釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

アベノミックスは既存産業の延命処置

2013-11-05 19:21:03 | 社会
今日も風のないいい秋晴れの日であった。仙人峠や笛吹峠のような比較的奥山の紅葉を見ると今年はあまりいい紅葉ではないようだ。木々の紅葉が揃っておらず、葉も傷みが多いように見えた。夏場の高温が長く、天候も不順であったため、きれいな紅葉が見られなかったのだろう。釜石市内の紅葉はこれからだが、どうゆう紅葉を見せてくれるだろうか。自然は同じ場所であってもほんとうに毎年違った様相を見せる。 先月21日、財務省は貿易統計速報を発表した。9月の貿易収支は9321億円の貿易赤字で15ヶ月連続の赤字となり過去最長となった。震災のあった2011年から年度毎の貿易収支も赤字に転じている。原発停止、火力発電の増加が鉱物性燃料の輸入増に繋がっていることは確かだが、円安も大きく影響している。輸出産業を保護するために円安が導かれたが、いくら円安になっても、輸出数量が増えなければ貿易収支は黒字に転じることはない。対米貿易では黒字だが、対EU、対中国では赤字になっている。2008年のリーマン・ショック後自動車産業と家電産業はそれぞれ「エコカー補助制度」や「エコポイント制度」により政府の保護を受けないと売れない状況になった。国外への販売のために今円安が誘導されているがそれでも輸出は芳しくない。こうして政府の保護を受けるようになった産業はいわば延命装置を付けているようなものだ。農業や水産業に延命装置を付けるのは国土の自然を守る意味合いがあるが、その他の産業の場合は将来の日本の産業構造を十分検討した上で保護を考えるべきだろう。非効率的になった産業は代替されて行かなければならない。政府が経済政策を行なう場合、財政政策と金融政策の二つの手段を持つ。今回のアベノミックスがこの両者を同時に用いようとしたことは重要なことだ。しかし、問題はその中身だ。どちらの政策も結局は大半が旧来の産業の既得権益の維持に回っているだけである。公共事業を増やしてもその経済効果はとても非効率で、無駄な税金の使われ方に終わってしまう。しかし、政治家は即効性を求めるために、研究や教育への投資のような、今の日本にとって最も大切な分野への資金投入を行なおうとしない。特に、IT技術や英会話の修得は韓国にさえ遅れをとり、グローバル化した現在では致命的である。さらに、政治家は政治献金としての見返りがなければなおさら動こうとしない。自動車産業や電力産業、防衛産業は莫大な資金を政治に注ぎ込むことで、それに見合う見返りが期待出来る。官僚も天下り先としての既存の各産業を重視する。政官財の昔から言われている鉄のトライアングルは今も健在だ。米国の二人のノーベル経済学賞受賞者ジョセフ・E・スティグリッツコロンビア大学教授、ポール・クルーグマンプリンストン大学教授はともにアベノミックスの思い切った財政出動と金融政策を評価しているが、いずれも中身を十分には検討していないようだ。スティグリッツ教授は格差と貧困の是正を主張しており、消費税増税には批判的だ。クルーグマン教授も旧来の公共事業への投資には批判的な意見を持っている。内閣官房参与でアベノミックスの進言者の一人でもある浜田宏一エール大学名誉教授も、消費税増税は反対意見を表明している。国の税収は経済の好転によって増えて来る。よほどこの方が正当な税制だと言える。日本の消費税は生活必需品などへの配慮がなく、低所得者への重圧となる。実質的な格差はさらに拡大して行く。間違いなく、経済への抑制として機能する。つまりは、税収は思ったほどには増えないのだ。
来年3月末にしか咲かない椿がもう蕾を出して来た

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