釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

東北の伝承

2018-01-20 19:18:34 | 歴史
今朝は放射冷却で−4度であったが、日中は晴れて、気温も7度まで上がり、寒さが遠のいた穏やかな日だった。裏の空き家の日当たりのいい庭にタンポポが咲いていた。ニュースを見ると、米国の債務上限問題で、つなぎ予算をめぐって議会が時間切れとなり、4年ぶりに政府機関の一部が閉鎖されることになったようだ。日本もだが、米国も財政赤字が年々積み上がっている。 和田家資料2「丑寅日本記第一」に「東国日本之誕生誌」があり、「人祖の族を号けて紋吾露夷奴族と曰ふなり。凡そ三十万年乃至十五万年前の古事なり。今に曰ふ山靼のブリヤートモンゴール族なり。都度に渡来せる捨郷の民は、流鬼島に渡り、日高渡島を経て東日流に渡り、海幸山幸の天恵に定着せし、通称アソベ族、ツボケ族、ウソリ族をして子孫を殖し、西域に移りゆきたり。是ぞ、わが丑寅日本国を誕生せしめたる元民なり。」と記され、また「丑寅日本記第二」の「日本古史正伝」でも、「人間、狩猟に飢えてその後跡を追えり。山靼より東北へ幾山河を越え渡り、此の国に落着しける民こそ吾らが祖先なり。号けて是を紋吾露夷土族と曰ふ。即ち、ブリヤート族と曰ふ。」と記され、日本列島へやって来た人たちがブリヤート族であることを繰り返し記している。ロシアのバイカル湖東岸に今でもブリヤートの人たちが住んでいる。大阪医科大学学長を務めた松本秀雄は免疫グロブリンを決定するGm遺伝子から日本人の起源をバイカル湖畔とした。ミトコンドリアDNAを分析した国立科学博物館篠田謙一らの研究結果でもブリヤートとの共通因子があるとした。また國學院大学の考古学の加藤晋平教授は、東日本で発掘されるクサビ型細石核をもつ細石刃文化はバイカル湖周辺から拡散して来たものだとする。和田家文書にはこうした日本人の起源について、後世の科学的な知見が得られるずっと以前に、明確な記述が載せられている。古事記や日本書記から、神武の時代は2600年前とされている。紀元前600年頃だ。和田家文書では荒覇吐王国(あらはばきおうこく)を建国した安日彦・長髄彦兄弟は大和で神武に侵略されて、東北へ逃れたとされる。亡くなった古田武彦氏は兄弟が追われたのは北部九州へ侵略して来た天照の孫であるニニギだとされていた。しかし、ニニギの時代は紀元前900年頃であり、安日彦・長髄彦兄弟は建国にあたり、中国の晋の戦乱を逃れて来た郡公子の娘たち、秀蘭・芳蘭と結婚しており、その晋の時代は紀元前7世紀である。また、荒覇吐王国の建国は紀元前649年である。東北では語り部たちが記憶と記号により歴史を伝えて来た。晋の郡公子たちが文字をも伝えた可能性もある。しかし、津軽藩初代藩主である津軽為信は荒覇吐王国の系譜である奥州安倍氏や安東氏にまつわる文書をことごとく処分した。以後は、語り部たちの間で密かに東北の歴史が伝承された。
空き家のタンポポ

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