釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

問題はあっても検査をするしかない

2020-08-06 19:11:23 | 社会
感染者総数が21万人を超えているドイツや19万人を超えているフランスでも緩やかだが第2波が訪れている。昨年12月に中国の武漢市で始まったとされている、この新型コロナウイルス感染については、まだまだわからないことが多い。6月26日、スペインのバルセロナ大学は、2019年3月12日にバルセロナで収集された廃水から新型コロナウイルスを検出したと発表している。現在も大学のHPにそのことが掲載されている。世の中には、このウイルスの存在すら否定する人もいるが、このウイルス自体はすでに中国、日本、米国、台湾で分離・同定されており、全ての遺伝子配列も解析済みである。また、このウイルスにより全身で微小血栓が生じ、重篤になる人もいることが明かになっている。米国のCDC疾病予防管理センターは、治癒後も持続する可能性のある症状として17の症状を上げているが、最近、米国インディアナ大学医学部ナタリーランバート准教授らの1500人を対象とした研究で、激しい神経痛、集中困難、睡眠困難、ぼやけた視力、そして脱毛さえ含まれ98の症状が見いだされている。ウイルスが存在し、重篤な状態をもたらす感染症でもあるが、この感染症を見つけ出す検査手段に問題があることも事実である。感染者のPCR検査では、ウイルス本体が分離・同定されているわけではなく、言わばウイルスの遺伝子の断片を検出しているに過ぎない。そこに問題はあるが、とりあえずは簡易的に可能な唯一の検査であり、よく言えば、さらに抗原検査や抗体検査が組まれればいいのだが。問題はあるが、それでもこのPCR検査によって、感染者を炙り出すしかない。2007年1月22日のThe New York Timesは「Faith in Quick Test Leads to Epidemic That Wasn’t(クイックテストへの信仰は、存在しなかった感染流行につながる)」と題する記事で、米国ニューハンプシャー州で起きた架空の百日咳感染流行を報じている。要するに頑固な咳症状の人々にPCR検査をして、陽性者に抗生剤などが使われたが、後に検証したところ、百日咳菌が分離されなかった。百日咳菌本体が見つからなかった。同様のことはボストンでもあった。記事の中で、ジョンズ・ホプキンス大学の疫学者であり、米国ヘルスケア疫学者協会の元会長であるトリッシュ・M・パールTrish M. Perl博士は、pseudo-epidemics疑似流行は常に起こりますと述べている。1993年に、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法の開発でノーベル賞を受賞した米国の生化学者キャリー・バンクス・マリスKary Banks Mullis自身が、このPCR法はあくまでも少量のDNAを増幅させるためのもので、ウイルスの検出に用いるべきではないと述べていた。現在の新型コロナウイルスはDNAウイルスではなくRNAウイルスである。同じくRNAウイルスであるインフルエンザの場合、通常の医療機関ではイムノクロマト法と呼ばれる迅速抗原検査キットが使われているが、保健所や衛生研究所などは鶏卵を使ったウイルス分離法やPCR法が使われている。一般医療機関で使われる迅速抗原検査キットは、その感度および特異度は、必ずしも十分とは言えないのが現状であるが、それでもそれをよりどころに治療するしかないのだ。新型コロナウイルスのPCR検査も、その欠点を知った上で、それを使わざるを得ないのが現状だろう。昨日の朝日新聞は「長崎県医師会と長崎大、同大学病院は3日夜、共同で記者会見し、新型コロナウイルスに関し、無症状でも医師が必要と認めれば、地域のかかりつけ医でPCR検査が受けられる態勢を整える」と伝えた。「各医療機関が唾液(だえき)の検体を採取し、同大学病院に郵送。結果は1~2日で出る。公的医療保険の適用対象で、自己負担は約1千円になる見込み。」だと言う。東京の世田谷区に続き、今の日本では画期的な試みと言えるだろう。米国CDCによれば無症状の新型コロナウイルス感染者は4割になるとされる。その一因はPCR検査そのものによるだろう。偽陽性である。感染していないのに陽性反応が出る人が多い可能性がある。ただし、実際にも感染していて無症状の人もいる。こうした問題はあっても、やはりPCR検査で、あくまで感染者を炙り出すしかない。日本だけでなく、世界の主要国で、感染が治らず、今後も感染は持続して行く。その分、実体経済は悪化し、日本では秋に中小企業が、来年には大企業が多く倒産すると予想されている。米国の実体経済の悪化も現在報じられている以上である。今日の毎日新聞は、「NY金、最高値更新 コロナ感染拡大を懸念 原油も5カ月ぶり高値」と題する記事を報じたが、「新型コロナウイルス感染拡大への懸念を背景に、比較的安全な資産とされる金に資金を避難させる動きが続いた。」と書いている。これまでメディアは「金」を「安全資産」などと書いたことがない。いつもこれまでは安全資産として「円」や「ドル」・「国債」を上げて来た。この記事でも「金」が今何故上がっているのか理由が書かれていない。昨日、容易に金が1オンス2000ドルを超え、今では2100ドルを目指す動きになった。中央銀行が国債を買い、国債の金利をゼロ以下にし、通貨を大量に発行したため、通貨価値が希薄化したのだ。今年の末に2000ドルと予想されたが、予想よりずっと早い動きになった。政府がまだまだ多くの通貨を発行せざるを得ないことが明かになって来たからだろう。
朝鮮朝顔

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