釜石の日々

民主主義と人権

ウクライナへはNATO軍の将兵が直接入り込んでいることが明らかになり、漏洩したドイツ軍将官の会話から、クリミア大橋の爆破にドイツ軍が関与していたことも明らかになった。ウクライナへの米英提供のミサイルや戦車も英米の兵士が直接操作していた。フランス大統領マクロンがフランス軍をウクライナに派遣すると発言したのも、すでにNATO軍将兵がウクライナにいる事実を認識しての発言だろう。EU首脳のロシア敵視は異常なくらいだ。ロシアのプーチン大統領は、国の安全保障上、NATOの東進は認められない。第二次大戦後、NATOはソ連への対抗として設立された。しかし、ソ連崩壊後もNATOを解散しないどころか、ロシアに向けて拡大し続けて来た。ウクライナでのロシアの優位を崩すためにNATOの直接介入を模索しているようだが、現在のEUや米国の生産力を見れば、そのための十分な軍備は不可能だ。軍需品の生産力はロシアが圧倒している。ロシアは最終的にウクライナの中立化を達成するまで特別作戦を中止しないだろう。そして、米国、EUは最後にはそれを受け入れざるを得ないだろう。11月の米国大統領選挙でトランプが勝てば、トランプはウクライナへは資金を一切支援しないと言っている。NATOから離脱するとも言っている。ウクライナはいずれにしろロシアに実質的に降伏せざるを得ないだろう。ウクライナよりも大きな問題は、イスラエルによるガザでの虐殺だ。イスラエルは、ナチスがユダヤ人虐殺を行ったのと同じようにガザのパレスチナ住民を虐殺している。食糧支援の貨物トラックの輸送を妨害し、ガザ住民を餓死に追い込んでもいる。米国や英国はそんなイスラエルを軍事支援している。英米はハマスをテロ組織とするが、ハマスは選挙で選出された政府組織を有し、世界の3分の2が認める。米英、EU諸国は自分たちを民主主義国と称し、人権を掲げているが、今、その民主主義や人権を破壊しているのが米英。EUだ。先月25日、AERAdot.は、2月13日発売の最新刊『人類の終着点――戦争、AI、ヒューマニティの未来』(朝日新書)からの抜粋・再編を載せた。フランスの歴史・人口研究者エマニュエル・トッドへのインタビュー内容だ。そこでトッドは、「欧米はもはや民主主義の代表ではなく、少数の人や少数の集団に支配された、単なる寡頭政治になってしまったのです。」と述べている。「西側諸国の民主主義は、機能不全どころか、消滅しつつあります。ヨーロッパの共同体(EU)に関しては、もはや完全に寡頭制です。一部の国が他国より強く、一部の国には力がない。ドイツがトップにいて、フランスが下士官、その一方でギリシャは存在感がないといった具合のグローバルシステムです。 ウクライナ戦争も同様です。ヨーロッパは民主主義の価値のために戦っているふりをしているだけで、これは完全な妄想です。そして驚くべきことに、私たちはそれに気づいていません。自分たちの国について話すときには、「民主主義の危機を抱えている」と言っているにもかかわらず。 しかし、西洋以外の人々はそれを見抜いています。彼らは、私たちをありのままを見ているのです。西洋は、何か違うものに変わりつつあり、もはや十分な生産ができなくなっています。また先ほど言ったように、グローバル化とは、第二の植民地時代、つまり「グローバルな植民地時代」であることが判明したのです。」、「つまり、私たちは、新しいことに備えなければなりません。戦争とは関係なく、私たちはもっと悪い事態に備える必要があるでしょう。」。イスラエルによるガザでの虐殺を黙認し続けている英米、EUが自分たちの掲げて来た人権を、ガザでは全く考慮しないことを露呈させた。民主主義も同じだ。相手を非難するための単なる道具でしかないのだ。ロックダウンに反対し、コロナワクチンの杜撰な治験を批判し、コロナ感染対応の政策提言であるグレート・バリントン宣言の起草者であるハーバード大学医学部マルティン・クルドルフMartin Kulldorff教授が解雇された。昨日、自身のX(旧ツイッター)に、「I am no longer a professor of medicine at @Harvard. Here is the story of my Harvard experience until I was fired for clinging to the truth.(私はもう@ハーバードの医学部教授ではない。以下は、私が真実に固執したために解雇されるまでのハーバード大学での体験談である。)」と書き込んでいる。コロナワクチンを批判した元京都大学宮沢孝幸准教授の退職も結局は同じようなものだ。民主主義が機能していれば、こうした不当な解雇や退職はあり得ない。米欧、日本はプーチンや習近平を独裁者、ロシアや中国を覇権主義と称するが、むしろ強権的に国民を強いているのは日本や欧米だろう。特にコロナ禍はそれを如実に示した。中国もロシアも国民の政府支持率は80%以上ある。日本や欧米は50%に満たない。民主主義が機能していれば多くの国民に政府が支持されているはずだろう。一昨日のChina Radio International日本語は、「全人代民主・人民政協民主から読み解く中国」を載せている。「民主選挙を例にとると、中国では県、市、省、国など各級の人民代表大会が民主的選挙によって選出され、人民に対して責任を負い、人民の監督を受ける。高級技師、新業態の労働者、村の幹部など、生産やサービスの現場で活躍する3000人近くが全人代代表となり、14億人以上の中国人民を代表して審議権、提案権、議決権、選挙権などの権利を行使する。同時に各党派、団体、階層、分野で活躍する人々が人民政協の委員となり、民主的な監督、参政、議事を通じて国の管理に参画する。このような形の民主は全人代と人民政協の「両会」で相乗効果を発揮し、中国の民主的政治制度の鮮明な特色を示している。」。全人代代表、人民政協の委員の選挙は国民の投票により行われる。国家主席に選出されるまでは9段階の厳しい審査がある。審査の主要要件は国民のために何が出来たかが重要になる。ただ、中国は1978年12月に鄧小平により打ち出された「改革開放」で、米国の大手金融機関などから資本主義の手解きを受けた。その米国の資本主義がまさに新自由主義であった。新自由主義は米国でも日本でも政治家や企業家の腐敗を生んだように、やはり、中国でも経済発展の中で腐敗を生み出した。習近平が登場すると、習近平は真っ先にこの腐敗の撲滅に取り組んだ。上海派閥の新自由主義に傾倒した腐敗人物たちを次々に失脚させた。しかし、米国は自国に都合の良い上海閥の人脈が絶たれることは気に入らず、これを断行した習近平を悪者扱いにした。この米国のやり方は、戦後ずっと同じやり方であった。米国にとって言いなりにならない人物は、全て独裁者であり、消えるべき人物となる。リビアのカダフィー大佐、イラクのフセイン、シリアのサダトなど、多くの人物が排除されて来た。プーチンも同じだ。ソ連崩壊で混乱したロシアの資源を新自由主義で独占し、国民を疲弊させた。これを覆し、国民を豊かにして来たのがプーチンだ。このプーチンを米国を裏で操る超富裕層が認めるわけがない。ここでプーチンにもおさだまりの「独裁者」のレッテルが貼られる。日本や欧米ではもはや民主主義は機能せず、人権は軽視されている。その民主主義や人権を掲げて、欧米は中国やロシア批判する。
馬酔木
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