自得だが、それ以上に、日欧は、米国に従属することで、自らを疲弊させようとしている。欧州はまだ多少の農産物の産出があり、食料の自給率は日本よりいいが、その他は、日本も欧州も輸入に頼らざるを得ないのだ。経済制裁は、見事に世界の未来を映し出している。資源と製品を有する国が優位となり、これまでそれらの輸入に依存して来た国々が、インフレに見舞われ、生産活動が滞っている。この状態が長引けば長引くほど、日米欧は衰退が強まって行く。欧米ではすでに政府に反旗を翻す抗議がいくつも出ている。人々には米国の言う正義よりも、生活が第一であり、企業も生産的な活動が第一である。その表れが、イタリアやフランスの選挙での政権の後退だ。そのためか、欧州でもイタリア、フランス、ドイツが和平をどこかで望み、英国、ポーランド、バルト三国はウクライナに強い支持を出す。世界は今、あまりにもポピュリストが氾濫し、ポピュリスト政治が横行する。そのためか、むしろ、プーチンや習近平が1段上の政治家に見えて来る。プーチンや習近平は、自分の国のことを考えているように見えるが、日欧米のポピュリスト政治家たちは、自己の利益や、一部の層の利益しか考えていない。自国民の生活や企業活動を考えれば、経済制裁が、いずれをも衰弱させることはあまりにも明らかだ。事前準備もなく、米国に言われるままに唐突に経済制裁に踏み切った。一方で、ロシアは中国や他のBRICS諸国との結束を強めており、イランやアルゼンチンも正式にBRICSプラスへの正式加盟申請に踏み切っている。金融の米国側と、資源・製品の非米側の結束と言う側面が強まっている。こうした中で、米国の巨大な金融バブルが崩壊すれば、金・資源などを有する国の通貨がドルよりも安定するだろう。米国は、自ら主導したロシアへの経済制裁で、インフレを加速させ、金利が上昇して来た。その上昇がある時点で、金融資産のバブルを崩壊させる。その崩壊は、リーマン・ショックを遥かに上回るものになる。S&P500一つとっても、今回のピークはリーマン・ショック直前の3倍の高さに及んだ。崩壊もそれだけ凄まじくなる。米国は自ら金融崩壊への道を開いたのだ。しかも、リーマン・ショック時とは異なり、インフレの真っ最中だ。ロシアや中国に経済制裁した以上、容易には資源や食料、製品の供給は受けられないため、インフレは簡単には解消しない。インフレ中の金融崩壊では、リーマン・ショック後のような中央銀行による、金利引き下げ、債券購入によるドルの市中への垂れ流しは出来ない。インフレがさらに悪化するためだ。中央銀行には打つ手がない。米国は極めて悲惨な状態となる。その米国に引きずられた日本や欧州も同様だ。まさに米国は墓穴を掘ったとしか言いようがない。そしてそうなれば、日欧の地盤沈下は確定的だ。ポピュリスト政治の末路に相応しいのかも知れない。国民や企業はそれを甘受するしかない。
職場近くで咲いて来た紫陽花
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