釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

世界経済の背後

2013-09-05 19:15:50 | 社会
ここのところ雨が続いている。もっとも昨日の名古屋のような極端な豪雨ではないが。局地的な豪雨や竜巻など自然界の変化が目に付く。雨が続くこともあってか、もうすっかり夏は去ってしまった。セミの声だけがまだ夏を主張している。しかし、日中から草むらでは虫たちの方が秋を訴えて鳴いている。昨日、仕事で盛岡へ行く途中で、職場の方の案内で昼食のために入った店はとても良かった。外から見ればごく普通の古い農家の建物で、敷地もそのままの農家の敷地だった。住人がいてもおかしくない佇まいであった。太い木の柱や欄干の古民家で、座敷から池のある日本庭園が見渡せる。下げられたすだれを通して気持ちのいい風が入って来た。岩手の郷土料理であるひっつみの名を取った店名になっていた。ひっつみではなく、蕎麦を食べたが、これも美味しく食べられた。移築した古民家ではなく、建っていたその場所をそのまま店にしている。こうした店だとまるで故郷の家に戻って食事をしているようなくつろぎを与えてくれる。 日本の経済の牽引役を果たして来た自動車産業、家電産業の凋落は顕著になって来た。特に、後者は目に余る惨状だ。中国は巨大な市場ではあるが、自動車の参入には規制があり、早くから合併会社を作ったドイツのフォルクスワーゲンや米国のGMは頭初利益を享受したが遅れて参入した企業は低価格車の販売が中心になり、思うような利益を得られない。規制のない家電分野ではまさに価格競争が激しく、同じく期待した利益は得にくい。円安やエコ減税などの政府の保護を受けても厳しい状況が続いている。政府保護を受けるようになった産業は衰退の道を歩む。世界に誇った日本の家電産業も創業の理念を失い、リストラと資産売却で赤字の縮小を図る有様だ。リストラの過程で優秀な技術者や柔軟な発想を持った人たちをも失い、目先の財務改善だけに追われている。リストラされた優秀な人材が韓国や中国の企業に高額で雇い入れられてしまっている。研究・開発を怠るだけでなく、市場調査もなおざりで、高機能だが消費者が使わないような機能を付けて、「高機能」にあぐらをかいてしまっている。中国では使わない高機能より、単純で安価なものが消費者に要求されている。使われない「高機能」にあぐらをかいた日本の家電産業は軒並みしっぺ返しを受け、赤字の数字のオンパレードとなった。戦後の日本の製造業の強みは人を大事にして、製品の改良に取り組むことであった。真の意味の開発は日本の産業では行なわれて来ることはほとんどなかった。現代でも真の意味の開発は米国でしかなし得ない。米国の国に助けられた軍需産業の開発力にはとても太刀打ちできない。軍需産業で開発された技術を得た上で、それを改良することしか日本の産業はなし得ない。米国のように世界から優秀な人材が集まって来るような環境にもなっていないのが日本だ。翳りを見せて来ている米国が真の平和に傾けば、軍需産業は衰退せざるを得ず、たちまち真の開発力を失ってしまう。米国にとって軍需産業の存続は国家の重要な柱になっている。軍需産業が存続するためには、常に世界のどこかで戦争が行なわれていなければならない。建前で「平和」や「民主主義」を唱えても、いつまで経っても他国への軍事介入をやめない。介入を命じられた兵士の命よりも国の柱である軍需産業の存続の方が国家として優先される。戦争をやめられないのが米国であることは『敗北を抱きしめて』でピュリツァー賞を得た米国の歴史学者、マサチューセッツ工科大学(MIT)のジョン・ダワー教授や映画監督で『『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史』の著者でもあるオリバー・ストーン氏などが明らかにしている。
松葉牡丹

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