釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

アジアでの日本の凋落ぶり

2020-11-23 19:10:14 | 社会
もはや今の日本の新型コロナウイルス感染拡大は止めようがないだろう。特に大阪府と北海道は厳しい状況を迎える。今月初めに都構想などに費やしている暇はなかったのだ。北海道では医療機関の集団感染が深刻だ。医療機関は他よりは感染対策がしっかりしているはずだが、それでも新型コロナウイルスは防げない。東京の世田谷区などがやっているように、介護施設や保育所の他医療機関も定期的なPCR検査が必要だ。感染症の鉄則は、早期発見・早期隔離・早期治療に尽きる。特にこの新型コロナウイルス感染では無症状感染者が感染力を持つため、なおさら検査の拡大が必要になる。イタリアの「COVID-19 deaths in Lombardy, Italy: data in context」と題する論文でも無症状感染の増加と重傷者の増加が相関していることを示していた。本来であれば、東京が感染の中心であった頃に、その鉄則を東京に適用しなければならなかったが、政府も東京都も何もせず、結局は「GO TO」キャンペーンで全国に感染を拡大させた。「GO TO」が拡大を促した科学的根拠を問う人がいるが、感染は基本的には人の移動でしか広がらないのだ。物流も無関係ではもちろんないが、人の移動が主である。釜石のような人口3万5000人足らずの小さな街にも何台もの観光バスが来ている。どの地域も経路不明が多くなってもいる。隣国韓国は人口が日本の4割で、国土は4分の1である。現在、韓国の感染者は日本の4分の1で、死者もやはり4分の1である。韓国は第3波を迎えているが、波を重ねるごとにピークが低くなっている。昨日の感染者は330人である。その韓国では2月の終わりから3月初めにかけて第1波が襲った。宗教法人中心に集団感染が発生した。首相が即座に現地に入って、たちまち検査、隔離、治療が実施された。感染者の総数がまだ20人にも達していなかった2月初旬に、韓国政府は民間の検査会社が開発したPCR検査用の試薬を承認しており、民間の検査機関やドライブスルー方式の検査が全国展開され、100万人あたりの検査数は日本の倍である。日本でPCR検査が制限され続けるのは、国立感染症研究所が、保健所などの行政検査のみを通じて感染者データを独占しようとするためである。民間で検査が行われると研究所にはデータが入らない。民間の検査を抑えるために民間検査は保険の敵用から外す。国民の健康ではなく、データの独占のための検査体制である。韓国は2015年にMERSの経験があり、1万7000人近くが隔離対象となり38人が亡くなった。このために、韓国では疾病対策予防センターが中心になって新たな感染症に対応する体制が出来上がっていた。大量検査に対する事前準備、病状に応じた対応医療体制、IT技術を駆使した感染経路追跡など、しっかり整備された。医療では主に3つに区分され、重篤・重症・中等は感染症指定病院で、軽症は自宅ではなく、政府の設置した「生活治療センター」へ、一般患者は呼吸器系症状のある人が別に院内で分離されている「国民安心病院」を受診する。追跡では、クレジットカードの利用履歴や防犯カメラの記録、スマートフォンのGPS機能などを使って、感染者の行動履歴を遡って追跡し、匿名でホームページ上に公開され、誰もが自分の行動範囲とそのデータを比較し、近くに感染者がいるかどうかが分かるようになっている。このITを使った感染経路追跡は、東アジアでは顕著になった。しかし、個人情報がどこまで守られるのか不安もある。ただ、それを言えば、すでにスマートフォンを使う限りは、スマフォ業者やGoogle、FaceBook、Twitterなどには情報が掴まれ、米国ではCIAなど政府機関へもすでに情報が流れていると言われる。しかも、日本でもいよいよマイナンバーカードがそうした個人情報の政府への提供に使われることになりそうだ。来年3月から「健康保険症」と合体し、再来年中にスマートフォンに搭載され、2026年までに「運転免許症」まで合体される。すでに全国隅々まで監視カメラは装備済みである。ITを使った「全体主義化」はもはや共産主義国の特権ではなくなった。日本のようなIT後進国で、心配なのは政府に個人情報が握られることもあるが、海外に情報がハッキングされて流出することもある。あまりに日本のセキュリティが脆弱である。政治家や官僚はほとんどこの点を理解出来ていない。この新型コロナウイルス感染では、感染者情報を集約するために新しいシステム「HER-SYS」が導入されたが、これすらも入力データの誤りが相次いで見つかり、その原因の一つが、入力するための患者情報がFAXで送られることにあった。コンピュータへのデータを直接末端保健所や医療機関からは入力出来ないのだ。情報技術の浸透が中途半端なために、その情報技術そのものが無駄になっている典型的な悪例である。官僚の根深い情報非公開の意識がこうした「システム」につながっているのだ。PCR検査の全自動化や検査所の拡大、医療体制の整備などもお隣の韓国に比べてもずっと日本は遅れている。もうすぐ1年になろうとしているのに、政府は何も整備しないし、分科会の専門家などは、むしろそれを妨害すらしている。科学のない感染症対策であるのなら、もはや相当厳しいロックダウンでもなければ、感染は終息しないだろう。しかし、それをやれば、日本経済は間違いなく歴史上最大の落ち込みになる。今の日本には責任を持ち、対策を実行出来る人材がいない。その意味でもアジアにおける日本の凋落ぶりは顕著になった。

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