釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「積極的平和主義」

2015-08-20 19:18:49 | 社会
朝から青空が見えていて、次第に青空が広がり、昼には最高気温26度になった。しかし、もう秋風が吹き、さほど暑くは感じなかった。日陰はさらに涼しさを感じた。職場の裏山ではミンミンゼミとアブラゼミがよく鳴いていた。昨夜などはもうすっかり秋の夜になっていた。 2013年9月27日、安倍首相はニューヨークの国連総会で一般討論演説を行い、「Proactive Contributor to Peace(率先的な平和貢献者)」と言う言葉で首相の主張する「積極的平和主義」を表明した。同年12月4日には、改正された国家安全保障会議設置法に基づき、米国を真似て、国家安全保障会議National Security Counsil(NSC)が設置され、「国家安全保障戦略」の基本理念として「積極的平和主義」が打ち出された。もともとこの「積極的平和主義」は1991年5月に小沢一郎元自民党幹事長が会長を務めた「国際社会における日本の役割に関する特別調査会」が設置され、1992年2月20日に発表された「日本の安全保障に関する答申案」の中で、「積極的・能動的平和主義」が登場し、以後引き継がれた憲法調査会でも「積極的平和主義」が謳われて行く。「積極的平和主義」は謳われた当初から、それまでの専守防衛から脱して、自衛隊が海外で積極的に他国と協力して「平和」を維持して行く、と言う意味を含むものとして使われた。小沢一朗は憲法前文の「「国際社会で名誉ある地位を占める」を上げて、国連軍への自衛隊の参加は憲法前文の精神に反しないとした。こうした、憲法解釈はまさに「木を見て森を見ず」を地で行く解釈であり、憲法のある部分だけを取り上げた、勝手な解釈でしかない。この手法が以来自民党内で根付いた。「積極的平和」の概念はノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥングJohan Galtungによって、ただ戦争のない状態と捉える「消極的平和」に対するものとして、貧困、抑圧、差別などの構造的暴力がない平和として確立された概念だ。国際的にもこの概念は広く認められており、安倍首相が唱える「積極的平和主義」とは似て非なるものであり、むしろこれまでに構築されて来た平和研究の蓄積を無視するものであり、単なる欺瞞でしかない。そして首相が国連で述べた「「Proactive Contributor to Peace」の「Proactive」は軍事用語では「先制攻撃」を意味すると言う。従って、スピーチを聞いた他国の人たちにはそのような形で受け取っている可能性があるだろうし、また、首相自身もそのような理解でこの言葉を使っているだろう。まさに武力によって「平和」を維持することが、首相の「積極的平和主義」である。こうした「積極的平和主義」が憲法の精神から大きく逸脱していることは言うまでもない。
山裾の萩

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