釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

深刻な日本の病巣

2022-12-05 19:19:24 | 社会
今月1日の日本経済新聞は、「法人企業統計、経常益18.3%増 7~9月で過去最高」を報じた。経常利益は19兆8098億円だ。11月4日のロイターは、「22年度税収が過去最高68兆円超に、2次補正で3.1兆円増額=政府筋」を報じている。今月1日の日本経済新聞では、「11月の消費者心理、3か月連続悪化 基調判断を下方修正」も報じられていた。8月31日、企業実務サポートクラブに、賃金コンサルタントの神田靖美氏が、「日本の賃金は、なぜ4半世紀も上がっていないのか」を書いている。「たしかに、今から25年前である1997年以降、賃金はほとんど上がっていません(図1)。この結果、日本の2021年の平均賃金は、OECD加盟国でデータがある34か国中24位で、平均の77%にとどまっています。」とある。また10月20日のYAHOO!JAPANニュースでも「平均賃金30万円…世界でも「日本だけが賃金減」という異常」が報じられている。かって、日本では個人や企業が銀行に預けた預金、保険会社に積まれた保険料などが企業の株式に投じられ、終身雇用が守られていた。米国の製造業が日本やドイツに敗れて廃れると、米国の富裕層たちは国内に資産を投じる先を無くしてしまった。そこで、日本や欧州へ資本の自由化を政治家に迫らせた。日本や欧州へ、米国富裕層の資産が急速に投じられた。富裕層はただ利益だけを求める。企業の成長や従業員の育成などには何も関心がない。最も簡単に目先の利益を得られるのはコスト削減である。その標的とされたのが人件費だ。正規雇用より非正規雇用の割合が多くなるほど企業コストは下がる。企業も研究開発費を削減し、株主のために目先の利益を上げざるを得なくなった。企業は自ら成長の目を潰した。国内企業に発展性がなければ、企業は得られた収益を投資会社を通じて、国内だけでなく米国など、海外の金融資産に投じ、そこで利益を得るようにもなった。日本の海外資産1000兆円はこうして積み上がった。9月1日の朝日新聞DIGITALは、「21年度の企業の内部留保500兆円超 10年連続で過去最高更新」を報じた。「財務省が1日発表した法人企業統計によると、企業の内部留保は前年度比6・6%増の516兆4750億円で、17年度以来の伸び率だった。10年連続で過去最高を更新し、11年度からの増加率は約8割にのぼる。 業種別では、製造業が10・9%増で、非製造業は4・4%増だった。規模別では資本金10億円以上で5・9%増だったのに対し、1千万円未満は3・6%減。円安の恩恵を受けやすい大企業製造業を中心に、内部留保が積み上がった。」とある。要するに資金力のある企業ほど内部留保の伸びも大きい。富裕層が企業を通じて、巨大な資産を築く一方で、賃金は伸びない。内閣府すら「OECDによると,我が国の子どもの相対的貧困率はOECD加盟国34か国中10番目に高く,OECD平均を上回っている。子どもがいる現役世帯のうち大人が1人の世帯の相対的貧困率はOECD加盟国中最も高い」と書いている。今、米国のIT企業は次々に人員削減を行なっている。人は企業にとって単なる部品でしかない。特に米国企業は企業が決定すれば、即日、辞めなければならない。技術を身につけていれば、他企業への再就職も容易だが、そうでなければ再就職も簡単ではない。日本の多くの一人親家庭はパートや派遣社員のために、収入も低く安定しない。全国に子ども食堂が600もある。少子化が顕著な日本で、国は子供に目を向けていない。政治は利権化し、利権が得られない子供の問題には誰も目を向けない。低賃金の問題も同じだ。収入が伸びない状態が何年続く中で、国は予算を使い放題だ。巨額の政府債務を抱えていても、予算は毎年増加させ、政府債務を積み上げるばかりで、増税だけは譲らない。日本の国民負担率は主要国で最高になってしまった。賃金が上がらない中で、増税すれば負担率が上がるのいは当たり前だ。スウェーデン並みの負担率になったが、社会保障や福祉、学費では、スウェーデンの方がはるかに優れている。コロナ対策やオリンピックでも明らかにされたように、政府の支出はあまりにも無駄が多く、税収入が湯水の如く扱われている。日本の国会議員の収入は英米の議員3倍近い。主要国のほとんどは日本よりはるかに少ない。官僚が国会を通さず、支出する特別会計は国会で形式的にでも審議される一般予算の2倍である。何にどう使われているか、全く分からない。本来、国がやるべきことを、官僚が作った〜機構と言う組織に下請けさせる。mRNAワクチン承認やワクチン後遺症の審査などは独立行政法人医薬品医療機器総合機構PDMAに実質、丸投げである。日本の政治は長く利権政治が続いているが、2000年代に入り、利権も露骨な国費の散財の形を取るようになった。米国も同じで、いずれも新自由主義の賜物だろう。教育や研究は政治家の得点にはならないため、教育・研究費を削減し、大学の研究費が企業資金に頼らざるを得なくなり、企業寄りの研究しか行われず、長期な重要な研究が損なわれてしまった。ワクチンを推進する大学人はみんな製薬企業から資金を得て来た人ばかりである。研究資金を得るために、事実を180度変えることも厭わない。厚生労働省に対して、怒りを込めて直言出来る福島雅典京都大学名誉教授のような方や日本の食の安全を警告し続けている東京大学大学院農学生命科学研究科鈴木宣弘教授などは貴重な存在だ。日本の政治が変わらない限り、政府債務も少子高齢化も、教育・研究の劣化も止められない。賃金も決して上がることはない。いずれも構造的に定着してしまった。政治家を選ぶのは国民だが、その多くの国民が主要メディアからの情報で判断する。そして、主要メディアこそ新自由主義の標的であったため、メディアは情報の調査や精査を省き、欧米メディアや政府の情報をそのまま垂れ流す、安易なメディに凋落してしまった。多くのTVに登場するコメンテーターたちは聞くに堪えない。こうした日本の現状を見ると、日本は行き着くところまで行くしかないように思われる。リセットされるほどの大手術でなければ、容易には取り除けないほど病巣は深刻になってしまった。

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2 コメント

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Unknown (青蛙)
2022-12-05 21:39:26
全く歯がゆい情況です。
トマホーク500発購入検討のニュース、独立国の体を成していません。福島雅典京都大学名誉教授の怒りの動画に留飲を下げつつも、暖簾に腕押しの役人の対応に血圧が上がるばかりです。
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Unknown (管理人)
2022-12-05 22:09:04
青蛙さんへ、
コメントありがとうございます。
中国・ロシアを相手にトマホークを使っても、6秒で検知され、2分以内に迎撃されてしまいます。米国は旧式となった武器の処分地として日本を見ています。所詮、役人は責任逃れしか考えないので、結局は、国民の大きな立ち上がりしかないのですが、メディアに多くの人が洗脳されて、ワクチンを接種してしまっています。とても日本は残念な状況ですね。
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